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8.竜の災厄

悲劇

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 サーモンド王国、王都の港。
 『使徒モルド』と対峙する二人の少女。
 白と黒の聖女が、今、並び立ちました。

 「今度こそ逃がさない!モルド‼︎同じ闇司祭として、娘として、今度こそあなたを止める!」
 「レベッカ! 貴女? 娘って?」
 「ごめんね、リスティア。この三年間、いつ言うか。なかなか踏ん切り付かなかった…。でも!」

 「我を滅して自らも死ぬか? 我が亡びればもう転生することはないしな。くくく、けけけけけけけけけ!我が一人ノコノコ来たと思ったか?」

 ズルズル! ベチャ。

 港に、また海からゾンビがあがってくる?

 「どこまで人の命を弄べば気がすむの? 燃え尽きなさい! ファイアーボール‼︎」

 レベッカの魔法の火球がゾンビを焼こうとした時、強い水流が!

 「何? ダーク・サーペント?こいつまで?」

 「ゾンビは任せて!女神の御名においてここに聖なる大地を作らん!『エリア・ターン』」

 海を含め港に聖なる光を拡げていきます。

 「ギャアアアア」

 全てのゾンビが消滅していきました!

 「流石! これで当分ゾンビは出てこれない。あなたは私が使役する!闇の眷属よ、旧き盟約に従いその義務を果たせ『ダーク・スレイブ』」

 ダーク・サーペントの動きが止まった?

 「やはりモルドの方が強い?でも動きは封じた」
 「ほう。なかなか強くなりましたね。娘の成長を喜びましょうか?くくく、けけけけけけけけけ! もう一度言いますよ?我が一人で来たと思ったか?」

  飛んでくる火球!でも!
  バシュ!
  直前で弾かれ火球は消えました。

 「やはり居ましたね。エルド=カッツさん?」

 現れる漆黒のローブの魔法使い。

 「困りました。やはり私の魔力では貴女に勝てそうもない。でも時間稼ぎはできる!」
 「出来ないよ!私達が聖女達のみを戦わせると思っているのか?」

 リンドガイアの騎士が、エルドやモルドを捕らえようと剣をふるいます!

 「流石に剣士に殺られる訳にはいきませんね。『フライト』」

 飛び上がるエルド!私も同じく飛び上がります。

 「あなたを自由にはさせません!」
 「フフン、だから言った!時間は稼げると!」
 「膠着状態? ううん!こっちの手数が多いはず‼︎」
 「イイエ!こっちの手数が多いのです。くくく、けけけけけけけけけ!『暗黒竜ボスコーン』!」

 海から現れたのは闇竜の上位種『ボスコーン』!

 「そんな?あ、今なら!『ダーク・サーペント』、『ボスコーン』を防いで!」

 暗黒竜を支配したせい?闇蛇の支配が解けレベッカの手に落ちました。でも『ボスコーン』のブレス?

 「キャアアア」「うわあああ」「ぎゃあ」

 シールドが効いてはいても竜の息吹きは凄まじいものがあります。まともに喰らった『ダーク・サーペント』は消滅!港ごと私達も吹き飛ばされました。

 「くくく、けけけけけけけけけ! これまでだね、レベッカ。父の慈悲だ。その連鎖、断ち切ってあげましょう!」
 
 飛ばされて動けないレベッカにモルドの魔法攻撃!
 
 「お嬢様! 間に合え‼︎」

 え? ドウン? 二人が、飛ばされて…、い、イヤ!

 「レベッカ! ドウン‼︎」

 二人が闇に包まれ消えていく?

 「しまった!もう転生も…。これで…ここまでなの?モルド! あなたの罪を」
 「我が罪をお前が負う必要はない。父の慈悲と言った!消えよ!くくく、けけけけけけけけけ!」

 二人の元にいきます。消える?そんな?
「レベッカ!ドウン!!」
「ごめんね、リスティア。後、託すの許して…」
「守りきれま…せんで…した。申し…訳あり…ません…」

 消える…。私…何も…出来ない…。
 どうして?娘って?レベッカ?! 

 「モルド!あなたは?」
 「我が憎いか?くくく、憎め!その憎悪を‼︎何?」

 悲しい。どうして?

 「確かに嫌いって思った事あります。でも人を憎いと思った事はありません‼︎今もあなたを、憎いと思うより悲しいと思います。どうして? あなたは何をなくしてきたの?」
 「くくく、けけけけけけけけけ!我を憎まず哀れんでくれると? けけけけけけけけけ!本当に我の予想を越える!それが世界を変える力?キリーといい、レベッカといい、何故だ?何故、お前に世界を変える力がある?」

 世界を変える力?私が?

 「『ボスコーン』!ダインと合流します!」

 そんな?暗黒竜を騎竜軍団に合流させては?

 「去らばです!くくく、けけけけけけけけけ!」

 また竜の息吹き?
 「守る!『リフレクト・シールド』」
 反射できる防御魔法。ルーク様の横に行って騎士全体を守るよう三倍掛け!

 でも、きつい?

 守りきりました。でも港は壊滅的。
 しかも暗黒竜『ボスコーン』に去られてしまいました。
 「リスティア…」
 「ルーク様?私…守りきれ…なくて…ふぇ?」
 「君はよくやった!今までもこれからも。後を託された。まだ終わっていない。君に負担ばかりかけるけど」
 「ありがとうございます」

 慰めてくれること。抱き締めてくれること。
 本当にありがとうございます、ルーク様。

 「私達も行こう。暗黒竜が騎竜軍団に合流してしまった。ヴォルコニアやサーモンドだけじゃない!このままじゃ世界が滅ぶ」
 「はい、ルーク様。レベッカ、ドウン!見ていてください」

 この時、私の中で何かの封印が解けた気がしました。

 
 「リスティア、私が預けた我の半身。解放するときがきたようですね」
 光神銀竜ゼルメイドの微笑み…。
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