大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

剣と二の夢

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変な夢を見るのは…思えば聖学に入ってからか…たまに見る程度だったが、まぁあった。
だが………二日連続となると初めてか。
周りを見渡せば、昨日の晩にも見た研究室。
しかし様子はかなり変わっている。
昨日は広い部屋だったが、今日は昨日と比べてかなり狭くなっている…紙の束が増えているのもあるが、明らかに研究室が小さくなっている。
──『ごく稀に俺達ヒト種に機人自分達を脅かすような特殊個体…あるいはアイツらの言葉を借りれば特異点だったか?ともかく、そういう存在がいるってのを危険視した奴らがいたんだよ。全体から見たら極々わずかに、だが』
朝のシャルの言葉を思い出す。
あぁそうか。
理解されなかったんだな。
だから隅っこに追いやられたのか。それでも金剣銀剣の研究を続ける程、この機人達は《勇者》という存在を危惧していたのか。
『主任……』
『分かっている、■■■。私達にはもう時間がない。この五年で予算を削られ、部屋を奪われ、遂には日も当たることのない地下へと追いやられた……そして実験をするための材料さえもあと一回がせいぜいだろう。十分なデータも無く、それでいて結果を残せとは…全く、上層部も無茶を言う』
『ま、時間は貰ってたんだ。上からしたら「結果を出さない無駄な実験に金も素材もやる余裕はない」って所だろうな。他の三つの実験は上々なんだろ?そりゃ上のお偉い方もこんな失敗確定みたいな実験より、完成一歩手前の実験に金も力も注ぐよな』
『ちょっと■■■■!!もう少し言葉に気をつけて──』
『いや、彼の言うことは正しい。全くもってその通りだ。だが、私達もただただ時間を無駄にしていた訳では無い。そうだな?諸君』
がらっ、と音をたてて机の一番大きな引き出しを開く。
中にはぎっしりと詰まった数種類の金属、そして隣の引き出しを引くと同じく数種類の液体。
どちらも量としては大したものではない。それこそ大剣を一振り作ればほとんど残りは出ないだろう。
だが。
その素材が持つ力、それが空恐ろしいまでに高められていた。
もしもこれを十全に使いこなし、思う通りの物を作れたのなら。
《勇者》を一方的に殺すことすら出来るだろう。
しかしこれは──俺ですら一目見て思った。
『我々の実験はここまで来ている。あとはこれらを自在に操り、形にするだけだ』
『しかし主任、それらは感応度が高すぎ、処理に困っていた失敗作で──』
そう、明らかに込められた力が高すぎるのだ。
下手に力を加えれば、暴発しかねない。
そしてこの力が仮に暴発した場合──少なくともその場の全員が死ぬであろうことは想像に難くない。そのぐらいはとんでもない代物。
『しかし我々にはこれしかない。■■■、これに私は全てを懸けたい』
そう主任が言ったところで──俺の目が覚めた。
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