大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

殺気とメッセージ

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折角の休日だが、やることが無いと暇で仕方ない。やることと言えば寝る事ぐらいか。まぁ、それが休日の本来の過ごし方なんだろうが…
『せめて金剣とか銀剣の馴らしをして来たらどうだ?』
そうだな、ただだらけているよりか、シャルの言うように剣を振ってこようかと思って部屋を出、階段を降りたところで──嫌な予感が俺のうなじを舐めた。
とっさに引き返そうとするが、時すでに遅し。
下から上に上がってくるのはアンジェの青い髪と青い目。そしてそれがバッチリ俺を見返していた。
「げっ」
声を上げ、急いで逃げようとするが──
「………。」
……ん?追いかけもしてこないし、声をかける事さえしてこない。
ただただ静かに階段を登り、すれ違いざまに俺の方へかなりキツい眼光を飛ばすだけ。特に何も無く、そのまますれ違い終わる。
「……何だったんだ?」
『さぁ?でもまぁ、悩みが解消して良かったじゃないか』
まぁそう……か?
『それよりほら、早く行った方がいいんじゃないか?午前中は混むんだろ?』
そうだった、休み明けだから特に混むだろうな…俺の場合は夜も勝手に入れるから他の生徒より時間は多く取れるだろうが…今回は暇つぶしで練習だからな。
とっとと向か──
「『ッ!?』」
とんでもない大きさの殺気。心が弱い者が受ければ、心臓が止まりかねない程の。
それが俺に目掛けて飛ばされてきた。
「誰だ…!?」
口から思わず漏れた言葉がその誰かに聞こえたのだろうか。急に殺気が掻き消える。
…シャル、特定は?
『ほぼ間違いなくあの女だろ。西学の』
特定するまでもない。シャルが暗にそう言う。
「…俺、なんかしたっけ?」
思い当たる節ってーと…落ちた時にさりげなく肘入れたことぐらいか?
『…待て、さらっととんでもない事言ってないか?というか落ちた時?何があったんだ、それ』
んー…、なんて言うか…と、少し言葉を濁しつつ階段を降り、目的の訓練所へと向かう。
あいつ、しつこかったじゃん?だから壁登って逃げようとしたんだけど…
『めちゃくちゃ追い込まれてたじゃねぇか。…それで?』
飛びつかれて重みに耐えれなくて落ちた。
その時、確実に意識をオトすために肘を腹に入れた。で、逃げた。
『お前最低だな』
どうとでも言え。逆に言うと、それぐらいしてもその日の夕方にゃケロッとしてるあいつもよっぽどだぞ。
『マスター』
「っと。どうした?マキナ」
ぴっ、と欠片を千切り取り、耳元にあてる。
『ユーリア・グランデンジーク様から・メッセージです』
「あぁん?」
ユーリアからメッセージだと?珍しいな。
「繋げ」
『了解しました』
ユーリアとメッセージが繋がった途端、大音量でユーリアが何か叫んだ。
「ッ痛てぇな!?叫ばなくても聞こえるわボケ!!」
『すまないレィア!例の約束、今にしてくれ!!』
…あん?
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