755 / 2,027
本編
ゴリラと会議室
しおりを挟む
そんな訳で翌日昼一時前。
昨晩はやたら赤髪の爆乳が文句言ってきたが、ンなモン知るかと言ってやった。
まぁ、寝る時に少し本気で寒そうにしていたので、コート一枚ぐらい貸してやったら速攻でくるまってた。よっぽど寒かったんだろな。
ただ、俺が愛用しているコートにヨダレの池を作りかけたのは解せんがな。
それはさておき。
今日も寒いのでそのコートを着、第三会議室を目指して歩き回る。
聖学祭の時にいくつか会議室がぶち抜か…もとい唐突な改装があったので、どれがどの会議室だったか分からなくなったのだ。
やっと見つけた頃には一時五分。
…遅刻厳禁とか言ってたけど、五分ぐらいなら別に…いいよな?
そーっ、と会議室の扉を開けると──。
ロの字型に配置された机、扉側から見て右側に《逆鱗》、《不動荒野》。左側に《勇者》、《雷光》、《臨界点》。奥の方には生徒会のメンツ。
…うわぁ…全員いる…。
『やたらめったら空気が重いんだが…あぁ、特に協力体制でも無いから《犬》と《猫》がモロに対立してんのか』
なんでわざわざコイツらを対面に座らせた!ルト先輩とか《雷光》がモロに殺気をバチバチ振りまいてるじゃねぇか!!
さらにそれだけじゃなくて生徒会の方も空気重いのは何でだ!?
『お前の遅刻じゃね?』
五分!五分だぞ!?それぐらい寛容な心持ちでスルーしろよ!!
「《緋眼騎士》、そこに座ってください」
「あ、はい」
副会長に言われて一番近い、手前側の席に座る。
「何分だ?」
生徒会サイドのゴリラ並に身体がゴツい男が口を開く。
「四分五十七秒です」
短くそう返すのは副会長。生徒会サイドには人が四人。
副会長と書記の男が一人、あとは知らないヤツ二人だが、ゴリラみたいな男と机の上から頭だけ出してる小さい女子、このどちらかが生徒会長なんだろう。
頭がそこまで考えた所で、ゴリラが再び口を開く。
「おい《緋眼騎士》」
「んぁっ!?何!?」
『お前変な声出てるぞ』
クッソ、やかましい!ンなの俺が一番よく知ってるわ!!
「お前は五分以内に来たから許そう。次から気をつけろ」
「え、あ、はい」
………え?それだけ?ラッキー。
で、座って。
誰も喋らない空間が生まれる。
………。
……。
…。
誰か喋らないの!?
え?これ会議だよな!?なんで喋らないの!?
聞こえる音って言ったらルト先輩とゴリラの口の隙間から漏れる「フシュゥゥゥゥ…」って息(?)だけだぞ!?
と、その時。
唐突に副会長が立ち上がる。
「来たか?」
ゴリラがそう聞くと副会長が静かに頷く。
一礼して生徒会側の扉から一度退席する副会長。
しかし一分もせずに副会長が戻ってきた。
「メッセージを受け取りました。会長は急用で来れないそうです」
その一言でゴリラが思いっきり机を叩く。
「あの人は…!!」
…まさか。
生徒会の会長って来てなかったのか。
昨晩はやたら赤髪の爆乳が文句言ってきたが、ンなモン知るかと言ってやった。
まぁ、寝る時に少し本気で寒そうにしていたので、コート一枚ぐらい貸してやったら速攻でくるまってた。よっぽど寒かったんだろな。
ただ、俺が愛用しているコートにヨダレの池を作りかけたのは解せんがな。
それはさておき。
今日も寒いのでそのコートを着、第三会議室を目指して歩き回る。
聖学祭の時にいくつか会議室がぶち抜か…もとい唐突な改装があったので、どれがどの会議室だったか分からなくなったのだ。
やっと見つけた頃には一時五分。
…遅刻厳禁とか言ってたけど、五分ぐらいなら別に…いいよな?
そーっ、と会議室の扉を開けると──。
ロの字型に配置された机、扉側から見て右側に《逆鱗》、《不動荒野》。左側に《勇者》、《雷光》、《臨界点》。奥の方には生徒会のメンツ。
…うわぁ…全員いる…。
『やたらめったら空気が重いんだが…あぁ、特に協力体制でも無いから《犬》と《猫》がモロに対立してんのか』
なんでわざわざコイツらを対面に座らせた!ルト先輩とか《雷光》がモロに殺気をバチバチ振りまいてるじゃねぇか!!
さらにそれだけじゃなくて生徒会の方も空気重いのは何でだ!?
『お前の遅刻じゃね?』
五分!五分だぞ!?それぐらい寛容な心持ちでスルーしろよ!!
「《緋眼騎士》、そこに座ってください」
「あ、はい」
副会長に言われて一番近い、手前側の席に座る。
「何分だ?」
生徒会サイドのゴリラ並に身体がゴツい男が口を開く。
「四分五十七秒です」
短くそう返すのは副会長。生徒会サイドには人が四人。
副会長と書記の男が一人、あとは知らないヤツ二人だが、ゴリラみたいな男と机の上から頭だけ出してる小さい女子、このどちらかが生徒会長なんだろう。
頭がそこまで考えた所で、ゴリラが再び口を開く。
「おい《緋眼騎士》」
「んぁっ!?何!?」
『お前変な声出てるぞ』
クッソ、やかましい!ンなの俺が一番よく知ってるわ!!
「お前は五分以内に来たから許そう。次から気をつけろ」
「え、あ、はい」
………え?それだけ?ラッキー。
で、座って。
誰も喋らない空間が生まれる。
………。
……。
…。
誰か喋らないの!?
え?これ会議だよな!?なんで喋らないの!?
聞こえる音って言ったらルト先輩とゴリラの口の隙間から漏れる「フシュゥゥゥゥ…」って息(?)だけだぞ!?
と、その時。
唐突に副会長が立ち上がる。
「来たか?」
ゴリラがそう聞くと副会長が静かに頷く。
一礼して生徒会側の扉から一度退席する副会長。
しかし一分もせずに副会長が戻ってきた。
「メッセージを受け取りました。会長は急用で来れないそうです」
その一言でゴリラが思いっきり机を叩く。
「あの人は…!!」
…まさか。
生徒会の会長って来てなかったのか。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる