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第二章 首を突っ込み過ぎた?

第10話 わぁい!男の娘だらけの格闘大会 中堅戦

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「イツキ!」

そこには丸太で組まれたベンチに佇むイツキが居た。
声を掛けた僕に気が付くと目の辺りを必死に擦っている、母さんが言ってた通り本当に泣いていた様だ。

「…何だよ…別に泣いてなんかないからな?…」

ツンデレか!気丈に振舞おうとしてそう言うがすぐに涙が溢れ出て来る。

「これ…使えよ…」

僕はイツキの前にハンカチを差し出す、初めは戸惑っていたイツキだったが、受け取ってくれた。

「オレ、自分の気持ちが分からないんだよ…」

ハンカチで涙を拭うイツキ、目の下が微かに赤い。
すかさずマフラーも巻いてあげた。

「この季節にミニスカートのセーラー服じゃ寒かっただろう?マフラーじゃ脚は温められないけどな…」

僕はバツが悪そうに頭を掻く。

「ありがとう…実は…アキラがミナミ達と仲良くしているのを見るだけで、何だかこう、胸が締め付けられる様な感じがするんだ」

僕は黙ってイツキの独白に付き合うことにした、次鋒戦でバラ組が負けたとか、後が無いからイツキに中堅戦を任せたいとか、時間が無いとか今は言える空気では無い…言ったが最後、僕とイツキの関係はきっと取り返しのつかない所まで行ってしまう、そんな気がした、僕はそんなのは嫌だ!

イツキはさらに続ける。

「その感情は…親友を取られそうになっているから面白くない?それとも…好きな人を取られそうになって嫉妬している?そもそもオレは男なのか?私は女なのか?そんな事を考えてたら頭の中がグチャグチャになって感情の昂ぶりを押さえ切れなくなって…」

次々とイツキの口をついて、心に渦巻く不安が言語化して出て来る、相当心細かった事だろう…

「アキラも気持ち悪かっただろ?…親友だった男が、しばらく姿を消したと思ったら女装して戻ってきたりして…おまけにアキラの気持ちも考えずに彼女面でやきもち焼いたり…
でもオレ、アキラの事好きなんだよ!大好きなんだ!」

激昂し、止めど無く溢れる涙!いけない!このままではイツキの心は潰れてしまう!
僕の体は無意識の内に動き、イツキを思いっきり抱きしめていた!

「もういい!もういいんだ!そんなに自分を責めるなよ!」

急に抱きしめられて驚いたのかイツキは体を硬直させたが、すぐに僕を抱きしめ返してくれた、それも力強く!

「イツキは悪くない!僕はイツキに好きって言ってもらえて凄く嬉しかったよ!
イツキが男だとか女だとかそんなのは関係ない!僕は人としてイツキの事が大好きだ!」

「うっうううっ…!あああああっ!」

イツキの目から滝の様に涙が溢れ続ける…それは僕の冷たくなっていた頬にも伝ってきて、とても暖かかった…

「ありがとう…私を受け入れてくれて…本当に大好きよ…アキラ」

僕の胸に柔らかな感触が当たる、イツキの胸が膨らんでいるんだ、女性化しているのか?
どぎまぎしていると不意に…


ちゅっ


唇にマシュマロみたいな柔らかい感触!

え?いっ…今のは…何?…まさか…イツキに…キス…された?
僕のファーストキスが…まさかあのイツキとする事になろうとは……!
きっと今の僕は顔を真っ赤にして湯気を上げているに違いない…何てこったい!

イツキは僕の体を半ば強引に突き放すと、すぐさま背を向け、

「さっ帰ろっか!みんなの所へ!」

そう言うと団体戦が行われている広場の方へ駆け出して行ってしまった!
どんな表情をしているのかを僕に見せない様に…

「まったく…しょうがないな~」

僕もすぐイツキの後を追いかけた。



アキラがイツキを探しに行って大体20分位経ったろうか…
さっきのゴタゴタでユリ組に妙な空気が流れている。
やはりビキニの水着だけでは寒かったのか、銀髪ショートボブの赤ビキニは腰にパレオを巻いていたが、とても険しい表情をしている。
チーム内の実力が一番上でもないのに勝手にリーダー気取りだったんだろうな…あの赤ビキニ、
自分より強い女騎士ヒカルにより、命令を遮られたのが余程気に入らないらしい…
女騎士も女騎士で、赤ビキニに背を向け腕組みをしたまま仁王立ちだ。
そんな事よりも心配なのはオイラ達バラ組…みんなお通夜みたいに沈み込んでいる。
オイラは先鋒戦で受けたダメージがかなり残っている、
特に肩が深刻だ…ちょっとでも上に腕を挙げようものならたちまち激痛が走る。
チアチアキ(言い辛い)め!オイラを面白いようにボコりやがって!
当のチアキはユリ組陣営で、お尻に氷嚢を乗せて唸っている。

