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本編
試験と慣らし
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全く腹立たしい事に、俺の髪や背丈と言った姿形のせいで変装がバレるかもしれないという問題が浮上した際、俺が考えたのは至極単純な方法。
マキナを装備する際に髪の何割かを鎧に編み込んで強化しているが、その割合を高くするというやり方。
今現在、髪の二割だったか三割程度を鎧に編み込んでいるのだが、残りも全部鎧にしまい込む。
すると当然鎧が大きくなる。ハリボテではあるが、少なくとも元の俺より相当大きくなった。これで背丈問題も解決出来る。我ながらいいアイディアだ。
とかなんとか思っていたのだが、問題が二つばかり発生する。
一つは鎧のサイズが大きくなった事で関節の位置が全部変わった。肩や腿の付け根辺りはまだ誤魔化せるのだが、肘や膝が曲がらない。
少し考えれば分かることなのだが、背がデカい奴らは手足も長い。当然肩から肘まで、あるいは下腹部から膝までの長さも長い。
『どんだけ盛ったんだ?』
「盛ったって言うか必要だから調整しただけだが?必要な分だけだ」
『わぁったから。背丈今幾つで設定してんだ』
「……百七十五」
「身長の話なら、現在百八十二です」
マキナに速攻でバラされた。
『オイ。いつものお前より三十センチぐらいデケェじゃねぇか。しかし、そんだけならまだ数センチズレるだけだろ?まだ誤魔化しが効く範疇じゃねぇか?』
「いや、視界を確保するために顔は動かせん」
『……なるほど』
つまりほんの少しだけ増やした身長の分、そのまま上に移動して、その上で伸びた手足との差が発生するのだ。
結果として、俺の感覚では絶対にありえない位置に肘や膝が発生し、そのさらに先で指先や爪先があるという状況。
指先や爪先の感覚は髪でどうにか補える。だが、肘や膝がそもそも曲がらないのでは突っ立っていることしか出来ない。
はてさてどうしたものか。そう思っていると、シャルがこう言った。
『じゃあお前もう身体畳んどけ。髪だけでコントロールしろ』
「は?」
── ── ── ── ──
まさか五日間かけて髪先のコントロールをここまでやり込むことになるとは思ってなかった。
元より俺の髪は手足みたいな物だったが、あくまでそれはただの手足としての話。当然だが、俺の動きを完全再現するとなると話は変わってくる。今では髪で戦技すら放てるようになった。
まぁ、試験中にやったらバレるのでやらないが。
で、曲がらない手足はどうするかと言うと、腕は胸の前で交差させて固定。足は膝で曲げて腿にピタリと当てて固定。肩から先や膝から先は空洞にしようかとも思ったが、相手に《剣姫》がいることを考えると、手応え的に違和感を与えるかもしれない事を考慮して髪をそれこそ筋肉のように束ねて入れてある。最近はマキナがあったのでここまではあまりしなかったのだが。
何はともあれ、これで恐らくバレないだろう。
そんな訳で試験当日。最初の告知通り、《雷光》と《貴刃》、あと《臨界点》を除いた俺達三人が受ける。当然だが他の生徒は別の会場だ。
「それではこれより、二つ名の期末試験を順番に開始します。初めに《緋眼騎士》、レィア・シィル」
「あいよ」
「頑張って下さいましね」
そう言うアーネにヒラヒラと手を振って応える。なんか騙してるみたいで悪いなぁ……
重い音と共に訓練所の扉が開き、暗い訓練所の中へと入っていく。
いくらか進んでから、訓練所の扉が完全に閉まり、一拍あけて明かりがつく。
そこに居たのは学校長。
「それでは始めましょうか」
