大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

空中都市と侵入方法

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「──だからここには俺とララしかいない。この先にいくつか部屋があるが、誰もいねぇよ」
だから早く出てってくれ。ゼクターがため息と一緒に手をひらひらと振りながらそう言う。
「な、なんで魔族のアンタがわざわざ俺にそんな事を?俺は」
「ヒトだろ?見りゃ分かる。ララは気づいてたかどうか知らないが、普通は見れば一発でわかるからな」
ちらり、と一度だけ俺を見たのは獣のような眼光。
生物の本能として反射的に竦めそうになる身を押さえつけ、睨み返す。
「ははっ、そう警戒するな。ヒト種お前さんからしたら、清く正しい身体だとか心じゃあない。むしろ殺した数を考えりゃ、ドロッドロに汚れきった汚物の塊の方が綺麗に見えるぐらいかもな。それでも、最後にをしたのは二百年ぐらい前だ。お前さんからしたら、だからどうだって話だろうが……ともかくなんだ、お前さんを騙してどうこうしようなんて気だとか、後ろから奇襲だとか、そういったことはしないさ」
……その言葉に、おそらく嘘は無いだろう。
もし最初から俺を殺す気なら、部屋に入った瞬間にしていただろう。
「……わかった。あんたを信じる」
「信じる必要はないんだがな…」
バリバリと乱雑に頭を掻き、少しだけ面倒くさそうに表情を動かすゼクター。
「で、どうやって空中都市に行けばいいんだ?」
「空中都市に登るためには二通りの方法がある。一つは瞬間移動で特定のポータルまで跳ぶ方法。大部分の妖魔族はこの方法だが……そもそもヒトは魔力量的に難しいか。もう一つは、空中都市から地上に物資を送る箱があるんだが、これが使い回しでな。身体に結構な負担がかかるだろうが、この中に飛び込めば勝手に運んでくれるさ」
「箱…?どのぐらいの大きさだ?」
「今回のは縦横高さ、全部一メートルだったかな。妖魔族俺達の基準サイズでB級サイズだから、多分そのぐらいか。今から急いで上に戻れば回収までにはギリギリ間に合うだろうよ」
その大きさなら俺一人ぐらいギリギリ入れるか。
「よし、わかった。ありがとう、ゼクター」
「礼なんざ要らねぇよ。俺が口を出せるのはここまでだ。ヒトの世の中よりかは移り変わりにくいとはいえ、魔族の都だ。俺が住んでたのは二百年前…いや、戦場を彷徨いていたからな。中についちゃ何も言えねぇ。悪いな」
「侵入方法が分かっただけで充分だよ。……折角だ、アンタの名前を聞きたい」
立ち上がりざまにそう聞くと、背中を向けたゼクターが怪訝そうに答える。
「俺の名前?さぁ、何だったかなぁ」
「おいおい、ふざけてんのか?」
「そんなもん、何百年も生きる俺達は昔過ぎて忘れたよ。ところで?」
あぁそう、そう言う。
「さぁ?なんだっけ。じゃあな、知らない親切なおっさん」
俺も振り返らずに部屋を出、光の部屋に一人になってから目を閉じて、深呼吸を一つ。
さて。
まずは袋の中からタイマーを取り出し、残り時間をチェック。
タイマーは残り時間が丁度四十八時間を切った所。
「行くか」
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