「うう~…お尻がいたいの~顔が痛いの~」

次鋒戦でワンパンK.O.されたアイも胸が痛む様で、意識はあるが横になったままだ。

「なあジュン…このまま時間内に二人が戻って来なかったとして、あの女騎士に勝てる見込みはあるのか?」

急にオイラに話かけられビクッと驚くジュン、そんなに驚かなくても…
そう言えばオイラ達って顔を合わせて日が浅い急造チームだった…!
他のメンバーとまともに話をした事が無かったな~。

「あ…ああ、まかしとき!あんなけったいなベベ着たヤツなんかケチョンケチョンにしてやるさかいにな…」

冷や汗を大量に掻き、目が泳いでいるジュン…無理すんなよ。

「みんな~大丈夫~?」

あっ!こののんびりした癒しボイスはシノブママだ!
オイラの恩人!アキラの母さんだから、オイラとは血は当然繋がってないけどオイラにとっては母さんみたいな人だ!ボロボロになったオイラを介抱して慰めてくれた御恩…一生忘れません!
今は同性婚を認めてくれる所だって有るんだ!アキラと結婚出来れば義理の母さんになってもらえる!
よ~し!今度のデートで必ずアキラを落とす!
シノブママは両手いっぱいに大きな風呂敷包みを持ち、背中にもリュックに入った何かを背負っている。

「おうシノブ!弁当を持って来たか、ありがとニャ!例のブツも持って来てくれた様だニャ」

例のブツ?はてカグラ様は何を言っているのだろう…あのリュックの中の物かな?

「さっき~アキラ君とイツキちゃんに会ったわ~きっとじきに戻るわね~」

おお!オイラ達は思わず歓声を挙げた!
この次の中堅戦をどうにかしなければオイラ達バラ組に勝ちは無い…
その望みを繋げるのは、悔しいけど今はイツキだけだ!

「みんな!本当にゴメン!」

シノブママが言った通り、すぐにイツキが駆けつけてオイラ達の前で深々と謝罪した。

「遅いぞイツキ!まあ…間に合ったから許してやるよ!」

「イツキはん!待っとったで~!中堅戦はまかせたわ~」

ジュンは心底ホッとした様だ、いつもの調子に戻っている。

「分かったわ!任せて!」

ポン!と軽やかにフィールド内に飛び込むイツキ。

「来たか…」

ずっとポーカーフェイスだった女騎士ヒカルがニヤっと、ちょっとだけ口角を上げた様な気がした。
試合開始直前…フィールド上で睨み合う二人…
しかし、ここで横やりが入る。

「内藤ヒカルさん、その腰から下がっている物は武器ですか?もしそうなら外して下さい、ルール上、武器の使用は認められておりません」

宮野審判長が注意すると

「おっと!すまない…待たされ過ぎて外すのを忘れていたよ」

ヒカルは左の腰から剣と思しき物体を外すと、フィールド外に居るチャイナのタツミに放り投げた。

「預かるアルね」

パシッと受け取るタツミ。

「こんな騎士然とした格好をしていると、それが無いと様にならないのでね…」

そう言って肩をすくめるヒカル。

「はぁはぁ…間に合った…」

やっとアキラの到着だ!

「遅いぞ!マイダーリン!(はぁと)」

オイラは親指をくわえ、体をよじって熱い眼差しをアキラに送った!

「誰がマイダーリンだ!!」

もう…照れちゃって!可愛いんだから!
絶対オイラのお婿さんになってくれ。



しかし、あのいで立ちで丸腰とは…女騎士風のヒカルは一体、どんな戦い方をするのだろうか…見当が付かないが、あのガントレットで殴られたらそれはそれで痛そうだ。
僕は走って来て切れてしまった息を整えながらヒカルに注目する。
恐らくこの中では一番の実力者!何とか付け入るスキを見つけないと、
さすがのイツキも太刀打ち出来ないだろう…

「ファイト!」

中堅戦開始の合図だ!

