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本編
拒絶感と壁
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少女の姿を目視した瞬間、なんとも言えない懐かしさがこみ上げる。しかし、それと同時に恐ろしいまでの拒絶感。それも感じていた。
背中の《勇者紋》が今までに無いほど騒めき、過去に覚えがないほど熱く熱く熱を持つ。
『──《血鎖》!!』
背中の騒めきに従い、銀剣から離した右手から血で編んだ鎖を飛ばす。
あらゆる魔法をはじき返すこの鎖を、なんの躊躇も無く少女の顔に叩き込む。
魔術を完璧に弾くことは不可能だが、ここまで迫れれば、魔術でどうにかするより早く《血鎖》が顔面に突き刺さる!!
「ほう、やはりそうか!」
どことなく嬉しそうな少女。いや、その笑い顔を見ればもっと幼いかもしれない。
いずれにしろ、か細い女が腕力でどうにか出来る代物じゃない。
「しかし甘いな。そして短絡的でもある」
ぱちん、と乾いた音が鳴る。発生源は少女の手元。中指と親指を弾き、詠唱もせずに視認できるほど強力な障壁が少女の前に現れる。
障壁だろうと関係ない。魔法であれば、どれだけ強固な壁であっても粉砕してみせる。
『オォッ!!』
『あっ、思い出した!下がれ!今代の!!』
シャルの言葉を俺が認識するより早く障壁に俺の血鎖が衝突。
直後、驚く程強力な衝撃と共に俺の身体ごと後ろへ吹き飛ばされる。
『がっ!?』
全身満遍なく強かに叩かれたような感覚。一瞬視界が真っ白に染まるが、すぐさま元に戻る。
即座に起き上がり、発動したままの《血呪》の力で少女の眼前まで跳び──
「たわけ。たかだか第一血界程度で余の第五結界を貫ける訳が無かろう」
『なっ!?』
見えない壁に遮られる。
『てめぇ…何モンだ。《勇者》の事をどこまで知ってやがる。なんでお前が結界を扱える。どうしてこんな所にいやがるっ…』
「質問の多い奴だのう。嫌いではないが、そこまで多いと余も答えきれん。ひとまず剣を収め、鎧を外さぬか?」
やや嫌そうに目を細め、しかし口元は楽しそうに歪めながら少女がそう提案する。
『そっちが先に手ぇ出して来たんだろ。解除して首チョンパってなったら目も当てられねぇんだよ』
『今代の。多分大丈夫だ。気まぐれだから断言は出来ないが…恐らく』
なんだそりゃ。
『いいから。とりあえず剣を収めろ』
…そこまで言うなら。
『………。』
「ほう、存外素直なのだな。良い事だ」
『ここまでだ。鎧は取らねぇ』
「敵か味方かも分からぬ相手の言う事を全て聞かないという点もまた良い」
くふふ、と笑いながら少女が閉じ込められていた箱の中に優雅に座る。
『で、テメェは誰だ。まずはそれに答えろ』
「それは脅迫の聞き方だな。口の利き方に気をつけよ。まだ若い《勇者》よ」
たちまち笑みは消え、代わりに鋭い眼光が飛んで来る。
『っ』
「まぁよい。貴様だから特別に許す。余が何者かという事だが、貴様も恐らく名前ぐらいは知っておるぞ」
金の髪と青の目を持つ少女は、そのどちらも見せつけるようにしてこう名乗った。
「システナ。このように呼ばれておった」
背中の《勇者紋》が今までに無いほど騒めき、過去に覚えがないほど熱く熱く熱を持つ。
『──《血鎖》!!』
背中の騒めきに従い、銀剣から離した右手から血で編んだ鎖を飛ばす。
あらゆる魔法をはじき返すこの鎖を、なんの躊躇も無く少女の顔に叩き込む。
魔術を完璧に弾くことは不可能だが、ここまで迫れれば、魔術でどうにかするより早く《血鎖》が顔面に突き刺さる!!
「ほう、やはりそうか!」
どことなく嬉しそうな少女。いや、その笑い顔を見ればもっと幼いかもしれない。
いずれにしろ、か細い女が腕力でどうにか出来る代物じゃない。
「しかし甘いな。そして短絡的でもある」
ぱちん、と乾いた音が鳴る。発生源は少女の手元。中指と親指を弾き、詠唱もせずに視認できるほど強力な障壁が少女の前に現れる。
障壁だろうと関係ない。魔法であれば、どれだけ強固な壁であっても粉砕してみせる。
『オォッ!!』
『あっ、思い出した!下がれ!今代の!!』
シャルの言葉を俺が認識するより早く障壁に俺の血鎖が衝突。
直後、驚く程強力な衝撃と共に俺の身体ごと後ろへ吹き飛ばされる。
『がっ!?』
全身満遍なく強かに叩かれたような感覚。一瞬視界が真っ白に染まるが、すぐさま元に戻る。
即座に起き上がり、発動したままの《血呪》の力で少女の眼前まで跳び──
「たわけ。たかだか第一血界程度で余の第五結界を貫ける訳が無かろう」
『なっ!?』
見えない壁に遮られる。
『てめぇ…何モンだ。《勇者》の事をどこまで知ってやがる。なんでお前が結界を扱える。どうしてこんな所にいやがるっ…』
「質問の多い奴だのう。嫌いではないが、そこまで多いと余も答えきれん。ひとまず剣を収め、鎧を外さぬか?」
やや嫌そうに目を細め、しかし口元は楽しそうに歪めながら少女がそう提案する。
『そっちが先に手ぇ出して来たんだろ。解除して首チョンパってなったら目も当てられねぇんだよ』
『今代の。多分大丈夫だ。気まぐれだから断言は出来ないが…恐らく』
なんだそりゃ。
『いいから。とりあえず剣を収めろ』
…そこまで言うなら。
『………。』
「ほう、存外素直なのだな。良い事だ」
『ここまでだ。鎧は取らねぇ』
「敵か味方かも分からぬ相手の言う事を全て聞かないという点もまた良い」
くふふ、と笑いながら少女が閉じ込められていた箱の中に優雅に座る。
『で、テメェは誰だ。まずはそれに答えろ』
「それは脅迫の聞き方だな。口の利き方に気をつけよ。まだ若い《勇者》よ」
たちまち笑みは消え、代わりに鋭い眼光が飛んで来る。
『っ』
「まぁよい。貴様だから特別に許す。余が何者かという事だが、貴様も恐らく名前ぐらいは知っておるぞ」
金の髪と青の目を持つ少女は、そのどちらも見せつけるようにしてこう名乗った。
「システナ。このように呼ばれておった」
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