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9.神竜伝説の始まり
説得
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サーモンド王国王城。
再び、ダインの処遇について、サーモンド側の要求を集約することになりました。
その席に、私も呼ばれています。一応ルーク様も一緒。
「では、慣例にしたがえば、ダインを戦犯として拘禁、処刑するのが妥当と思います。ですが、ロディマス王太子殿下は、あの時、あの場でダインの身柄を抑えませんでした」
王国軍司令官サーモンド大公が口火を切りました。
「結果、ダインは母国ヴォルコニアにて逮捕・拘禁されているわけです。日常の生活をおくれてはいませんが。王太子殿下、何故ダインの身柄を抑えませんでしたか?」
「彼は自決しようとしていた。思い止まらせたのは、かの『光神竜姫』リスティア嬢だ。その意を汲まんとすれば、ヴォルコニアが逮捕・拘禁すべきと考えた」
大きく頷くサーモンド大公。
「武人としては自決しようとするは必然。だが、それでは戦犯不在となり、彼の部下にその役を負わせねばなりません。自決を思い止まらせるのは正しい。それについては、説得したリスティア嬢に感謝致します」
私に向かって一礼。こちらも返します。
「リスティア嬢は、生きて償う事を彼に課した。何故?」
一礼して一歩前に。
「先ずはお詫び致します。本来、私は戦争当事者ではありません。その上で、我が意を受けて動いてくださったロディマス王太子様。このような場を設けて下さったサーモンド大公閣下に感謝致します」
先ずはお詫び。私がしている事は、内政干渉です。スルーするわけにはいきません。
「ドラゴン・マスターである彼の能力は、常人をはるかに越えています。その力を世界の為に使って欲しいというのが一つ。もう一つは、私の自己満足です」
あ、ざわざわしてきた。
「私、誰も死んでほしくないんです。生きてさえいれば、色んな可能性があります。何度でもやり直せます。私にとって、死ぬ事は唯逃げるだけと、責任を取った事に成らないって思えるんです」
「そんな子供っぽい意見で?」
「実際子供です。でも、子供ながらに死ぬのではなく、やれる事あるだろ!って思う事があります」
「フム。死ぬ事は、逃げるだけだと」
「はい。死ぬ事と生き恥を去らす事。どちらが苦痛かは子供にもわかります。それは、ハッキリとダインにも伝えました。罵詈雑言言われながら、復興作業して欲しいって」
再び、大きく頷くサーモンド大公。
「なかなかどうして、手厳しいですな?リスティア嬢」
「綺麗事、甘いと言われるかもしれませんが、でも、生きたくても生きていけない人達もいます。その人達といると、自殺が、唯の自己満足に見えるんです」
「成る程。貴女の奉仕活動は、ここへも聞こえてきます。貴族にあるまじき、といえる程だと」
「そうなのですか?」
やや楽しげに、サーモンド大公は頷く。
「実は、貴女の父君、ゴードン=ミリュー公爵と色んなやり取りをしておりましてな。何せ同じ役職名。しかも同盟を結んだ国家。語る機会は意外と多いのですよ。貴女の事を語る彼は、新たな一面を見せてくれる。私も娘が欲しい、と思わせるくらいに」
ふぇ? 何言ってるの? お父様。
「跳ねっ返りに困ってます!ですか?」
「ハハハッ、いや、失礼。だから、ぜひとも貴女に会いたかった。フム? では、償いという以上、その貢献は使役と言ってもいいくらいのものになる。そういう事でよろしいのですね」
「はい。そうでないと皆もですが、ダインも納得しないでしょう」
「フム? だが、これは前例としてはどうだ? 戦犯ですら『死罪』にならないとなる。今後の判例への影響はでかい」
「確かに一生を掛けても償いきれないものもあると思います。でも、私は、誰も死んでほしくないんです。必ずやり直せる!そう信じてます」
「悪人ですら?ですか」
「はい。子供って言われたら其れまでですが、私、皆善人って思ってます」
ざわざわ。失笑?
