16 / 90
3.新年度、学校で
医術
しおりを挟む
医学の授業って言うか休日の実地体験です。
王都郊外の教会で医療行為の見学、及び体験してます。医学を選択したのは三人。私と騎士爵位令嬢のシア=デイル、薬師の息子のマイク=ドーン。
で、護衛のカイル。
どうしてカイルが自習って言って時間割開けたのか? 私のせいだよね? ごめん、そしてありがとうカイル。
普通に側にいるから、いつもいるから気付かなかった。私しかとっていない授業、カイルはただ護衛についているのです。
さて、この世界は魔法医療です。回復魔法で大概何とかなるのです。ケガの治療がメインですけど毒や大人の二日酔いまで。
でもこの日、急患の重病患者が担ぎ込まれてきました。
「司祭様いますか?うちの人が!」
血相を変えて入ってきた婦人と苦痛に顔を歪ませて呻く男性。何かお腹を押さえて両脇抱えられて。
え?何か臭い?
「吐いて下して大変なんだ」
脇で支える男性が訴える。
とにかくまずはベッドに寝かせる。
何?食当たり? え?でもこの人だけ?違うもの食べた?
司祭様も医学の講師フィン=カーター先生も同じ事考えた?
「同じものです。なのにこの人だけ」
「何食べた?生のモノ?」
揚げ物やお肉、とにかく脂っこいモノばっかり。油?まさか?
司祭様と先生が何だろうと考えてる中、ピンとくるものがあった私は寝ている患者の横に座る。
「痛いの、ここですか?」
お腹をやさしくゆっくり触っていく。
「その下。あぁ、そ、そこ!くっ!」
あ、ある。お腹にしこり。これって、うん、間違いないと思う。
司祭様と先生が私を見る。
「何か、しこりがあるんです。ここ」
私に言われて先生も触る。
先生もピンときたみたいだ。
「カーター先生?」
司祭様が尋ねる。先生、ちょっとつらい表情。
「多分、黒変臓病。胃が変化しつつあるんだ」
患者とその奥様、顔色真っ青!
黒変臓病。内臓が黒く変化していく奇病。傷みを伴い黒変が広がり、やがて死んでしまう病気。回復魔法でも治らない奇病で数年で命を失う。
前世の知識で癌と言われていた病気。そうか、癌の治療は確か…。これを魔法に置き換えて…。
「黒変臓病?え?あ、あの、そんな!」
泣き崩れる奥様。患者の男性茫然。うん、不治の病で、治療方法がないのだから。でも、…私なら。
「先生!私…、あの、治療して、いいですか?」
みんながびっくりして私を見ます。
「リスティア嬢?え?できるの?何か知っているの?」
頷く私。先生と患者を見る。
「お願いします!何か治療できるのなら。お願いします!!」
奥様が叫ぶ。頭を下げる。先生も頷く。
「私を信じてください。楽にして、スリープ!」
まずはリラックスしてもらい眠ってもらう。
「スタン!」麻酔代わりの麻痺呪文。
しっかり患部を把握するため、透視呪文「クリア・アイ」。
うん、見えた。この黒く変化したところだけもぎ取る。転移呪文「アポート!」。
で、すぐ再生「ハイヒール!」。よし!麻痺呪文利いてるから出血もあまりない。胃が再生していく。うん、外科手術完了。
「もう、大丈夫!黒変した部分を切除して残ったキレイな臓器を再生しました。見る限り他に黒変した部分はありませんから、これで黒変臓病治ったと思います」
周りの驚嘆の顔!
「お嬢!スゲェ!」
カイル、びっくりしすぎ!って先生も‼︎
「回復魔法効かない病気に、補助魔法の組み合わせで取り除くなんて!本当にすごい‼︎リスティア嬢、誰に聞いたの?どこで覚えた?」
「あ、あの、お、お母様からです」
ごめんなさいお母様。名前借ります。
「そうか、君の母上は天才魔術師アイラ=シャーリー、いや、ミリュー公爵妃か」
流石はお母様。説得力あります。後で報告したら、ある意味騒ぎになっていて、「事前に報告しなさい」と怒られました。だって…、急患だよ?
でも治って良かった。うん、頭にある異世界の知識。上手く使えて万事O.K.だよね?
この事が、医学界と魔術師の間で大革命の騒ぎになっていくなんて!私、まったく思ってなかったのです。
王都郊外の教会で医療行為の見学、及び体験してます。医学を選択したのは三人。私と騎士爵位令嬢のシア=デイル、薬師の息子のマイク=ドーン。
で、護衛のカイル。
どうしてカイルが自習って言って時間割開けたのか? 私のせいだよね? ごめん、そしてありがとうカイル。
普通に側にいるから、いつもいるから気付かなかった。私しかとっていない授業、カイルはただ護衛についているのです。
さて、この世界は魔法医療です。回復魔法で大概何とかなるのです。ケガの治療がメインですけど毒や大人の二日酔いまで。
でもこの日、急患の重病患者が担ぎ込まれてきました。
「司祭様いますか?うちの人が!」
血相を変えて入ってきた婦人と苦痛に顔を歪ませて呻く男性。何かお腹を押さえて両脇抱えられて。
え?何か臭い?
「吐いて下して大変なんだ」
脇で支える男性が訴える。
とにかくまずはベッドに寝かせる。
何?食当たり? え?でもこの人だけ?違うもの食べた?
司祭様も医学の講師フィン=カーター先生も同じ事考えた?
「同じものです。なのにこの人だけ」
「何食べた?生のモノ?」
揚げ物やお肉、とにかく脂っこいモノばっかり。油?まさか?
