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6.王太子妃(予定)の日常
治療
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春休み。
今日も今日とて復興作業中。
マール村も大分状況回復してきました。
大地や家屋を復旧させた後、ケガとかの回復介護作業を行ってます。
「すみません、治療してもらったのですが痛みが続いて」
「またお前か?治ってんだぞ!サボらんで働け‼︎」
仮家屋の教会。健康そうなのに表情が厳しい男性が施薬院のスタッフと揉めています。
「どうしたんですか?」
「あぁ!リスティア様。いえケガ治っているのに痛みがあるってサボる奴がいて。この村、王国が復興させるのをいいことに甘えるのが多いんです。ほら、行った行った!」
「そ、そんな!儂らは本当に」
うん、見た限りは完治してる。でも、本気で痛がってる? 多いって、他にもそういう人がいるの?
「あなた以外にも痛みが続く方が? すみません、そういう方、みんな集めてください。それとこれまでの治療記録があれば見せて欲しいんです!」
「我々の治療に間違いがあると?」
何? 施薬院のスタッフなのにこんなに怒りっぽいの? ちょっとムカついてきました。
「これだけ痛みを訴える方がいるのはおかしいです! またサボりと決め付けるのもどうかと思います‼︎」
「やべ!お嬢!キレ出した‼︎」
「容赦ないのですよ、こうなると」
む?カイル?チェレン?どっちの味方?
やって来たのは五名。初老の男性ばかり。
治療記録を持って来た院長ダイアナ様。うわぁ、来てたんですね。
「話は聞いたわ、リスティア嬢」
「生意気言ってすみません、ダイアナ様。でも何か引っ掛かるんです」
治療記録を見ると骨折と裂傷。骨竜が暴れ潰された家屋によって肘を裂き傷は骨まで達していた。それを『ハイヒール』で治している。
「単純な骨折と裂傷。ハイヒールで充分ですよ」
間違ってない。でもこれは?
「皆さんの腕を痛いところを見せてください」
やっぱり!『クリア・アイ』で見てみると骨折が治っていない。折れて傷ついた骨の破片や、治りきれずギザギザのままの骨が関節や神経を刺激してる!
「な、そんな…」
「状態、確認しながら回復魔法かけてないのですか?しかも目に見える傷だけを見て完治してるって言ってますね」
「…そ、それは」
「私達の落度ね。確かに治療が多くて大変だったけど手抜きとしか言えないわ、スコット君」
ダイアナ様の叱責に項垂れるスタッフの男性~スコットさん。
「改めて治療します。気を楽にして『スタン』。ギザギザを取って『アポート』、骨の再生『ハイヒール』ゆっくり、時間をかけて。…、うん、これで完治。もう痛みないと思います」
あの状態の骨では削り取って再生し直すしかない。しかも骨の再生って結構時間食い!
残りの四人、ダイアナ様とスコットさんと三人手分けして治療。これでO.K.だね。
「ありがとう、リスティア嬢」
「いえ、ダイアナ様」
スコットさん、無言。って言うか私を睨んでた。
これはプライド高いなぁ?子供に間違いがあると指摘されたことが我慢ならないようですね。
結局無言のまま他に行きました。
「ごめんなさいね。結局彼、謝罪も感謝もなかったわ」
申し訳なさそうなダイアナ様。大丈夫です。
腹に据えかねているようですが公爵令嬢で尚且つ王太子の婚約者である私に喧嘩売れるタイプではなさそうです。
その分、闇に堕ちてしまいやすいというのはその時の私には考えられなかったのです。
「面白い男を見つけました。ちょっと引き入れてみます、使徒モルド。ひひひっ!私はアグルとは違うぞ?白き聖女よ」
今日も今日とて復興作業中。
マール村も大分状況回復してきました。
大地や家屋を復旧させた後、ケガとかの回復介護作業を行ってます。
「すみません、治療してもらったのですが痛みが続いて」
「またお前か?治ってんだぞ!サボらんで働け‼︎」
仮家屋の教会。健康そうなのに表情が厳しい男性が施薬院のスタッフと揉めています。
「どうしたんですか?」
「あぁ!リスティア様。いえケガ治っているのに痛みがあるってサボる奴がいて。この村、王国が復興させるのをいいことに甘えるのが多いんです。ほら、行った行った!」
「そ、そんな!儂らは本当に」
うん、見た限りは完治してる。でも、本気で痛がってる? 多いって、他にもそういう人がいるの?
「あなた以外にも痛みが続く方が? すみません、そういう方、みんな集めてください。それとこれまでの治療記録があれば見せて欲しいんです!」
「我々の治療に間違いがあると?」
何? 施薬院のスタッフなのにこんなに怒りっぽいの? ちょっとムカついてきました。
「これだけ痛みを訴える方がいるのはおかしいです! またサボりと決め付けるのもどうかと思います‼︎」
「やべ!お嬢!キレ出した‼︎」
「容赦ないのですよ、こうなると」
む?カイル?チェレン?どっちの味方?
やって来たのは五名。初老の男性ばかり。
治療記録を持って来た院長ダイアナ様。うわぁ、来てたんですね。
「話は聞いたわ、リスティア嬢」
「生意気言ってすみません、ダイアナ様。でも何か引っ掛かるんです」
治療記録を見ると骨折と裂傷。骨竜が暴れ潰された家屋によって肘を裂き傷は骨まで達していた。それを『ハイヒール』で治している。
「単純な骨折と裂傷。ハイヒールで充分ですよ」
間違ってない。でもこれは?
「皆さんの腕を痛いところを見せてください」
やっぱり!『クリア・アイ』で見てみると骨折が治っていない。折れて傷ついた骨の破片や、治りきれずギザギザのままの骨が関節や神経を刺激してる!
「な、そんな…」
「状態、確認しながら回復魔法かけてないのですか?しかも目に見える傷だけを見て完治してるって言ってますね」
「…そ、それは」
「私達の落度ね。確かに治療が多くて大変だったけど手抜きとしか言えないわ、スコット君」
ダイアナ様の叱責に項垂れるスタッフの男性~スコットさん。
「改めて治療します。気を楽にして『スタン』。ギザギザを取って『アポート』、骨の再生『ハイヒール』ゆっくり、時間をかけて。…、うん、これで完治。もう痛みないと思います」
あの状態の骨では削り取って再生し直すしかない。しかも骨の再生って結構時間食い!
残りの四人、ダイアナ様とスコットさんと三人手分けして治療。これでO.K.だね。
「ありがとう、リスティア嬢」
「いえ、ダイアナ様」
スコットさん、無言。って言うか私を睨んでた。
これはプライド高いなぁ?子供に間違いがあると指摘されたことが我慢ならないようですね。
結局無言のまま他に行きました。
「ごめんなさいね。結局彼、謝罪も感謝もなかったわ」
申し訳なさそうなダイアナ様。大丈夫です。
腹に据えかねているようですが公爵令嬢で尚且つ王太子の婚約者である私に喧嘩売れるタイプではなさそうです。
その分、闇に堕ちてしまいやすいというのはその時の私には考えられなかったのです。
「面白い男を見つけました。ちょっと引き入れてみます、使徒モルド。ひひひっ!私はアグルとは違うぞ?白き聖女よ」
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