その言葉に対し、俺は無言でマキナを着込み、剣を抜く。
理由は二つ。一つは戦闘音を響かせないと不自然であるというシンプルな理由。
もう一つは俺と学校長の肩慣らしだ。
「五分でいいか?学校長」
「その半分でも構いませんが」
そう言う学校長に、思わず俺は口の端を僅かに吊り上げた。
「実を言うと、一回アンタとはちょいとやってみたかったんだよな」
俺は銀剣を取り出し、双刃へと変形させる。
「そんなに私が嫌いでしたか?」
「否定はしない。確かにアンタを大っぴらに殴りに行けるってのは最高だ。けどそれ以上に」
刃の峰を蹴飛ばし、双刃を回し始めて加速を開始。
「最南端でこの学校を取り纏めてるって事は、何かあったら全部アンタがねじ伏せられるってことの証拠だろ?その力、是非俺に見せてくれ」
── ── ── ── ──
神というのは全くもって気まぐれです。
周りの皆は姿形を無理矢理変えられ、ただのモノに成り果てました。それでも意識があるという拷問。しかも死ぬことも出来ず、ただただ永遠に苦しむだけのそれにどれだけの意味があるのか。
……いえ、意味はあるのです。私達に対しての嫌がらせという事は間違いないのですが、それ以上に。
ただ単に、モノ──資材が欲しいのです。
いくら掘っても掘っても無くならない鉱石、宝石。
いくら伐っても伐っても無くならない樹林。
これらは私達でも喉から手が出るほど欲しかったもの。それらを使えば何でも築き上げられるでしょう。
戦士達の武器防具。民草達の家財。外敵から守る城壁にそいつらを滅ぼす魔導具まで。
今までなら加工する手段も知恵も、奴らには無かったはずなのに、徴収の影響で私達が所有していた物は、全てあの嫌な笑顔をする神を経由して奪われました。
私が数十年掛けて考案した魔導具も、数百年掛けて作った希少金属も、千年近く掛けて作ったアレも──もっとも、アレの制作は後輩に任せたのですけれど。
もしも私が未だに現役だったら、あの戦いに負けていなかっただろう。そうあの神は言っていましたが、もう過ぎた話でもあります。
それに、私はあの争いが終わりさえすれば良かったのです。勝とうが負けようが、停滞している事が何より嫌なだけなのです。
自殺でもすればよかった?とんでもない。死にたい訳では無いのです。無限にも思えるような長期間、同じ問答をグルグル続けるのが嫌だと言っているだけです。
生まれてからずっと兵器のことを考え、新しい苔や石を見つけて、どうすれば有効活用出来るか話し合い、物理魔法問わずに法則や例外を見つけ、それをどう応用してしまうかを延々と調べ続ける。
戦争はどうでもいいのです。ただ私はこの仕事に飽きた。
だから──今、私は非常に機嫌が悪いのです。
「あ、そうだ。君だけは特例で、その頭を活かしてもらおう」
殆どの種族を殺し絶やした後で、五つの代表種族を玩具のように弄び、じっくりと形を変えさせられていき、私もそうなるんだと覚悟した矢先、あの神はそう言ったのです。
「なんで──」
「だって勿体ないじゃん。それに逆らえないんだから、反逆される心配もないし」
そう言ってあの神は、敗戦種に対する絶対的な能力である徴収を利用し、私をこの国の隅へと縛り付けました。
奴が私に課したのは二つ。
一つはヒト種の為になる研究を続ける事。
そしてもう一つは、この荒野からは離れられないというもの。
ついに自死すら取り上げられ、ついでのように植え付けられた魔力と共に、私は全てが改変されたオルドの地に降り立たされたのです。
── ── ── ── ──
「ちぃいッッッ!!」
双刃がひらりと回避され、思わず舌打ちをする。これで既に二十回近く俺の連撃を回避してやがる。回避技術がとんでもねぇ。布切れ一枚にすら切っ先が掠らんのは正直自信を無くす。