司祭様と先生が何だろうと考えてる中、ピンとくるものがあった私は寝ている患者の横に座る。
「痛いの、ここですか?」
お腹をやさしくゆっくり触っていく。
「その下。あぁ、そ、そこ!くっ!」
あ、ある。お腹にしこり。これって、うん、間違いないと思う。
司祭様と先生が私を見る。
「何か、しこりがあるんです。ここ」
私に言われて先生も触る。
先生もピンときたみたいだ。
「カーター先生?」
司祭様が尋ねる。先生、ちょっとつらい表情。
「多分、黒変臓病。胃が変化しつつあるんだ」
患者とその奥様、顔色真っ青!
黒変臓病。内臓が黒く変化していく奇病。傷みを伴い黒変が広がり、やがて死んでしまう病気。回復魔法でも治らない奇病で数年で命を失う。
前世の知識で癌と言われていた病気。そうか、癌の治療は確か…。これを魔法に置き換えて…。
「黒変臓病?え?あ、あの、そんな!」
泣き崩れる奥様。患者の男性茫然。うん、不治の病で、治療方法がないのだから。でも、…私なら。
「先生!私…、あの、治療して、いいですか?」
みんながびっくりして私を見ます。
「リスティア嬢?え?できるの?何か知っているの?」
頷く私。先生と患者を見る。
「お願いします!何か治療できるのなら。お願いします!!」
奥様が叫ぶ。頭を下げる。先生も頷く。
「私を信じてください。楽にして、スリープ!」
まずはリラックスしてもらい眠ってもらう。
「スタン!」麻酔代わりの麻痺呪文。
しっかり患部を把握するため、透視呪文「クリア・アイ」。
うん、見えた。この黒く変化したところだけもぎ取る。転移呪文「アポート!」。
で、すぐ再生「ハイヒール!」。よし!麻痺呪文利いてるから出血もあまりない。胃が再生していく。うん、外科手術完了。
「もう、大丈夫!黒変した部分を切除して残ったキレイな臓器を再生しました。見る限り他に黒変した部分はありませんから、これで黒変臓病治ったと思います」
周りの驚嘆の顔!
「お嬢!スゲェ!」
カイル、びっくりしすぎ!って先生も‼︎
「回復魔法効かない病気に、補助魔法の組み合わせで取り除くなんて!本当にすごい‼︎リスティア嬢、誰に聞いたの?どこで覚えた?」
「あ、あの、お、お母様からです」
ごめんなさいお母様。名前借ります。
「そうか、君の母上は天才魔術師アイラ=シャーリー、いや、ミリュー公爵妃か」
流石はお母様。説得力あります。後で報告したら、ある意味騒ぎになっていて、「事前に報告しなさい」と怒られました。だって…、急患だよ?
でも治って良かった。うん、頭にある異世界の知識。上手く使えて万事O.K.だよね?
この事が、医学界と魔術師の間で大革命の騒ぎになっていくなんて!私、まったく思ってなかったのです。
0
お気に入りに追加
1,896
あなたにおすすめの小説
【完結】よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳
キムラましゅろう
恋愛
わたし、ハノン=ルーセル(22)は術式を基に魔法で薬を
精製する魔法薬剤師。
地方都市ハイレンで西方騎士団の専属薬剤師として勤めている。
そんなわたしには命よりも大切な一人息子のルシアン(3)がいた。
そしてわたしはシングルマザーだ。
ルシアンの父親はたった一夜の思い出にと抱かれた相手、
フェリックス=ワイズ(23)。
彼は何を隠そうわたしの命の恩人だった。侯爵家の次男であり、
栄誉ある近衛騎士でもある彼には2人の婚約者候補がいた。
わたし?わたしはもちろん全くの無関係な部外者。
そんなわたしがなぜ彼の子を密かに生んだのか……それは絶対に
知られてはいけないわたしだけの秘密なのだ。
向こうはわたしの事なんて知らないし、あの夜の事だって覚えているのかもわからない。だからこのまま息子と二人、
穏やかに暮らしていけると思ったのに……!?
いつもながらの完全ご都合主義、
完全ノーリアリティーのお話です。
性描写はありませんがそれを匂わすワードは出てきます。
苦手な方はご注意ください。
小説家になろうさんの方でも同時に投稿します。
私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない
丙 あかり
ファンタジー
ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。
しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。
王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。
身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。
翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。
パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。
祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。
アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。
「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」
一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。
「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。
******
週3日更新です。
私と離婚して、貴方が王太子のままでいれるとでも?
光子
恋愛
「お前なんかと結婚したことが俺様の人生の最大の汚点だ!」
――それはこちらの台詞ですけど?
グレゴリー国の第一王子であり、現王太子であるアシュレイ殿下。そんなお方が、私の夫。そして私は彼の妻で王太子妃。
アシュレイ殿下の母君……第一王妃様に頼み込まれ、この男と結婚して丁度一年目の結婚記念日。まさかこんな仕打ちを受けるとは思っていませんでした。
「クイナが俺様の子を妊娠したんだ。しかも、男の子だ!グレゴリー王家の跡継ぎを宿したんだ!これでお前は用なしだ!さっさとこの王城から出て行け!」
夫の隣には、見知らぬ若い女の姿。
舐めてんの?誰のおかげで王太子になれたか分かっていないのね。
追い出せるものなら追い出してみれば?
国の頭脳、国を支えている支柱である私を追い出せるものなら――どうぞお好きになさって下さい。
どんな手を使っても……貴方なんかを王太子のままにはいさせませんよ。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
英雄になった夫が妻子と帰還するそうです
白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。
愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。
好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。
今、目の前にいる人は誰なのだろう?
ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。
珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥)
ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる