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本編
タイマンと奥の手
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「今回は!」「タイマン!」「一人ひとりで!」「いざ、「尋常に勝負!」」
あれ?タイマンなの?てっきりタッグで勝負、昨日のリベンジだと思ってたのに。
「別に構いませんわよ!」
おぉ、元気だねぇ。
「先に行くの?」
「もちろんですわ!目にものを見せて差し上げますわ!」
あぁそっか、コイツ、昨日は魔法の打ち合いでボロカスにやられてたからか…。
「なら、私からいくね!」
…どっちだ?あ、盾と槍がないから、《荒野》の方か。
どっちにしろ、まわりの被弾がとんでもない事になりそうなんだけど、遮蔽物が全くない。
つまり、自分達が危険な気がする。
特にクアイちゃんとかやられそうだよね。ラウクムくんは耐えそうだし、ナタリさんとかは普通に避けそう。
「じゃ、いくね!」
《不動》がパン、と手を鳴らすと、二人共詠唱なしで魔法をバカスカ撃ち始めた。
「はわっはわっ!はわわっ!」
余波でクアイちゃんが慌ててるな…。どうすることもできないけど。
アーネは、魔法を魔法陣に固定して魔法弾を撃ち続ける、昨日と同じヤツ。無詠唱だから数は一つだけ。
だけど、速度と手数は昨日の比じゃない。
一方、《荒野》の方は魔法陣に頼らず、一つひとつ撃っていく。ほぼ互角か?
「――速く、迅く、疾く、何をも置き去りにする双つの弓よ!」
アーネは、魔法陣に任せて撃たせている間に、魔法の詠唱を終えたみたい。
「『ツイン・アロー』!」
…どストレートな名前だよな。けど、魔法は凄まじかった。
炎と氷の細長い螺旋を描いた矢。それが目算、三十本!
《荒野》も目を丸くしている。
「蹴散らせ!我が身を侵すその暴威を!」
《荒野》の詠唱する所を初めて見た。
けど、アーネの方が早い!
「放て!」
その一言でコンマ一秒の間隔で三十本の矢が放たれる。
「『イーヴィル・バイト』!」
口。それが一番しっくりくる何かが出現した。
サイズはちょうど《荒野》の顔と同じ大きさ。
それが、荒野に当たる直前だった矢に食らいついた。
「!」
目を見開くアーネ。『ツイン・アロー』と魔法陣の両方の攻撃、それをバクバクという音が似合いそうな勢いで食べていく。
「…先輩、解説お願いしてくれる?」
「ちょっと待っててねー?」
《不動》の先輩が少しずつ下がっていってる?
それにあわせて下がり、「これぐらいかな!」と言ってから話をもう一度質問をする。
「で、何あれ?」
「あれはね、シクラナちゃんが使う、上一級の魔法、『イーヴィル・バイト』って言う魔法でね?感知範囲内の、よりエネルギーの高い物質目掛けてあの口が突っ込むの。あれは底なしでね。ひたすら食べ続ける化物だよ」
おぉ、先輩の口調から『!』が消えた。これホントに不味い魔法?
「それってつまり、アーネが噛み付かれたら…?」
「間違いなく食い切られる。あ、食いちぎるって意味じゃなくて、骨も残らずに平らげられちゃうの。しかも、発動後はコントロール効かないし、自動で止まることもない。止める方法は遠距離からの…」
口はバンバン矢を食べて近づいてく。アーネが作った矢はすべて食べ尽くされ、自動魔法陣も食いちぎられた。不味い、当たるっ!
「一撃っ!」
ごっ、という音と共に何かが自分の真横を通り過ぎ、今まさにアーネの喉元に食いつかんとした『イーヴィル・バイト』が掻き消えた。
あれ?タイマンなの?てっきりタッグで勝負、昨日のリベンジだと思ってたのに。
「別に構いませんわよ!」
おぉ、元気だねぇ。
「先に行くの?」
「もちろんですわ!目にものを見せて差し上げますわ!」
あぁそっか、コイツ、昨日は魔法の打ち合いでボロカスにやられてたからか…。
「なら、私からいくね!」
…どっちだ?あ、盾と槍がないから、《荒野》の方か。
どっちにしろ、まわりの被弾がとんでもない事になりそうなんだけど、遮蔽物が全くない。
つまり、自分達が危険な気がする。
特にクアイちゃんとかやられそうだよね。ラウクムくんは耐えそうだし、ナタリさんとかは普通に避けそう。
「じゃ、いくね!」
《不動》がパン、と手を鳴らすと、二人共詠唱なしで魔法をバカスカ撃ち始めた。
「はわっはわっ!はわわっ!」
余波でクアイちゃんが慌ててるな…。どうすることもできないけど。
アーネは、魔法を魔法陣に固定して魔法弾を撃ち続ける、昨日と同じヤツ。無詠唱だから数は一つだけ。
だけど、速度と手数は昨日の比じゃない。
一方、《荒野》の方は魔法陣に頼らず、一つひとつ撃っていく。ほぼ互角か?
「――速く、迅く、疾く、何をも置き去りにする双つの弓よ!」
アーネは、魔法陣に任せて撃たせている間に、魔法の詠唱を終えたみたい。
「『ツイン・アロー』!」
…どストレートな名前だよな。けど、魔法は凄まじかった。
炎と氷の細長い螺旋を描いた矢。それが目算、三十本!
《荒野》も目を丸くしている。
「蹴散らせ!我が身を侵すその暴威を!」
《荒野》の詠唱する所を初めて見た。
けど、アーネの方が早い!
「放て!」
その一言でコンマ一秒の間隔で三十本の矢が放たれる。
「『イーヴィル・バイト』!」
口。それが一番しっくりくる何かが出現した。
サイズはちょうど《荒野》の顔と同じ大きさ。
それが、荒野に当たる直前だった矢に食らいついた。
「!」
目を見開くアーネ。『ツイン・アロー』と魔法陣の両方の攻撃、それをバクバクという音が似合いそうな勢いで食べていく。
「…先輩、解説お願いしてくれる?」
「ちょっと待っててねー?」
《不動》の先輩が少しずつ下がっていってる?
それにあわせて下がり、「これぐらいかな!」と言ってから話をもう一度質問をする。
「で、何あれ?」
「あれはね、シクラナちゃんが使う、上一級の魔法、『イーヴィル・バイト』って言う魔法でね?感知範囲内の、よりエネルギーの高い物質目掛けてあの口が突っ込むの。あれは底なしでね。ひたすら食べ続ける化物だよ」
おぉ、先輩の口調から『!』が消えた。これホントに不味い魔法?
「それってつまり、アーネが噛み付かれたら…?」
「間違いなく食い切られる。あ、食いちぎるって意味じゃなくて、骨も残らずに平らげられちゃうの。しかも、発動後はコントロール効かないし、自動で止まることもない。止める方法は遠距離からの…」
口はバンバン矢を食べて近づいてく。アーネが作った矢はすべて食べ尽くされ、自動魔法陣も食いちぎられた。不味い、当たるっ!
「一撃っ!」
ごっ、という音と共に何かが自分の真横を通り過ぎ、今まさにアーネの喉元に食いつかんとした『イーヴィル・バイト』が掻き消えた。
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