「早く鋭い斬撃。なるほど、非常にシンプルで強力ですね。当たればの話ですが」
対する学校長は息も切らさず、なんの予備動作もなしに光の槍を放つ。
「ッ!!」
咄嗟に顔を振って槍を回避。ダメージはない。だが光の槍が俺の真横を通る瞬間に、槍は膨大な光の本流となって、俺の視界を焼いた。
「クソッ!!」
『右に二歩、後ろに一歩、距離取って──』
「《光ハ雨ト成リテ》」
「防御、固めます」
直後、身体からマキナが剥がれる感覚。
次いで響いたのは、何かが壁にぶつかる音。
「耐久予測、残り五秒です」
「では強めましょう。そうですね……《雨ハ飛雨ト成リテ》」
視界が戻った。それと同時にマキナが吹っ飛び、視界を埋め尽くす無数の点による面が押し寄せる。
「うぉぉぉぉぉぉ!?」
受ければそのまま固められて潰される。回避しかない。
マキナの性能と髪による筋力の擬似的な増強、さらに銀剣を仕舞って即座に金剣を出しつつ真横に跳躍。
自分の位置を一瞬見失う程の加速でその場から逃げた直後、壁が大きく抉れる。
「なんだあの威力!?」
「当たったら恐らく保健室行きは免れないです。気をつけてください」
「いや学校長が言うな!!」
そう言って、ふわりと手を横に振ると、振った空間から真横に向かって光の粒が一斉に俺へ飛んでくる。
「いやまっ!?」
真横にステップを踏み、同時に金剣から銀剣にシフト。
ただの光の粒の魔法なら魔法返しでそうダメージは負わないだろう。
だがあの魔法、明らかに質量で押し潰すようなダメージだった。
魔法返しで炎は効かないが、炎で熱された物で叩かれると熱いし痛い。
それに重力を弄るような魔法には反応しないし、魔法で剣を生成して斬られれば普通に怪我をする。
──もしもあの粒が、ただ単に「硬い光粒を生成して、それを加速させて当てている」のだとすると、俺の魔法返しではどうしようも出来ない。
「大銀剣!!」
「──完了」
このダッシュの勢いを剣に乗せ、少々強引に縦回転。
「ッッ!!、《潰断》!!」
戦技を地面に向けて思い切り撃ち放ち、抉れた地面を盾にしつつ真上に跳躍。
すると光の粒はめくれ上がった床をひょいと回避し、その裏を貫くように動く。
「似たような手が二回もアンタに通じる訳ねぇよなッ……!!」
「おや、バレましたか」
だが、そう言う学校長の手には光で出来た大弓。
「ですが、これで回避できませんね」
いや、学校長つっよ。
「ふむ、名前は……」
「ッッ!!《煌覇》ッ!!」
「《矢ヲ番エ天ニ放ツ》」
相手の逡巡の隙に放った極大威力の戦技が、学校長の魔法と真正面からぶつかり、弾かれて互いに消える。
「おや、防がれましたか」
悠長にそう言う学校長。その理由は単純。
俺はまだ煌覇の反動で滞空しており、学校長が魔法を唱える余裕があるからだ。
黒剣はあるがすぐ折れかねない。金剣だとあの細かい光の粒に対応しきれない。
不味い、半ば詰みじゃあ──
「では、これぐらいにしておきましょう」
「──は?」
くるりと身体をひねって床に着地。
『いや、は?じゃなくてな。アップだろ。本気出してどうすんだ』
「あ、あー……」
そうだった、忘れてた。
「私の魔法で貴方の防御を貫くとなると、相当魔力を消費しますからね」
そうだろうか。弓の方は純粋な魔力による魔法だった気がするが、光の粒の方は普通に蜂の巣になる気がする。
《勇者》としてならまだ対抗策はいくらでもあるが、《緋眼騎士》としては頑張ってどうにかするしかない。
「さて、これぐらいでいいでしょう」
「そう……だな」
周りを見渡すと、幾分修復が始まっているとはいえ、かなり激しい戦闘痕が付けられている。これなら怪しまれる事は無いだろう。
