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本編
訓練所と教えるもの
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午前は授業、午後は戦闘訓練。
夕方からは一応空いているのだが、人目が多いのでユーリアの練習には向かない。
俺がユーリアに教えられるのは剣技だけだから、そこを全力で教えるつもりだが……ユーリアの剣技は一つの完成の形があるらしい。
それは多分、ユーリアの師匠にあたる父親の剣技で、一度もそれを見ていない俺が口出し出来るような物じゃない。出来るにしてもせいぜいが傍から見て動きに多少の無駄があればそれを注意する事ぐらいだろうか。
なので俺が出来ることと言えば──。
「隠し技?」
「隠し技っつーか大胆な小技っつーか、まぁ、誰でも一度は行き着く技…技?っつーか…出来てる奴を俺はほとんど見たことないけどな」
「なんと言うか…まどろっこしい言い方だな。もう少しわかりやすく言ってくれないか」
夜九時半頃過ぎ、訓練所にいるのは俺とユーリアのみ。
「…その前にユーリア、お前の剣って予備があるんだったよな?持ってきたか?」
「あぁ、昨晩言われた通りにな。二本しかないが……足りるか?」
「それより多いと逆に困るんだが…ユーリア、一本貸してもらうぞ」
「ん?あぁ」
手渡された銀の長剣を握り、少し離れてから軽く上下に振る。
片手剣よりやや長く、両手剣よりはやや短いそれは、女のユーリアが両手で握るには丁度いいのだろう。
男の俺が握ると、片手で握るにはやや重く、両手で握るにはやや軽い印象を受けた。
これはひょっとしたら俺が教えられるのは一つしか無いかもしれない。
それでも一応聞いてみる。
「これ、片手で振れるか?」
「あぁ。簡単だな」
え、マジ?
『筋力的に負けてんじゃねぇか』
…そう言えば、ユーリアと知り合ったばかりの時、筋トレをしてみたら俺より回数重ねてたな。
『本格的に女子だなお前。金剣銀剣が無けりゃマトモに剣振れねぇだろ』
黙れ。殺すぞ。死んでてももう一度殺すぞ。
「そ、そうか、なら問題は無さそうだな」
「?、何がだ?」
剣を返し、次は自前の金剣銀剣を抜く。
「ユーリア、お前の剣は俺が手をつけちゃいけない類いの剣だ。下手に手をつければ歪に歪んで、二度と完成しなくなる。だから俺が教えられるのは新しい剣技ぐらいだ」
「新しい剣技…?」
「つってもそんな難しい話じゃない──ただの二刀流だ」
構え、一つ戦技を適当に放つ。
剣が走り、風を生み出して風を斬る。
戦技の残光が尾を引き、暗闇を照らす数少ない光となるが、それもまたすぐ消えた。
「俺が教えるのはこれともう一つ。戦技技術の二つある頂点、そのうちの一つ、連戦技だ」
夕方からは一応空いているのだが、人目が多いのでユーリアの練習には向かない。
俺がユーリアに教えられるのは剣技だけだから、そこを全力で教えるつもりだが……ユーリアの剣技は一つの完成の形があるらしい。
それは多分、ユーリアの師匠にあたる父親の剣技で、一度もそれを見ていない俺が口出し出来るような物じゃない。出来るにしてもせいぜいが傍から見て動きに多少の無駄があればそれを注意する事ぐらいだろうか。
なので俺が出来ることと言えば──。
「隠し技?」
「隠し技っつーか大胆な小技っつーか、まぁ、誰でも一度は行き着く技…技?っつーか…出来てる奴を俺はほとんど見たことないけどな」
「なんと言うか…まどろっこしい言い方だな。もう少しわかりやすく言ってくれないか」
夜九時半頃過ぎ、訓練所にいるのは俺とユーリアのみ。
「…その前にユーリア、お前の剣って予備があるんだったよな?持ってきたか?」
「あぁ、昨晩言われた通りにな。二本しかないが……足りるか?」
「それより多いと逆に困るんだが…ユーリア、一本貸してもらうぞ」
「ん?あぁ」
手渡された銀の長剣を握り、少し離れてから軽く上下に振る。
片手剣よりやや長く、両手剣よりはやや短いそれは、女のユーリアが両手で握るには丁度いいのだろう。
男の俺が握ると、片手で握るにはやや重く、両手で握るにはやや軽い印象を受けた。
これはひょっとしたら俺が教えられるのは一つしか無いかもしれない。
それでも一応聞いてみる。
「これ、片手で振れるか?」
「あぁ。簡単だな」
え、マジ?
『筋力的に負けてんじゃねぇか』
…そう言えば、ユーリアと知り合ったばかりの時、筋トレをしてみたら俺より回数重ねてたな。
『本格的に女子だなお前。金剣銀剣が無けりゃマトモに剣振れねぇだろ』
黙れ。殺すぞ。死んでてももう一度殺すぞ。
「そ、そうか、なら問題は無さそうだな」
「?、何がだ?」
剣を返し、次は自前の金剣銀剣を抜く。
「ユーリア、お前の剣は俺が手をつけちゃいけない類いの剣だ。下手に手をつければ歪に歪んで、二度と完成しなくなる。だから俺が教えられるのは新しい剣技ぐらいだ」
「新しい剣技…?」
「つってもそんな難しい話じゃない──ただの二刀流だ」
構え、一つ戦技を適当に放つ。
剣が走り、風を生み出して風を斬る。
戦技の残光が尾を引き、暗闇を照らす数少ない光となるが、それもまたすぐ消えた。
「俺が教えるのはこれともう一つ。戦技技術の二つある頂点、そのうちの一つ、連戦技だ」
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