「それが『使徒モルド』でも?」
「私、結構頑固です」
ルーク様が、私の肩に手を置く。
フフ、ありがとうございます、ルーク様。
「ワハハハハッ。貴女に会えて良かった、リスティア嬢。これは一つのテストケース。死刑の歴史が変わるかもしれぬ。だが、フム? やる価値はある。国王陛下、王太子殿下。私もリスティア嬢の提案に乗りましょう」
「ありがとうございます。サーモンド大公閣下」
場の雰囲気が変わりました。
大公の意向はとても強く、その影響力は流石です。
後日、これがサーモンド王国の決定。要求としてヴォルコニア竜帝国に通達され、竜帝国も応じました。
改めて、四国交流会です。
「私ですら、生きて償う事にさせる……。世界が変わっていく……。レベッカ…、本当に厄介な者を味方に付けましたね。くくく、次は戦乱ではなく、痴話喧嘩を仕掛けてみましょうかね。ルークとリスティア、どうしますかね? けけけけけけけけけけけけ!」
ふぇ? 何か悪寒が……。
再び、ダインの処遇について、サーモンド側の要求を集約することになりました。
その席に、私も呼ばれています。一応ルーク様も一緒。
「では、慣例にしたがえば、ダインを戦犯として拘禁、処刑するのが妥当と思います。ですが、ロディマス王太子殿下は、あの時、あの場でダインの身柄を抑えませんでした」
王国軍司令官サーモンド大公が口火を切りました。
「結果、ダインは母国ヴォルコニアにて逮捕・拘禁されているわけです。日常の生活をおくれてはいませんが。王太子殿下、何故ダインの身柄を抑えませんでしたか?」
「彼は自決しようとしていた。思い止まらせたのは、かの『光神竜姫』リスティア嬢だ。その意を汲まんとすれば、ヴォルコニアが逮捕・拘禁すべきと考えた」
大きく頷くサーモンド大公。
「武人としては自決しようとするは必然。だが、それでは戦犯不在となり、彼の部下にその役を負わせねばなりません。自決を思い止まらせるのは正しい。それについては、説得したリスティア嬢に感謝致します」
私に向かって一礼。こちらも返します。
「リスティア嬢は、生きて償う事を彼に課した。何故?」
一礼して一歩前に。
「先ずはお詫び致します。本来、私は戦争当事者ではありません。その上で、我が意を受けて動いてくださったロディマス王太子様。このような場を設けて下さったサーモンド大公閣下に感謝致します」
先ずはお詫び。私がしている事は、内政干渉です。スルーするわけにはいきません。
「ドラゴン・マスターである彼の能力は、常人をはるかに越えています。その力を世界の為に使って欲しいというのが一つ。もう一つは、私の自己満足です」
あ、ざわざわしてきた。
「私、誰も死んでほしくないんです。生きてさえいれば、色んな可能性があります。何度でもやり直せます。私にとって、死ぬ事は唯逃げるだけと、責任を取った事に成らないって思えるんです」
「そんな子供っぽい意見で?」
「実際子供です。でも、子供ながらに死ぬのではなく、やれる事あるだろ!って思う事があります」
「フム。死ぬ事は、逃げるだけだと」
「はい。死ぬ事と生き恥を去らす事。どちらが苦痛かは子供にもわかります。それは、ハッキリとダインにも伝えました。罵詈雑言言われながら、復興作業して欲しいって」
再び、大きく頷くサーモンド大公。
「なかなかどうして、手厳しいですな?リスティア嬢」
「綺麗事、甘いと言われるかもしれませんが、でも、生きたくても生きていけない人達もいます。その人達といると、自殺が、唯の自己満足に見えるんです」
「成る程。貴女の奉仕活動は、ここへも聞こえてきます。貴族にあるまじき、といえる程だと」
「そうなのですか?」
やや楽しげに、サーモンド大公は頷く。
「実は、貴女の父君、ゴードン=ミリュー公爵と色んなやり取りをしておりましてな。何せ同じ役職名。しかも同盟を結んだ国家。語る機会は意外と多いのですよ。貴女の事を語る彼は、新たな一面を見せてくれる。私も娘が欲しい、と思わせるくらいに」
ふぇ? 何言ってるの? お父様。
「跳ねっ返りに困ってます!ですか?」
「ハハハッ、いや、失礼。だから、ぜひとも貴女に会いたかった。フム? では、償いという以上、その貢献は使役と言ってもいいくらいのものになる。そういう事でよろしいのですね」
「はい。そうでないと皆もですが、ダインも納得しないでしょう」
「フム? だが、これは前例としてはどうだ? 戦犯ですら『死罪』にならないとなる。今後の判例への影響はでかい」
「確かに一生を掛けても償いきれないものもあると思います。でも、私は、誰も死んでほしくないんです。必ずやり直せる!そう信じてます」
「悪人ですら?ですか」
「はい。子供って言われたら其れまでですが、私、皆善人って思ってます」
ざわざわ。失笑?
「それが『使徒モルド』でも?」
「私、結構頑固です」
ルーク様が、私の肩に手を置く。
フフ、ありがとうございます、ルーク様。
「ワハハハハッ。貴女に会えて良かった、リスティア嬢。これは一つのテストケース。死刑の歴史が変わるかもしれぬ。だが、フム? やる価値はある。国王陛下、王太子殿下。私もリスティア嬢の提案に乗りましょう」
「ありがとうございます。サーモンド大公閣下」
場の雰囲気が変わりました。
大公の意向はとても強く、その影響力は流石です。
後日、これがサーモンド王国の決定。要求としてヴォルコニア竜帝国に通達され、竜帝国も応じました。
改めて、四国交流会です。
「私ですら、生きて償う事にさせる……。世界が変わっていく……。レベッカ…、本当に厄介な者を味方に付けましたね。くくく、次は戦乱ではなく、痴話喧嘩を仕掛けてみましょうかね。ルークとリスティア、どうしますかね? けけけけけけけけけけけけ!」
ふぇ? 何か悪寒が……。
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