「では私は向こうへ行きます。貴方も控えの方で待っているという扱いになってます」
「わかった。あと細工頼む」
「勿論です」
学校長が訓練所の控え室の方へ歩きながら指を一度鳴らすと、上から大量の剣や槍や斧と言った、近接武器が降ってきた。
「おわっ、危ねぇな……」
さっきまでこんなもの無かった筈だが……まぁいい。
学校長との話し合いで、そもそも明らかに目立つ俺の武器は使用禁止となっている。その為に代わりの武器をいくらか見繕ってくれという話をしたら、「分かりました」とだけ言われて当日を迎えたのだが……これだけあれば充分。よりどりみどりって奴だな。
「それでは頼みましたよ。《緋眼騎士》」
「あいよ。任された」
そう言ってマキナを例の大型の鎧にして体勢を調整。ふむ、よし。
軽く動いて違和感はほぼ無い。
一度頷き、鎧の手をそれぞれ逆の肩にあて、胸の前で✕を作るようにして両膝をつく。
すると、俺の足元から何本もの黒い鎖が飛び出し、俺の身体を雁字搦めにしてしまう。
一応設定は捕らえられた魔族なので、形だけでもそうしておかねばならない。
やがて音を立てて扉が開かれ、一人の少女が入ってくる。
小柄な身体に鮮やかな薄緑の髪。
《剣姫》だ。
俺は分かりやすく顔を上げ、フェイス越しに《剣姫》を睨めつける。
「……魔族ぅ?」
顔が見えていないにも関わらず、《剣姫》がそう誤認する理由は二つ。
一つは学校長が寄越した例の魔導具のせい。あれでどうも魔力量とかも誤魔化せるらしい。すげぇ。
そしてもう一つ。ヒト型で俺達が相手するとしたら、そういう相手しかないという思い込み。
「殺してもぉ……いいんだよねぇ……?」
開始の合図は無い。故にもう試験は始まっている。
僅かに俺が身動ぎした瞬間、まるで力に耐えきれなかったと言うように黒い鎖が弾けとんだ。
「オオオオオオオオッッッ!!」
雄叫びを上げつつ、手近にあった槍を掴んで《剣姫》に斬り掛る。
「はやぁいぃ……」
と言っている《剣姫》の手には、いつの間に出したのか細い細い細剣が。
だがそれでは防御不能だろう。真上から振り下ろし、容赦情け無用の一撃が振り下ろされる。
その攻撃に対し、《剣姫》はレイピアの切っ先をほんの僅かにずらして、槍の切っ先と交差するように置く。
そんなことをすれば、剣の先が欠けて折れてしまうだけだろう。
普通ならば。
シャギン!!と音がした。
次いで、親指が吹き飛んだ。
「!?」
「んぅ……?」
可愛らしく小首を傾げる《剣姫》。だが、起こっていることは本来ありえない。
即座に後ろに跳んで、状況を一度把握する。
まずは俺の方。親指のマキナが吹き飛び、指のある所に仕込んだ髪が剥き出しになっている。切れたりはしていないが、もし普通に指が入っていたら、骨ごと斬り飛ばされていただろう。
次いで《剣姫》。持っているレイピアをしげしげと眺めている。
そのレイピアに欠けた所や折れた所がある様子は全くない。どうなってんだ。
『すげぇ撓って、お前の指を切り飛ばした。なんだあのレイピア』
見えていたらしいシャルがそう教えてくれた。もしかして研究室製だろうか。有り得そうな話だ。
やがて《剣姫》が、こちらの方をゆっくりと見た。
「ふぅん……防護系の魔法かぁ……それに類する何かでぇ……身体をぉ……守ってるのねぇ……」
向こうには俺の髪は魔族の指に見えているらしい。つまるところ、あのカウンターで吹っ飛んだのは鎧だけに見えていると。そら不審がる。
鎧より硬い皮膚なら、そもそも鎧を付けるメリットより、視界が悪くなったり身動きが取りにくい事といったデメリットの方が目立つ。
疑問が形になる前に、早めに蹴りを付けてご退場頂こう。
俺はそう判断し、手に持った槍を力一杯《剣姫》へ向けて投擲し、同時に距離を詰めるため走った。