「先手必勝!」

最初に仕掛けたのはイツキだった、ヒカル目がけて飛び込み、右の拳を繰り出す。
ヒカルは左手の甲をイツキに向けてガードの体制、だが今のイツキはトランスセクシャル化しているし何より気合いがさっきまでとは違う!そうなった経緯を思い出すと顔から火が出る程恥ずかしいが、
そんな片手ガードなぞ弾き飛ばすはず…と思っていたのだが…
イツキの拳はヒカルの腕に到達することは無かった。
ヒカルの手の甲から10センチメートル位の所で何か透明な壁にでも阻まれているかのように止まってしまったのだ!

「なっ?」

何が起こったのか分からない様子のイツキ、慌てて間合いを離す。

「そんな間合いでいいのか?」

特に抑揚のない声でそう言い、ヒカルは今度は拳を握った右腕を振り上げそのまま下に振り抜く!
バックステップで間合いを離していたイツキには当たらない距離だ…ったはずが…!
イツキのセーラー服の胸元のリボンがスパッと切断されたのだ!
ズタズタになり、無残に地面に落ちるエンジ色のリボン。
何だ?いったい何をした?

「マズイニャ…あやつ、マスタークラスの攻撃アニマの使い手ニャ!」

珍しく困り顔のカグラ、

「何だそれは?」

「あやつはアニマの収束率を高めて自由自在に形を形成して攻撃できるのニャ!簡単に言うとあやつは透明な剣と盾を持っている事になるニャ!」

何と!あの女騎士のコスチュームは伊達では無かった訳だ。

「あんなの反則じゃないのか?!審判長!」

抗議をしてみたが

「実際に武器を使用している訳では無いのでルール上問題ありません」

と、返されただけだった。

「反則とは無礼じゃないか、これは血の滲む様な日頃の鍛錬の賜だ!」

僅かに語気は強いが相変わらずの静かな物言い、一応怒っている様だ。

「ふぅぅぅぅん!」

ヒカルは容赦なく何度も見えない剣をイツキに対して振るい続ける。
イツキは体の前で腕をクロスして耐えるが、セーラー服は次々と裂かれ、その生地の占める割合を減らしていった…どんどん露わになるイツキの肌!

「イツキ~!!」

このままではイツキの体までが切り裂かれてしまう!

「大丈夫!」

イツキの表情は、恐怖に恐れ慄く所か不敵な笑みを浮かべている。
何より目が輝いている、負けを認めた者の顔では無い!

「うぬ?」

ヒカルも異変に気付く。
実際、イツキは服こそボロボロなのだが、アニマの剣が当たっているはずの肌には傷一つ付いてはいなかったのだ。

「貴様…随分と練り込まれたアニマを全身に纏っているではないか!」

「えへへへ!ちょっと色々ありまして…今は絶好調なのよ!」

僕の方に目配せして微笑むイツキ、ちょっと恥ずかしいけど僕も微笑み返す。

「なるほど…恋は人を強くすると言うからな…実際に目の当たりにした事は素直に信じよう!
だが、我の見えない剣撃をどう見切る?いくらお前が攻撃に耐えられようが攻めて来ねば我を倒す事は出来んぞ!」

「確かにそうね!」

はああああああああ!!!!!

イツキがアニマを体外に放出し始める!
イツキを中心に青白い光が周囲を照らす!

「そんなコケ脅しに我が乗るとでも?」

ヒカルは横、真一文字に腕を振るう!
すると、イツキの周りにある青白い光に透明な何かが通ったラインが出来る。

アニマソードの可視化…!

そうか!イツキはこれを狙っていたのか!

「その剣のリーチと幅が知りたかったのよ!それさえ分かれば何とか避けられる…」

「ほざくな!!」

物凄い速さで繰り出される剣撃!
しかし、先程とは打って変わってその剣はイツキを捉える事は無く、ことごとくかわされてしまった。
少しずつヒカルまでの距離を詰めて行くイツキ。
ヒカルの剣のリーチは拳から約70センチメートル位だが、間合いが近すぎると取り回しが利かなくなって来る物、とうとうイツキは自分の間合いに入った!

