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外伝
金剣の副隊長
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マムから情報を得た三日後、彼は軍のとある部隊と連絡を取り、マムの示した場所への侵攻を開始した。
「しかし光栄だね?かの有名な《英雄》とこうして仕事が出来るだなんて」
「こちらこそ。急な話だというのにこんなにも早く軍を動かしていただけるなんて、思ってもいませんでした」
王都を出て南へ約三十キロ地点。総勢五百は下らないであろう軍勢を率いる二人のうち、一人は黒鎧のアベル。そしてもう一人は。
「しかしあれだね?《英雄》殿は《勇者》殿と同じように黒鎧に他の部隊を混ぜたがらないものだとばかり思っていたのだがね?」
「それは勘違いというものですよ、クラウウェン殿。僕たちとしては、いつでも様々な部隊の力を借りたいと思ってます」
「その割に、我が部隊との合同作戦は今回が初めてじゃないかね?」
「厳密には初めてではありませんよ。二年前の機人主要都市四箇所同時攻撃作戦で見事生き残り、現在あなたが率いている金剣部隊の隊長にまで上り詰めた彼女……魔法の王と言う意味の《魔王》と言う称号をほしいままにしつつも、誰一人として否定も反論も出来ない、掛け値なしの大天才。アインノア殿とは、何度かご一緒させていただいています」
もう一人は、金剣部隊の副隊長を務める、クラウウェン・ゾード。本人の戦闘能力は乏しいが、副官としての能力は高いということで有名な男だ。
「しかしですな?過去に隊長個人に手助けを借りる要請はあっただろうけど、金剣の部隊を貸してほしいなどという要請は初めてではないかな?」
「ええ、まぁそうですね。いつもならば黒鎧のみで方をつけるのですが、今回は少し目標が大きすぎましてね……」
アベルが視線を向けた先には城とも屋敷とも形容出来る、少々変わった出で立ちの建物。
そして、その建物を中心にいくつかの家々が立ち並んでいた。
「あれが、今回の目標だね?」
「そうです。比較的力を持った魔族の周りに一般的な魔族が群れるようにして集まり、形成された一種の群れのようなものではないかと推測されています」
「黒鎧部隊の内約を確認してもよろしいかね?」
「近距離戦闘員十九名、遠距離戦闘員八名、うち、魔法特化は三名、遊撃手が十二名。以上、三十九名に付け加えて《英雄》が一名。合計四十名です」
アベルがそう言うと、クラウウェンは1週間ぎょっとした顔をしてこちらを向いたが、すぐに前に向き直した。
「ふむ……わかった。それでは明日、夜明けと共に仕掛けよう。指揮は任せてもらえるかね?」
「お願いします」
アベルが頭を下げ、クラウウェンが下げなくていいと手を振る。
「私達の元の階級は一応同格だからね?それどころか、アベル殿は《英雄》という称号さえ持っている。キミの方が上だという見方が大半を占めるからね?」
「確かにそうでしょうが…指揮を預ける以上、便宜上クラウウェン殿が上の方が便利でしょう」
どこまでも事務的に返す彼の言葉に、金剣の副隊長は苦笑を返すしかなかった。
「しかし光栄だね?かの有名な《英雄》とこうして仕事が出来るだなんて」
「こちらこそ。急な話だというのにこんなにも早く軍を動かしていただけるなんて、思ってもいませんでした」
王都を出て南へ約三十キロ地点。総勢五百は下らないであろう軍勢を率いる二人のうち、一人は黒鎧のアベル。そしてもう一人は。
「しかしあれだね?《英雄》殿は《勇者》殿と同じように黒鎧に他の部隊を混ぜたがらないものだとばかり思っていたのだがね?」
「それは勘違いというものですよ、クラウウェン殿。僕たちとしては、いつでも様々な部隊の力を借りたいと思ってます」
「その割に、我が部隊との合同作戦は今回が初めてじゃないかね?」
「厳密には初めてではありませんよ。二年前の機人主要都市四箇所同時攻撃作戦で見事生き残り、現在あなたが率いている金剣部隊の隊長にまで上り詰めた彼女……魔法の王と言う意味の《魔王》と言う称号をほしいままにしつつも、誰一人として否定も反論も出来ない、掛け値なしの大天才。アインノア殿とは、何度かご一緒させていただいています」
もう一人は、金剣部隊の副隊長を務める、クラウウェン・ゾード。本人の戦闘能力は乏しいが、副官としての能力は高いということで有名な男だ。
「しかしですな?過去に隊長個人に手助けを借りる要請はあっただろうけど、金剣の部隊を貸してほしいなどという要請は初めてではないかな?」
「ええ、まぁそうですね。いつもならば黒鎧のみで方をつけるのですが、今回は少し目標が大きすぎましてね……」
アベルが視線を向けた先には城とも屋敷とも形容出来る、少々変わった出で立ちの建物。
そして、その建物を中心にいくつかの家々が立ち並んでいた。
「あれが、今回の目標だね?」
「そうです。比較的力を持った魔族の周りに一般的な魔族が群れるようにして集まり、形成された一種の群れのようなものではないかと推測されています」
「黒鎧部隊の内約を確認してもよろしいかね?」
「近距離戦闘員十九名、遠距離戦闘員八名、うち、魔法特化は三名、遊撃手が十二名。以上、三十九名に付け加えて《英雄》が一名。合計四十名です」
アベルがそう言うと、クラウウェンは1週間ぎょっとした顔をしてこちらを向いたが、すぐに前に向き直した。
「ふむ……わかった。それでは明日、夜明けと共に仕掛けよう。指揮は任せてもらえるかね?」
「お願いします」
アベルが頭を下げ、クラウウェンが下げなくていいと手を振る。
「私達の元の階級は一応同格だからね?それどころか、アベル殿は《英雄》という称号さえ持っている。キミの方が上だという見方が大半を占めるからね?」
「確かにそうでしょうが…指揮を預ける以上、便宜上クラウウェン殿が上の方が便利でしょう」
どこまでも事務的に返す彼の言葉に、金剣の副隊長は苦笑を返すしかなかった。
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