マキナを装備する際に髪の何割かを鎧に編み込んで強化しているが、その割合を高くするというやり方。
今現在、髪の二割だったか三割程度を鎧に編み込んでいるのだが、残りも全部鎧にしまい込む。
すると当然鎧が大きくなる。ハリボテではあるが、少なくとも元の俺より相当大きくなった。これで背丈問題も解決出来る。我ながらいいアイディアだ。
とかなんとか思っていたのだが、問題が二つばかり発生する。
一つは鎧のサイズが大きくなった事で関節の位置が全部変わった。肩や腿の付け根辺りはまだ誤魔化せるのだが、肘や膝が曲がらない。
少し考えれば分かることなのだが、背がデカい奴らは手足も長い。当然肩から肘まで、あるいは下腹部から膝までの長さも長い。
『どんだけ盛ったんだ?』
「盛ったって言うか必要だから調整しただけだが?必要な分だけだ」
『わぁったから。背丈今幾つで設定してんだ』
「……百七十五」
「身長の話なら、現在百八十二です」
マキナに速攻でバラされた。
『オイ。いつものお前より三十センチぐらいデケェじゃねぇか。しかし、そんだけならまだ数センチズレるだけだろ?まだ誤魔化しが効く範疇じゃねぇか?』
「いや、視界を確保するために顔は動かせん」
『……なるほど』
つまりほんの少しだけ増やした身長の分、そのまま上に移動して、その上で伸びた手足との差が発生するのだ。
結果として、俺の感覚では絶対にありえない位置に肘や膝が発生し、そのさらに先で指先や爪先があるという状況。
指先や爪先の感覚は髪でどうにか補える。だが、肘や膝がそもそも曲がらないのでは突っ立っていることしか出来ない。
はてさてどうしたものか。そう思っていると、シャルがこう言った。
『じゃあお前もう身体畳んどけ。髪だけでコントロールしろ』
「は?」
── ── ── ── ──
まさか五日間かけて髪先のコントロールをここまでやり込むことになるとは思ってなかった。
元より俺の髪は手足みたいな物だったが、あくまでそれはただの手足としての話。当然だが、俺の動きを完全再現するとなると話は変わってくる。今では髪で戦技すら放てるようになった。
まぁ、試験中にやったらバレるのでやらないが。
で、曲がらない手足はどうするかと言うと、腕は胸の前で交差させて固定。足は膝で曲げて腿にピタリと当てて固定。肩から先や膝から先は空洞にしようかとも思ったが、相手に《剣姫》がいることを考えると、手応え的に違和感を与えるかもしれない事を考慮して髪をそれこそ筋肉のように束ねて入れてある。最近はマキナがあったのでここまではあまりしなかったのだが。
何はともあれ、これで恐らくバレないだろう。
そんな訳で試験当日。最初の告知通り、《雷光》と《貴刃》、あと《臨界点》を除いた俺達三人が受ける。当然だが他の生徒は別の会場だ。
「それではこれより、二つ名の期末試験を順番に開始します。初めに《緋眼騎士》、レィア・シィル」
「あいよ」
「頑張って下さいましね」
そう言うアーネにヒラヒラと手を振って応える。なんか騙してるみたいで悪いなぁ……
重い音と共に訓練所の扉が開き、暗い訓練所の中へと入っていく。
いくらか進んでから、訓練所の扉が完全に閉まり、一拍あけて明かりがつく。
そこに居たのは学校長。
「それでは始めましょうか」
その言葉に対し、俺は無言でマキナを着込み、剣を抜く。
理由は二つ。一つは戦闘音を響かせないと不自然であるというシンプルな理由。
もう一つは俺と学校長の肩慣らしだ。
「五分でいいか?学校長」
「その半分でも構いませんが」
そう言う学校長に、思わず俺は口の端を僅かに吊り上げた。
「実を言うと、一回アンタとはちょいとやってみたかったんだよな」