「受けなさい!アニマナックル!!」

イツキは体外に放出していたアニマを全て右の拳に集中させ、ヒカルの胸目がけて渾身の力で打ち込む!

バガーン!

ヒカルの胸を守っていたプレートアーマーが吹き飛ばされる!

「くっ!」

思わず後ずさるヒカル!すんでの所でクリティカルヒットを避けたのだ!恐るべき反応速度!
露わになった胸は、バストラインにフィットするカップ状の黄金の鎧、
俗に言うビキニアーマーに守られていた。
何と!ヒカルは鎧を二重に着ていた事になる。

「うむ…いい攻撃だ!私にこの外套を外させるとは…」

僅かに感嘆の声を挙げるヒカル、そして今まで纏っている青紫色のコートや破れてしまった服を取り去る。
するとイメージが一遍!肩、胸、腰回りだけを黄金の鎧で最小限に守っている軽装な女戦士的なルックスになった!勿論それ以外の箇所は殆ど肌色で占められている、おへそなども丸見えだ!

「ふははは…実にいい気分だ…久し振りに本気を出せる相手に巡り合えた」

ヒカルが今日初めてハッキリと表情を現わした、明らかに笑っている。

「では本気で行くぞ!耐えて見せろ!」

言うが早いか一瞬にして僕らの視界から消えた!はっ速い!
そしてイツキの体に纏わりつく様に素早く動き、拳で攻撃してくるヒカル!
圧倒的なスピード攻撃に翻弄されるイツキ、吹っ飛ばされた先にヒカルが周り込み攻撃を繰り返す永久ループと化し、イツキはダウンすら許されない!
イツキがいくら高練度のアニマを全身に纏って防御していてもそろそろ限界が来るのではないか…
試合をよく見て考えるんだ!きっと何かヒカル打倒のヒントがあるはず…今、僕がイツキにしてやれるのはそれくらいしかない!

んっ?…ヒカルはこの女戦士形態なってからアニマの剣も蹴り技も一切使ってない気がする…拳だけだ!
と言う事は…アニマを全てスピードに当てている?だからバランスを崩す足技を使わない…いや、使えないんだ!当然アニマ消費の激しい剣も使えない!

「イツキ!一度でいいヒカルのバランスを崩せ!やり方は任せる!」

「分かったわ!」

一方的に攻められ続けてはいるがイツキにはまだ余裕がありそうだ。
むしろ攻撃に逆らわず、力まず、なすがままになっているのが逆に深刻なダメージを受けない方法なのかも知れない。

「今!」

イツキは狙いすまして足払いを敢行!超スピードで移動しているヒカルが足をすくわれて一瞬にして宙に舞ってしまった!ただ位置関係が悪い!イツキは足払いを放った際に回転しているので、ヒカルに背中を向けた格好だ!

「行っけええええええ!!!!」

イツキは思い切り背中をヒカルにブチかました!格ゲーに良く出て来る技【鉄山靠】の様な感じだ!
背中同士でぶつかるイツキとヒカル、当然浮いているヒカルに成す術など無く、勢いよく吹っ飛ばされていった…
派手にフィールド内を転げ回るヒカル、やっと止まった先でダウンしたまま動かない…
それはそうだろう、アニマと言うエネルギーを全てスピードのパラメーターに注ぎ込んだんだ、
防御力など無いに等しかったはずだ。

「勝負あり!中堅戦勝者 バラ組 天原イツキ!」

イツキの勝利を告げる声が鳴り響く!

「おおおおお!!!」

「やったで!」

「あは!勝った…私勝ったよ…アキラぁ!」

どこにそんな力が残っていたのだろう、イツキは思いっきり僕に飛び付いて来た!そのまま後ろに倒れ込む僕。
顔を柔らかい双丘の感触が押しつぶす、うぷっ!息が苦しい!

「こらぁ~!オイラのダーリンから離れろよ~!」

ミナミまでドサクサに紛れて僕に抱き着いて来る!

「あ~もう!うるさーい!!」

勝利の高揚感で暫くギャアギャア騒がしかったが、母さんの鶴の一声。

「さ~皆さん~お弁当にしましょう~今日は私の特製ザンギ弁当よ~!」

そしてお昼休みとなった…
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