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本編
見本と期待
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少し悩んだが、言ってしまうとユーリアが何か気負いそうな気がしたので、黙っている事にした。
で、今。
剣を振っているのはユーリアではなく俺だったりする。
連舞とでも言うような連撃から連撃へと繋ぐそれをユーリアがじっと見つめ、その視線を受けながら俺は身体を動かす。
「一度、レィアの手本を見てみたいんだが。もちろん戦技は無し、素の動きを知りたいんだ」
そう言われれば拒否する理由もない。
快く引き受けたのだが──。
実はこれ、既に三十分近く続けている。
そろそろいいですかねぇ?ユーリアさん?
『………あんまり手の内見せんなよ?と言うか、お前はどんだけ技の引き出しがあんだよ。この三十分、どれも違う動きじゃねぇか』
あ?同じ事繰り返すだけなら猿でも出来るだろうが。
『いや、お前がいいと言うのならいいんだが…後日お前と戦う可能性がある敵にそんなに技を見せていいのか?』
別にいいぞ。これぐらいなら。
ほとんど使わないような動きばっかりだし、見せてるのって全体の半分ぐらいだし。
『お前の技術の広さは異常だよな。一周まわって変態の域だぞ』
なんつー失礼な。
…さて。
「流石にもういいか?」
両手の黒剣を逆手に握っている腕をそっと下ろし、ユーリアにそう聞く。
ぶっちゃけ疲れた。
「ん?あ、あぁ。と言うか一瞬だろうと止まらないのだな」
「一瞬止まるってのはあれか?呼吸を整えたりとかってことか?」
「違う違う、そうじゃない。何度か構えを変えただろう?その時すら淀みなく次の動きに移っていただろう?私には到底出来そうもないほどに」
別にお前がそれをする必要は一切無いから──。
「まさかお前、今の俺の動き見て完コピするつもりだったのか?」
「ん?まぁな。人から教わる方が手っ取り早くで確実だからな。特にレィアの動きは整っている上に洗練されているからやりやすい」
しれっと恐ろしいことを口走るユーリア。
いとも簡単にそれが出来ると肯定しているあたりが尚更スゲェ…ってか怖ぇ。
「…ま、まぁ、お前がやるのは両方順手…普通に剣を握るみたいなあの握りだからな。あんまり参考にゃならんだろ」
ちなみに理由は単純で、ユーリアの持つ長剣は逆手では持ちにくいつくりになっていたから。
俺の金剣銀剣や黒剣白剣はそういう事は無いから気にせずシフト出来るけどな。
「それでも参考にはなる。やはり師がいるというのは大切だな」
その師が敵になる可能性があるんだぜ、と言いかけてあわてて飲み込んだ。
しかし。
残りの時間でユーリアがどこまで上達するのか。
正直、これ以上は劇的な上達が望めないだろう。あとは戦闘の勘が培うような分野ばかり…一撃の重さに関しては筋力を上げるか、あるいは武器そのものの重さを上げれば変わるかもしれないが、筋力そのものを上げるにしても時間はそれなりにかかるし、武器の重さを変えると、今までの戦い方を全体的に見直す必要が生まれてくる。
だが、この数日でどこまで変わるのか。
そこに期待する俺もいた。
で、今。
剣を振っているのはユーリアではなく俺だったりする。
連舞とでも言うような連撃から連撃へと繋ぐそれをユーリアがじっと見つめ、その視線を受けながら俺は身体を動かす。
「一度、レィアの手本を見てみたいんだが。もちろん戦技は無し、素の動きを知りたいんだ」
そう言われれば拒否する理由もない。
快く引き受けたのだが──。
実はこれ、既に三十分近く続けている。
そろそろいいですかねぇ?ユーリアさん?
『………あんまり手の内見せんなよ?と言うか、お前はどんだけ技の引き出しがあんだよ。この三十分、どれも違う動きじゃねぇか』
あ?同じ事繰り返すだけなら猿でも出来るだろうが。
『いや、お前がいいと言うのならいいんだが…後日お前と戦う可能性がある敵にそんなに技を見せていいのか?』
別にいいぞ。これぐらいなら。
ほとんど使わないような動きばっかりだし、見せてるのって全体の半分ぐらいだし。
『お前の技術の広さは異常だよな。一周まわって変態の域だぞ』
なんつー失礼な。
…さて。
「流石にもういいか?」
両手の黒剣を逆手に握っている腕をそっと下ろし、ユーリアにそう聞く。
ぶっちゃけ疲れた。
「ん?あ、あぁ。と言うか一瞬だろうと止まらないのだな」
「一瞬止まるってのはあれか?呼吸を整えたりとかってことか?」
「違う違う、そうじゃない。何度か構えを変えただろう?その時すら淀みなく次の動きに移っていただろう?私には到底出来そうもないほどに」
別にお前がそれをする必要は一切無いから──。
「まさかお前、今の俺の動き見て完コピするつもりだったのか?」
「ん?まぁな。人から教わる方が手っ取り早くで確実だからな。特にレィアの動きは整っている上に洗練されているからやりやすい」
しれっと恐ろしいことを口走るユーリア。
いとも簡単にそれが出来ると肯定しているあたりが尚更スゲェ…ってか怖ぇ。
「…ま、まぁ、お前がやるのは両方順手…普通に剣を握るみたいなあの握りだからな。あんまり参考にゃならんだろ」
ちなみに理由は単純で、ユーリアの持つ長剣は逆手では持ちにくいつくりになっていたから。
俺の金剣銀剣や黒剣白剣はそういう事は無いから気にせずシフト出来るけどな。
「それでも参考にはなる。やはり師がいるというのは大切だな」
その師が敵になる可能性があるんだぜ、と言いかけてあわてて飲み込んだ。
しかし。
残りの時間でユーリアがどこまで上達するのか。
正直、これ以上は劇的な上達が望めないだろう。あとは戦闘の勘が培うような分野ばかり…一撃の重さに関しては筋力を上げるか、あるいは武器そのものの重さを上げれば変わるかもしれないが、筋力そのものを上げるにしても時間はそれなりにかかるし、武器の重さを変えると、今までの戦い方を全体的に見直す必要が生まれてくる。
だが、この数日でどこまで変わるのか。
そこに期待する俺もいた。
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