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本編
大剣と銀拳 終
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大剣の特徴と言えばそのリーチと破壊力。
特にその威力については、ユーリアが使っていたようなやや短めの剣とは違い、重さに由来した破壊力が、刃の鋭さを無視した威力を持つことだってままある。実際、俺の銀剣とかはそれの極みだ。刃が潰されていても重さがあるから破壊力は抜群。
だが。
長すぎるリーチは懐に入られると弱い事を示し。
優秀な破壊力は振り回せなければ充分にに力を発揮出来ない。
「遅いぜ」
「!」
姿勢を低く、横に振られた大剣を避けつつ一歩踏み込む。
間合いはアンジェの特製大剣の間合いから銀剣の間合いへ。
「くそっ!」
袈裟斬りに放たれた一撃を銀腕の甲で滑らせて無効化、さらに一歩。間合いはユーリアの長剣より少し内側ぐらい。
「そんな剣じゃ百回振ってもロクに当たらんぞ?」
剣を構え直すまでにさらに一歩。間合いはナイフの間合い。ここまで来ると大剣はほとんど意味を成さない。
あるいはこの間合いとも言えるか。
拳の間合い。
「一つ選べ。顔、腕、腹、足だ」
「な、何を?」
「選べ」
「じ、じゃあ腕で」
そう言った瞬間、身体を少し捻り、腰を落とす。アンジェも遅れて意味を察したらしい。
「ちょっとタンマ!!」
当然無視。
既に戦技の準備は出来ている。
「──ッ!!」
指先が痺れるほど強く握った拳が青白く発光、戦技の動きに移行する。
その戦技は至ってシンプル。
右の拳に全体重を乗せて思いっきり、渾身の一撃を放つだけ。元は俺の貧弱な筋力を補強するための戦技だったが、銀腕を装備した今なら充分すぎる程の威力を秘めているだろう。
「歯ァ食いしばれ。骨折ぐらいならすぐ治るさ。もげないといいな」
手応えはほとんど無かった。
代わりに認識したのは、大きな鉄板を歪むほど思いっきり鳴らしたような音。
それと微かに聴こえた、枯れ木を手折るような音。
「い────っ!?」
遅れてアンジェの悲鳴。どうやら大剣で辛うじて防御をしたらしい。それでもダメージは充分抜けた。
大剣が宙を舞い、折れて真っ二つになったそれが床に落ち、腕が明らかにおかしい方向へ曲がった左肘を、歯を食いしばって痛みをこらえる。
「降参は?」
「っ、」
キッ!と強く俺を睨み、アンジェが口を開く。
「《ライトニング》!!」
折れた左肘、その先に付いている指が、よく見れば俺を指さしていた。
閃光が走った瞬間、俺を丸々飲み込むような雷がほぼ零距離で発射、俺の身を焼く──直前で反転、打ち消しあって完全に消える。これぐらいの魔法なら《魔法返し》で打ち消せる。
「う、そ」
窮地に立たされても歯向かう、その心意気は買おう。
だが、あえて眉をこれでもかと寄せ、それでも口角を上げて聞く。
「右腕も要らないか?」
特にその威力については、ユーリアが使っていたようなやや短めの剣とは違い、重さに由来した破壊力が、刃の鋭さを無視した威力を持つことだってままある。実際、俺の銀剣とかはそれの極みだ。刃が潰されていても重さがあるから破壊力は抜群。
だが。
長すぎるリーチは懐に入られると弱い事を示し。
優秀な破壊力は振り回せなければ充分にに力を発揮出来ない。
「遅いぜ」
「!」
姿勢を低く、横に振られた大剣を避けつつ一歩踏み込む。
間合いはアンジェの特製大剣の間合いから銀剣の間合いへ。
「くそっ!」
袈裟斬りに放たれた一撃を銀腕の甲で滑らせて無効化、さらに一歩。間合いはユーリアの長剣より少し内側ぐらい。
「そんな剣じゃ百回振ってもロクに当たらんぞ?」
剣を構え直すまでにさらに一歩。間合いはナイフの間合い。ここまで来ると大剣はほとんど意味を成さない。
あるいはこの間合いとも言えるか。
拳の間合い。
「一つ選べ。顔、腕、腹、足だ」
「な、何を?」
「選べ」
「じ、じゃあ腕で」
そう言った瞬間、身体を少し捻り、腰を落とす。アンジェも遅れて意味を察したらしい。
「ちょっとタンマ!!」
当然無視。
既に戦技の準備は出来ている。
「──ッ!!」
指先が痺れるほど強く握った拳が青白く発光、戦技の動きに移行する。
その戦技は至ってシンプル。
右の拳に全体重を乗せて思いっきり、渾身の一撃を放つだけ。元は俺の貧弱な筋力を補強するための戦技だったが、銀腕を装備した今なら充分すぎる程の威力を秘めているだろう。
「歯ァ食いしばれ。骨折ぐらいならすぐ治るさ。もげないといいな」
手応えはほとんど無かった。
代わりに認識したのは、大きな鉄板を歪むほど思いっきり鳴らしたような音。
それと微かに聴こえた、枯れ木を手折るような音。
「い────っ!?」
遅れてアンジェの悲鳴。どうやら大剣で辛うじて防御をしたらしい。それでもダメージは充分抜けた。
大剣が宙を舞い、折れて真っ二つになったそれが床に落ち、腕が明らかにおかしい方向へ曲がった左肘を、歯を食いしばって痛みをこらえる。
「降参は?」
「っ、」
キッ!と強く俺を睨み、アンジェが口を開く。
「《ライトニング》!!」
折れた左肘、その先に付いている指が、よく見れば俺を指さしていた。
閃光が走った瞬間、俺を丸々飲み込むような雷がほぼ零距離で発射、俺の身を焼く──直前で反転、打ち消しあって完全に消える。これぐらいの魔法なら《魔法返し》で打ち消せる。
「う、そ」
窮地に立たされても歯向かう、その心意気は買おう。
だが、あえて眉をこれでもかと寄せ、それでも口角を上げて聞く。
「右腕も要らないか?」
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