俺は銀剣を取り出し、双刃へと変形させる。
「そんなに私が嫌いでしたか?」
「否定はしない。確かにアンタを大っぴらに殴りに行けるってのは最高だ。けどそれ以上に」
刃の峰を蹴飛ばし、双刃を回し始めて加速を開始。
「最南端でこの学校を取り纏めてるって事は、何かあったら全部アンタがねじ伏せられるってことの証拠だろ?その力、是非俺に見せてくれ」
── ── ── ── ──
神というのは全くもって気まぐれです。
周りの皆は姿形を無理矢理変えられ、ただのモノに成り果てました。それでも意識があるという拷問。しかも死ぬことも出来ず、ただただ永遠に苦しむだけのそれにどれだけの意味があるのか。
……いえ、意味はあるのです。私達に対しての嫌がらせという事は間違いないのですが、それ以上に。
ただ単に、モノ──資材が欲しいのです。
いくら掘っても掘っても無くならない鉱石、宝石。
いくら伐っても伐っても無くならない樹林。
これらは私達でも喉から手が出るほど欲しかったもの。それらを使えば何でも築き上げられるでしょう。
戦士達の武器防具。民草達の家財。外敵から守る城壁にそいつらを滅ぼす魔導具まで。
今までなら加工する手段も知恵も、奴らには無かったはずなのに、徴収の影響で私達が所有していた物は、全てあの嫌な笑顔をする神を経由して奪われました。
私が数十年掛けて考案した魔導具も、数百年掛けて作った希少金属も、千年近く掛けて作ったアレも──もっとも、アレの制作は後輩に任せたのですけれど。
もしも私が未だに現役だったら、あの戦いに負けていなかっただろう。そうあの神は言っていましたが、もう過ぎた話でもあります。
それに、私はあの争いが終わりさえすれば良かったのです。勝とうが負けようが、停滞している事が何より嫌なだけなのです。
自殺でもすればよかった?とんでもない。死にたい訳では無いのです。無限にも思えるような長期間、同じ問答をグルグル続けるのが嫌だと言っているだけです。
生まれてからずっと兵器のことを考え、新しい苔や石を見つけて、どうすれば有効活用出来るか話し合い、物理魔法問わずに法則や例外を見つけ、それをどう応用してしまうかを延々と調べ続ける。
戦争はどうでもいいのです。ただ私はこの仕事に飽きた。
だから──今、私は非常に機嫌が悪いのです。
「あ、そうだ。君だけは特例で、その頭を活かしてもらおう」
殆どの種族を殺し絶やした後で、五つの代表種族を玩具のように弄び、じっくりと形を変えさせられていき、私もそうなるんだと覚悟した矢先、あの神はそう言ったのです。
「なんで──」
「だって勿体ないじゃん。それに逆らえないんだから、反逆される心配もないし」
そう言ってあの神は、敗戦種に対する絶対的な能力である徴収を利用し、私をこの国の隅へと縛り付けました。
奴が私に課したのは二つ。
一つはヒト種の為になる研究を続ける事。
そしてもう一つは、この荒野からは離れられないというもの。
ついに自死すら取り上げられ、ついでのように植え付けられた魔力と共に、私は全てが改変されたオルドの地に降り立たされたのです。
── ── ── ── ──
「ちぃいッッッ!!」
双刃がひらりと回避され、思わず舌打ちをする。これで既に二十回近く俺の連撃を回避してやがる。回避技術がとんでもねぇ。布切れ一枚にすら切っ先が掠らんのは正直自信を無くす。
「早く鋭い斬撃。なるほど、非常にシンプルで強力ですね。当たればの話ですが」
対する学校長は息も切らさず、なんの予備動作もなしに光の槍を放つ。
「ッ!!」
咄嗟に顔を振って槍を回避。ダメージはない。だが光の槍が俺の真横を通る瞬間に、槍は膨大な光の本流となって、俺の視界を焼いた。
「クソッ!!」
『右に二歩、後ろに一歩、距離取って──』
