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6.王太子妃(予定)の日常

愛娘

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 慌ただしいゾンビ来襲が終わり皆が王宮に戻って来ました。
 お母様達は、私達より先に戻って来ていました。

 「リスティア」
 「お母様、戻られたのですね」
 「聞いたわよ、『白き聖女』の大活躍!あ、今は『神竜の愛娘!』かな?」

 ちょ?もう広まってるの?ってお母様、面白がってますよね?

 「ところで『ホーリー』は光神銀竜様から?」
 「はい。教えていただきました!」

 背に載っての光神銀竜様とのやりとり。何か夢みたいなんですけど。
 
 「それもだけど『エリア・ターン』を使ったのでしょう?私より凄いじゃない!」
 「あれ?ロザリー様?使えませんでした?」
 「Lvじゃなくてね、あれ、使用魔力半端ないのよ」

 お母様曰く、範囲にもよるが三桁の魔力が必要らしい。全然考えなかった。

 「あなた、魔力測定不能だものね」

 !皮肉?お母様、何気に酷くないですか?

 「事実じゃない!あなた最近ひねくれてない?あ~あ、素直で可愛かった娘はどこいったのかしら?」

 むか!そういうお母様に付き合ったからです。ってロザリー様?そんなに笑わなくても?

 「本当に似た者親子ね。アイラ、あなたはこの子父親似って言うけど充分あなたにも似てるわよ?」
 「はぁ?私、こんなにひねくれてる?」
 「ええ!学生時代のあなたはこんなものじゃなかったわよ!」

 笑い転げるロザリー様。どっちにしろ私、ひねくれ者確定? 解せぬ。ってあれ?呼んでる?

 「謁見の準備が出来たみたいね?」
 「行きましょうか? あなたが真ん中よ、リスティア嬢」

 え?でも?

 「誰が見ても一番手柄はあなたよ、リスティア!」

 名前を呼ばれ扉が開く。
 うん、私の名前が一番最初。
 西風平原から帰ってきてそのままなので、私の格好はローブの上にレザーアーマー。公爵令嬢というよりは冒険者と言える姿。でもお母様やロザリー様も一緒。

 国王陛下の前で臣下の礼をとる私達。

 「表を上げよ。此度も素晴らしき働きだったそうだな、リスティア嬢」
 「恐れ入ります。これもひとえに陛下の御威光の賜物。それに光神銀竜様のご加護によるものでございます」
 「うむ、光神銀竜様がな。その背に載る卿の姿、真に神々しいものであったと聞く。予も見たかったの。ミリュー元帥、アイラ、卿らよくぞ素晴らしき娘を儲けてくれた。『白き聖女』『神竜の愛娘』が我が王国に居ること、行く行くは王太子妃になること、これ程誇らしい事はない」

 うわぁ、陛下褒めすぎです。赤くなっちゃいます。あ、お父様もお母様も照れてるみたい。

 「さて、リスティア嬢。これ程の偉業、讃えるにはどれだけの褒美があればよいかな?」

 ふぇ?

 あ、変な声出た。褒美ってこないだもらったよ?
 お母様を見ても苦笑い。お父様は? お前が決めろって顔…。丸投げかい!う~ん。

 「いえ、先日過分にも身に余る程いただきました。これ以上は…」
 「だが先日より大きい、正に偉業だ。あのまま骨竜が進めば王都も大変な事になるのは間違いない。一歩間違うと国が滅ぶところだ」

 え?骨竜ってそんな災厄レベルのアンデッドなの?お母様、私どうすれば?

 「恐れながら陛下、慎んで申し上げます」
 「うむ、何かの?アイラ」
 「この子は未来の、とはつきますが王太子妃になった身。であるならば国の為に動くは当然。実際王太子殿下も西風平原に来ております。国民もそれで納得致しましょう」

 流石お母様。少し強引な気もしますが。
 未来の王太子妃!やっぱり赤くなっちゃいます。

 「フム、そうかの?」
 「では、陛下。私への褒美は港町や骨竜が潰した二つの村の復興ということでお願い致します」
 「何?復興とな」
 「かなりの被害と聞いています。先日同様私の我が儘をお聞き届けくだされば幸いです」
 「成る程の。合いわかった」

 これが聖女の名に箔をつけるとこの時は思いませんでした。

 謁見が終わりカイル達と合流。あの場に居なかったチェレンから恨み言を散々聞かされてしまいました。ごめんね、お父様の矢面に立たせてしまって。

 「それもですが光神銀竜様見たかったですよ~。お嬢様狡いです」
 「いや、私だけじゃないでしょ?カイルもいたし?」
 「背に載ったの、お嬢様だけですよね?」

 いや、まぁそうなんだけどね。チェレン、高いとこ苦手じゃなかった?
 何か日常が戻って来ました。

 でもこれが王宮発表され、私の身の回り大騒ぎになってしまいました。
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