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6.王太子妃(予定)の日常

調査

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 復興作業、皆頑張ってます。
 それはいいのですがおかげで発表会が中止となりました。
 まぁ、国を挙げての復興作業中学園祭の赴きがある発表会はやはり自粛した方がいいだろうと。

 「いや、お嬢!に勝てる奴がいない!ってのが一番の理由だと思うぜ?」
 「何せドラゴン・スレイヤーです。魔法は他の追従を許していませんし」

 「だからか弱い乙女を竜扱いするな!」
 何度言えばわかる?

 「竜殺しだから説得力無いな。私も君は無敵だと思うよ」

 ルーク様?マゼールさんも。
 婚約者に無敵呼ばわりされるって乙女心傷つきます。ふぁ? 
 また抱き締められました。

 「ルーク様? 抱き締めたら万事O.K.って思っていませんか?」
 「あれ?ダメか? じゃあどうしようかな?」

 イタズラっぽく微笑むルーク様。もうこのままでいいです。

 「ところで殿下?何かお嬢!に用事ですか?」
 「何か、またありました?」

 カイルとチェレンが立ったまま尋ねます。
 もちろん他に誰か居たら二人は臣下の礼をとり跪きますが、この五人しかいない場合は礼は不要と言われてます。って言うかルーク様に懇願されてしまったのです。

 「港町バノアの件さ。未だに魚が捕れない。海の濁りもね。こうなると海中に何か原因があるとしか思えない。無理難題を承知でリスティアに頼みたいんだ」
 
 「潜って海中?海底を調べるんですね」
 私を見て、ちょっと苦し気なルーク様に笑顔で返します。あの、抱き締められたままですけど。

 「すまない、リスティア」
 「もっと命令口調でもいいんですよ?ルーク様」
 クスクス。イタズラっぽく微笑む私にルーク様、本当にすまなさそうにするのです。

 「ルーク様に頼られる事、お役に立てる事、とても嬉しく思うんです。私、頑張りますね」
 「でも、無茶はしないでほしいな」
 
 「殿下!多分無理です。お嬢!やります‼︎」
 「何せドラゴンとタイマン張ってます!」
 「だよね…」

 あれ?私、無茶する暴走キャラ?
 「ただ出来る事を出来る範囲でやってるだけだよ」
 「出来る範囲が規格外です。お嬢様」

 何故皆頷くの? 解せぬ。


 海底調査にはお母様も同行することになりました。防御と移動をお母様が担当し原因の対応を私がということになったのです。

 「最凶の魔法剣士と竜殺しの母娘!お嬢!凄いっす」
 カイルの余計な一言。

 「お母様、カイルどうしましょう?」
 「雷撃、二人で重ね撃ちする?カイル十秒あげるわ。お逃げなさい」
 親子で睨み付けます。

 「すみません!俺死んじゃいます!お許しください」
 
「ね、お嬢様の性格、奥様譲りです」
 「成る程」
 涙目になって謝るカイルと頷くチェレンにルーク様。マゼールさん呆然。

 くすんで濁る海を前にいよいよ調査開始です。
 街の人々、漁師の方々、祈るようにこっちを見てます。何とかしなくちゃ!
 ある意味無責任なのは承知で、私は笑顔で皆に宣言します。

 「大丈夫です!私に、任せてください‼︎」

 お母様、笑いながらも、
 「行くわよ?リスティア!」
 防御魔法を発動させ、二人海の中に入っていきました。

 「頼んだよ、リスティア」

 見送るルーク様。
 王太子殿下がいることで、これが王宮の調査だと皆がハッキリとわかりました。


 「聖女到来。ケッケッケ、飛んで火に入る黒角虫。使徒モルド!女神ディロスガイアもご照覧あれ!この私!アグル=デールが見事グランガイアの代理を滅ぼして見せましょうぞ‼︎」
 
 闇に蠢く者がここにもいたのです。

 
 海中は暗く濁って、見通しとても悪かったです。

 「ライト!」

 海中を移動しつつ、お母様は明かりの呪文を唱えました。
 「これ、移動は?」
 「フライトの応用。覚えときなさい。魔力も威力も多分あなたが上。でも応用はどうしても経験が必要。フフ、まだあなたに教える事出来そうね」

 うん、まだまだお母様に教わる事一杯です。魔法使いとして娘として、これからも色々教えてください。

 
 暗く濁った海の中、確認して回り見つけた原因。
 海底にある黒い大きな魔法陣!
 闇の波動を出して海底を腐敗させているもの!

 そして、それを守護する巨大な蛇‼︎

 「ダーク・サーペント? ディロスガイアの眷属たる魔獣だわ!」
 「お母様?」
 「二人で良かった。悪いけど私達母娘の敵じゃないわね」

 確かにお母様の『ホーリー』でダーク・サーペントを『ディスペル・マジック』で魔法陣を粉砕。
 私の『エリア・ターン』で海底の浄化を行ない、闇の使徒アグルの思惑は簡単に潰えたのでした。
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