「《光ハ雨ト成リテ》」
「防御、固めます」
直後、身体からマキナが剥がれる感覚。
次いで響いたのは、何かが壁にぶつかる音。
「耐久予測、残り五秒です」
「では強めましょう。そうですね……《雨ハ飛雨ト成リテ》」
視界が戻った。それと同時にマキナが吹っ飛び、視界を埋め尽くす無数の点による面が押し寄せる。
「うぉぉぉぉぉぉ!?」
受ければそのまま固められて潰される。回避しかない。
マキナの性能と髪による筋力の擬似的な増強、さらに銀剣を仕舞って即座に金剣を出しつつ真横に跳躍。
自分の位置を一瞬見失う程の加速でその場から逃げた直後、壁が大きく抉れる。
「なんだあの威力!?」
「当たったら恐らく保健室行きは免れないです。気をつけてください」
「いや学校長が言うな!!」
そう言って、ふわりと手を横に振ると、振った空間から真横に向かって光の粒が一斉に俺へ飛んでくる。
「いやまっ!?」
真横にステップを踏み、同時に金剣から銀剣にシフト。
ただの光の粒の魔法なら魔法返しでそうダメージは負わないだろう。
だがあの魔法、明らかに質量で押し潰すようなダメージだった。
魔法返しで炎は効かないが、炎で熱された物で叩かれると熱いし痛い。
それに重力を弄るような魔法には反応しないし、魔法で剣を生成して斬られれば普通に怪我をする。
──もしもあの粒が、ただ単に「硬い光粒を生成して、それを加速させて当てている」のだとすると、俺の魔法返しではどうしようも出来ない。
「大銀剣!!」
「──完了」
このダッシュの勢いを剣に乗せ、少々強引に縦回転。
「ッッ!!、《潰断》!!」
戦技を地面に向けて思い切り撃ち放ち、抉れた地面を盾にしつつ真上に跳躍。
すると光の粒はめくれ上がった床をひょいと回避し、その裏を貫くように動く。
「似たような手が二回もアンタに通じる訳ねぇよなッ……!!」
「おや、バレましたか」
だが、そう言う学校長の手には光で出来た大弓。
「ですが、これで回避できませんね」
いや、学校長つっよ。
「ふむ、名前は……」
「ッッ!!《煌覇》ッ!!」
「《矢ヲ番エ天ニ放ツ》」
相手の逡巡の隙に放った極大威力の戦技が、学校長の魔法と真正面からぶつかり、弾かれて互いに消える。
「おや、防がれましたか」
悠長にそう言う学校長。その理由は単純。
俺はまだ煌覇の反動で滞空しており、学校長が魔法を唱える余裕があるからだ。
黒剣はあるがすぐ折れかねない。金剣だとあの細かい光の粒に対応しきれない。
不味い、半ば詰みじゃあ──
「では、これぐらいにしておきましょう」
「──は?」
くるりと身体をひねって床に着地。
『いや、は?じゃなくてな。アップだろ。本気出してどうすんだ』
「あ、あー……」
そうだった、忘れてた。
「私の魔法で貴方の防御を貫くとなると、相当魔力を消費しますからね」
そうだろうか。弓の方は純粋な魔力による魔法だった気がするが、光の粒の方は普通に蜂の巣になる気がする。
《勇者》としてならまだ対抗策はいくらでもあるが、《緋眼騎士》としては頑張ってどうにかするしかない。
「さて、これぐらいでいいでしょう」
「そう……だな」
周りを見渡すと、幾分修復が始まっているとはいえ、かなり激しい戦闘痕が付けられている。これなら怪しまれる事は無いだろう。
「では私は向こうへ行きます。貴方も控えの方で待っているという扱いになってます」
「わかった。あと細工頼む」
「勿論です」
学校長が訓練所の控え室の方へ歩きながら指を一度鳴らすと、上から大量の剣や槍や斧と言った、近接武器が降ってきた。
「おわっ、危ねぇな……」
さっきまでこんなもの無かった筈だが……まぁいい。
