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5.白き聖女の伝説

祝福

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 『ルーク王太子殿下、聖女リスティア嬢とご婚約』

 謁見の後、すぐ王宮発表がありました。
 って配布羊皮紙が出来てるの、何故? 陛下?

 あ、カイルとチェレンも褒美貰ったんです。公爵家を通してという形で。関係ない、かわりないって言いたいけど、現状二人は私の付き家臣扱いなので。
 
 謁見が終わり謁見の間から出てきた時、私、まだぼーっとしてて。二人に祝福されて何か赤くなってしまいました。だって殿下と婚約だよ?私なんかでいいのかな?

 「父上もだけど、何より私が望んだのだ。その、無理強いしてしまったかもしれないけど」

 え?殿下?ここ控えの間ですよ?

 「いえ!あの!無理強いなんて、そんなことないです」
 
 あ、殿下?ホッとしてる?

 「殿下を嫌いな女性なんてこの国にはおりません。私も殿下に憧れお慕いする乙女の一人です。公爵令嬢らしくはありませんけど」

 ちょ?そこ!何頷いてるの?
 あれ?殿下も納得してるし?

 「そうだね。でもそれがリスティア嬢であり私の好きな女性なんだ。これからもよろしく」
 「はい、王太子殿下」
 「うん!そこは名前で呼んで欲しいな。ダメかい?」

 うわぁ、赤くなっちゃう。え?名前?あ、あの。がんばれ、私!

 「はい、ルーク様」

 殿下、笑顔素敵です。可愛いって言ったら不敬罪かな?

 「じゃ、また学校で」
 「はい、ルーク様」

 とにかく謁見は終わりました。日常に戻ります。

 「お嬢!無理‼︎」
 「公爵令嬢+王太子妃。何やるにしてもこれまで以上に『規格外』言われると思います」

 言うの、ほとんどチェレンだよ?

 王宮を出てびっくり?
 街はお祭り騒ぎです。何か街中から祝福されているようです。えへへ、ありがとうございます。

 別宅に戻り学校の制服に着替えます。流石に王宮へは公爵令嬢らしき白を基調としたドレス。カイルとチェレンは、黒いタキシード姿でした。

 で、昼から登校。馬車を用意してたら王族の馬車が内に来ました。あれ?殿下?

 「別々に行ったら多分一人で取り囲まれると思ったのでね。一緒に行った方がお互い良さそうな気がするんだ」
 「お心遣い感謝致します、でん…、ルーク様」
 「ハハハ、言い難いかな?うん!まぁ、慣れてくれるとうれしいよ」
 「はい、ルーク様」
 「あんな女の子らしいお嬢!初めて見た」
 「カイル?私、雷撃魔法覚えたんだからね。わかってる? 火、水、風属性複合型魔法Lv3だよ?」
 「だよ?じゃなくて。俺死ぬから」

 もちろん学校もお祭り騒ぎ、祝福ムード一色です。
 私達、一緒に登校して来たので騒ぎは一段と大きくなりました。

 「殿下!おめでとうございます」
 「リスティア様、おめでとうございます」

 ホント、一人で囲まれてたら大変でした。感謝します、ルーク様。
 あ、ローラ?それと、シャーロット?

 「「殿下、リスティア様、ご婚約おめでとうございます」」
 「「ありがとう」ございます」

 「リスティア様が同じ立場になられたこと、本当にうれしいですわ」
 「シャーロット様、色々教えてくださいませ」
 許婚者持ちって何かと制約と世間の目があるのです。

 その日は授業になりませんでした。
 先生方までお祭り騒ぎってどうなの?


 秘かな、ある場所から私達を見る者がいました。
 例の黒いローブの男。

 「まさか神聖魔法を使えるとは。女神の代理とでもいうのか? リスティア=ミリュー! くくく、けけけけけけけけけけ!次はこうはいきませんよ」
 「次は?」
 「妹だけが脚光を浴びる。兄はどんな心境かな?くくく、けけけけけけけけけけ!」

 お兄様に魔の手が伸びようとしていました。
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