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6.王太子妃(予定)の日常

復興

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とある場所

 「ほう、骨竜を倒しましたか。しかも光神銀竜?素晴らしい!本当に女神グランガイアの代理なのかな?」
 「次はいかが致しましょう?」
 「次?次などありません。これは実験でしかない。言ったはずです。リンドガイアに怨みはないと。聖女にしてもそう。なので拠点を移します」
 「ですが」
 「あなたに任せます。気になるならご自身でやってみることですね」
 「わかりました。どうぞ吉報をお待ちください!使徒モルド」
 「ほう?くくく、けけけけけけけけ!」


 骨竜やゾンビ、アンデッドの襲来は王国に大きな爪痕を残しました。
 ラドー村とマール村は壊滅。ゾンビのせいで不浄の地となってしまっていました。
 港町ジノスもアンデッド巨大イカが暴れて港の機能は無くなりました。
 港町バノアは、港の機能はあるものの海の濁りが消えず未だに魚が捕れません。

  この復興、保証を国庫で賄う事になったので人々に希望が残りました。
 「王国で復興してもらえるそうだ」
 「ありがたや。国が全部みてくれるなんて初めてじゃねえか?」
 「何でも聖女リスティア様の申し出だそうな。ご自分の褒美を全て復興に使って欲しい、と」
「ありがたや、ありがたや。聖女様々だ」

  そんな面映ゆい声を聞きながら、私達は今、ラドー村に来ています。
 不浄の地となり大地が腐敗し始めていました。

 「お嬢様、範囲ですが…」
 「〇〇くらいだよね。だから神聖魔法三倍掛けでいいはず」

 あれ?チェレン?

 「どうして高等算術習っている私より計算が速いのですか?しかも、たまにこの世界に無い計算式使ってますよね」

 うん、この世界に掛け算・割り算は無い。
 前世の知識に感謝。

 「大地を浄化します。エリア・ターン!(三倍掛け)」

 私の足下から魔法陣が拡がっていく。
 聖なる光が拡がっていく。
 ゆっくりしっかり。大地が蘇っていく。

 元の村全体を光が覆い尽くし腐敗臭が無くなりました。

 「これで大丈夫です。また暮らせます。耕せます。すぐは無理でも、いつか実り豊かな地に戻ると思うんです」

 オオー!
 「ありがたや。ありがたや」
 「聖女様、感謝致します」

 村人からの感謝にちょっと圧倒されました。
 
 でも大変なのはこれからです。私は魔法を使うだけ。一から畑や果樹を作らないといけない村人に比べたら。
 少しずつコツコツ確実に前に進めたら。

 「はい!リスティア嬢、お疲れ様。次は色々お片付けです」

 マクレイン先生の声。私達、散らばってお片付け。授業中身を変更しての奉仕活動。作法の講義が無くなりホッとしている学生多数。カイルなんか算術も無くなればって言ってた。

 「算術まともに出来るの数名なのよ、このクラス。とても潰せないわね?」

 だそうだよ、カイル。

  集まったゴミや廃材、適当なところで一気に燃やしちゃいます。

 「次は私が。ファイヤーボール!」

 ローラの魔法が炸裂し一気に燃やし尽くします。
 「威力上がってる!流石ローラ」
 「リスティア様に言われても」
 「何せお嬢様、規格外ですし」

 フフフフフ。私、炎属性最大のLv7 爆裂魔法ギガ・フレイム覚えたんだ!
 「今こそ、炸裂の時!!」
 「「やめて!死ぬから」」

 そんな本気で涙目になって訴えなくても?私、人に魔法撃ったこと無いのに!

 「やると思います?」 解せぬ。

 「いや、威力がね?それに君はもうドラゴン・スレイヤーだし」

 ?ルーク様もそう思ってるの?私、人に向けて撃つと。ふぁ?

 「あー?カイルの言動のせいかな?」

 やさしく抱きすくめながら何気に酷くないですか?ルーク様。
 「やっぱカイルのせいか!」
 「お嬢?殿下!濡れ衣⁉︎」
 「いたな?諸悪の根元め!」
 「お嬢!怒ってるの?いちゃついてるの?」

 怒ってる!
 けどルーク様に抱きすくめられると幸せだからしょうがない。
「落ち着いた?」
「ルーク様?私、そんな暴れる女じゃないですから」
「ハハハ!ゴメン。実はカイルに託つけて抱き締めてる」

 うわぁ。そんな正直な物言い。私、赤くなっちゃう。

 「お嬢と殿下がどんどんバカップルになっていく」

 聞捨てなりません。カイルを睨んで、
 「カイル?諸悪の根元って自覚無いわね?ほら、回りも魔法撃たれてもやむ無しって顔してるよ?」

 「何で? 裏切者⁉︎」
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