学校長との話し合いで、そもそも明らかに目立つ俺の武器は使用禁止となっている。その為に代わりの武器をいくらか見繕ってくれという話をしたら、「分かりました」とだけ言われて当日を迎えたのだが……これだけあれば充分。よりどりみどりって奴だな。
「それでは頼みましたよ。《緋眼騎士》」
「あいよ。任された」
そう言ってマキナを例の大型の鎧にして体勢を調整。ふむ、よし。
軽く動いて違和感はほぼ無い。
一度頷き、鎧の手をそれぞれ逆の肩にあて、胸の前で✕を作るようにして両膝をつく。
すると、俺の足元から何本もの黒い鎖が飛び出し、俺の身体を雁字搦めにしてしまう。
一応設定は捕らえられた魔族なので、形だけでもそうしておかねばならない。
やがて音を立てて扉が開かれ、一人の少女が入ってくる。
小柄な身体に鮮やかな薄緑の髪。
《剣姫》だ。
俺は分かりやすく顔を上げ、フェイス越しに《剣姫》を睨めつける。
「……魔族ぅ?」
顔が見えていないにも関わらず、《剣姫》がそう誤認する理由は二つ。
一つは学校長が寄越した例の魔導具のせい。あれでどうも魔力量とかも誤魔化せるらしい。すげぇ。
そしてもう一つ。ヒト型で俺達が相手するとしたら、そういう相手しかないという思い込み。
「殺してもぉ……いいんだよねぇ……?」
開始の合図は無い。故にもう試験は始まっている。
僅かに俺が身動ぎした瞬間、まるで力に耐えきれなかったと言うように黒い鎖が弾けとんだ。
「オオオオオオオオッッッ!!」
雄叫びを上げつつ、手近にあった槍を掴んで《剣姫》に斬り掛る。
「はやぁいぃ……」
と言っている《剣姫》の手には、いつの間に出したのか細い細い細剣が。
だがそれでは防御不能だろう。真上から振り下ろし、容赦情け無用の一撃が振り下ろされる。
その攻撃に対し、《剣姫》はレイピアの切っ先をほんの僅かにずらして、槍の切っ先と交差するように置く。
そんなことをすれば、剣の先が欠けて折れてしまうだけだろう。
普通ならば。
シャギン!!と音がした。
次いで、親指が吹き飛んだ。
「!?」
「んぅ……?」
可愛らしく小首を傾げる《剣姫》。だが、起こっていることは本来ありえない。
即座に後ろに跳んで、状況を一度把握する。
まずは俺の方。親指のマキナが吹き飛び、指のある所に仕込んだ髪が剥き出しになっている。切れたりはしていないが、もし普通に指が入っていたら、骨ごと斬り飛ばされていただろう。
次いで《剣姫》。持っているレイピアをしげしげと眺めている。
そのレイピアに欠けた所や折れた所がある様子は全くない。どうなってんだ。
『すげぇ撓って、お前の指を切り飛ばした。なんだあのレイピア』
見えていたらしいシャルがそう教えてくれた。もしかして研究室製だろうか。有り得そうな話だ。
やがて《剣姫》が、こちらの方をゆっくりと見た。
「ふぅん……防護系の魔法かぁ……それに類する何かでぇ……身体をぉ……守ってるのねぇ……」
向こうには俺の髪は魔族の指に見えているらしい。つまるところ、あのカウンターで吹っ飛んだのは鎧だけに見えていると。そら不審がる。
鎧より硬い皮膚なら、そもそも鎧を付けるメリットより、視界が悪くなったり身動きが取りにくい事といったデメリットの方が目立つ。
疑問が形になる前に、早めに蹴りを付けてご退場頂こう。
俺はそう判断し、手に持った槍を力一杯《剣姫》へ向けて投擲し、同時に距離を詰めるため走った。
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辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
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