大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

二つ名激突と二人の勇者6

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「オオオオオオオオ!!」
マキナが変形した巨大な盾が下から戦技アーツを放とうとしたウィルを上から押し潰す。
「マキナ!出力最大!!」
『重力魔法・発動』
スガン!!と腹の底に響く衝撃が抜ける。
「押し潰せ!!」
ガクン!とさらに押し込まれる。
『これ以上は・ウィルクライン様が・圧殺される可能性が』
「足りねぇ!!さらにかけろ!」
『了解し』
「ハァッ!!」
気合いのこもった声と共に、マキナ諸共ぶっ飛ばされた。
「まっ、じかよ!?」
『追撃くるぞ!!』
まさか、ウィルの戦技アーツが終わっていない──!?
「ハッ!」
氷拳を構えたウィルが迫る。その身体は薄く白のオーラが覆っている。
間違いない、戦技アーツは継続されている。
「マキナ!!」
手足をほとんど動かせない俺の身を守ったのは再びマキナ。巨大な盾の形をしたマキナが一瞬で凍りつくが、それでもなんとか一撃受け止める。
しかし間髪入れずに次撃。
「っ!」
耐えきれずにマキナが氷と共に砕け散り、暴風が荒れ狂う。
盾の向こうにいたウィルの構えは蹴り。手足に残っている魔法は雷。となると次の行動は容易く予想がつく。
「ハァッ!!」
「クソが!!」
手元には金剣も銀剣も黒剣もない。マキナもたった今砕け散った。
『血界だ!第二で避けろ!!』
それだけは絶対断る。
『なんでだ!?』
「俺が《緋眼騎士》としてここにいるからだ」
ボソリと呟き、右腕を伸ばす。
そこに巻きついた髪が蕾の花のように開き、一瞬だけウィルの視界を遮る。
俺の髪は三メートル以上の長さを誇る。全力で伸ばせばそれぐらい不可能ではない。
そしてその瞬間、俺は下がるのでも横に避けるのでも無く、前に転がりながら進んだ。
直後、俺の上をゴウ!と何かが通り過ぎる。
「っぶねぇなぁおい」
そのまま痛む足で戦技アーツ直後の硬直中のウィルの横を走り抜ける。
「外したか…腐っても二つ名持ちって所かな?」
「腐ってねぇよ。舐めんな」
赤黒く変色した手で下に転がっている金剣を拾い上げる。黒剣も拾いに行きたかったが、距離的に無理だ。今そんな隙を見せれば間違いなくやられる。
「俺は《緋眼騎士》のレィアだ」
「…?急に何を?」
「俺は《緋眼騎士》として──レィア・シィルとしてここにいる」
「…あぁそうだね。僕は《勇者》のウィルクライン・アウラングだよ。急に自己紹介?」
「だからだ」
「……?」
「だから俺はお前に《緋眼騎士》として勝つ。それだけだ。それ以外の何でもない」
「ごめんね、僕には君が何を言っているかさっぱり訳が分からないよ」
「分からないならそれでいい。むしろそれでいい。今のは俺の小っ恥ずかしい独り言だ」
金剣を構える。
その時、右手が光った。
いや違う。右手につけていた指輪──友人の遺骨から作ったそれが光を発していた。
剣先をやや下に向け、右手の指先で剣の文字をなぞる。何故そうしたかはわからない。
だがその途端、口から勝手に言葉が紡がれた。
「名無き者の後継者が《理》を持って命ずる──」
なぞった文字が白く──いや、白銀に光り輝きはじめる。
それに呼応するかのように指輪も強く、強く光を放つ。
「敵を貫く《聖弾》の理をここに」
身体が勝手に意図せず動き、煌覇とほぼ同じ動きで金剣を振る。
その直後、白銀の発光が極限に達し、爆発した。
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