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本編
汗と冷や汗
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「──ふぅ」
呼気と共に身体の熱を吐き出し、それと同時に身体中から汗が吹き出る。
服はすぐに濡れぼそり、顎の先からも汗が滴り落ちた。
「凄まじい動きだな」
「……ん?そうか?」
…………やっべ、ユーリアがいることをつい忘れて、全力で剣振ってた。
連戦技まで一通りやっちまったんだが。
アレ、奥の手の一つなんだし、出来るだけ人に見せたくなかったんだがなぁ…。
『何だ、意外とそこまで、やっちまった!とは思ってないじゃねぇか』
まぁ、見られたら見られただ。どうせすぐさま真似できる様な代物でもないし、連戦技のほとんどは大型の魔獣だの何だのを倒す事が目的の技がほとんどだしな。
《華蝶風月》とかは例外だよ例外。
『…《華蝶風月》?』
あぁ知らなかったっけ?まぁいいか。
「しかし凄い汗だな。タオル、いるか?」
「んあ?いや、持ってるからいいや」
ついでに着替えもあるが…ユーリアが見ている中で着替えるのは流石に不味い。理由は単純に背中を見られたら困るから。
ぐしゃぐしゃのシャツで我慢しながら、とりあえずタオルでザッと身体を拭いておく。今は身体が熱いからまだいいが、この季節、汗を拭かないとすぐ身体が冷えて風邪を引くからな。
「………で?」
「む、で?、とは何だ?」
「そろそろ帰らねぇかどうか聞いてんだよ」
察せよ。
「とりあえず一通りは終わったし、あとはこれを繰り返すだけだ。これで興味は尽きたか?俺は集中してやりたいんだが」
本当は血界の練習をしているが、こればっかりは本気で他人に言えない。
無理矢理こじつけるなら、俺のスキルの延長で血を操る事は出来るから、そういった説明になるだろうが…まぁ、見せないに越したことは無い。
「ふむ、なんとも味気ない練習だな」
「ほっとけ馬鹿。森にいた頃からやってた習慣なんだよ」
疲れて寝るまでやって、警報が鳴ればすぐに起きて魔獣を倒しに行く。
そんな生活だった。
黒剣を銀剣に仕舞いつつ、ついでにその事も言ってやる。
「なるほど…そりゃアーネも心配がる訳だ。レィア、限度って物を知ってるか?」
あ?なんでアーネが?まぁいいけど。
「知ってるぜ。死ぬか死なないかのギリギリラインの事だろ?」
そう言ったらため息が二つ聞こえた。もちろんユーリアとシャルの物。
「重症だな」
『あぁ、こればっかりはユーリアに同意する』
何でだ。
と、ふとユーリアが何か思いついたかのように俺の方へ向く。
「なぁレィア」
「なんだユーリア」
「今の練習を今からもうワンセット以上やる程度には体力が残っているんだよな?」
「あ?まぁな」
血界とか文字通り身を削る練習だしな。
「けど、それがどうし」
詰められる間合い、振りかぶられた銀光。
唐突にユーリアが俺に刃を向けた。
呼気と共に身体の熱を吐き出し、それと同時に身体中から汗が吹き出る。
服はすぐに濡れぼそり、顎の先からも汗が滴り落ちた。
「凄まじい動きだな」
「……ん?そうか?」
…………やっべ、ユーリアがいることをつい忘れて、全力で剣振ってた。
連戦技まで一通りやっちまったんだが。
アレ、奥の手の一つなんだし、出来るだけ人に見せたくなかったんだがなぁ…。
『何だ、意外とそこまで、やっちまった!とは思ってないじゃねぇか』
まぁ、見られたら見られただ。どうせすぐさま真似できる様な代物でもないし、連戦技のほとんどは大型の魔獣だの何だのを倒す事が目的の技がほとんどだしな。
《華蝶風月》とかは例外だよ例外。
『…《華蝶風月》?』
あぁ知らなかったっけ?まぁいいか。
「しかし凄い汗だな。タオル、いるか?」
「んあ?いや、持ってるからいいや」
ついでに着替えもあるが…ユーリアが見ている中で着替えるのは流石に不味い。理由は単純に背中を見られたら困るから。
ぐしゃぐしゃのシャツで我慢しながら、とりあえずタオルでザッと身体を拭いておく。今は身体が熱いからまだいいが、この季節、汗を拭かないとすぐ身体が冷えて風邪を引くからな。
「………で?」
「む、で?、とは何だ?」
「そろそろ帰らねぇかどうか聞いてんだよ」
察せよ。
「とりあえず一通りは終わったし、あとはこれを繰り返すだけだ。これで興味は尽きたか?俺は集中してやりたいんだが」
本当は血界の練習をしているが、こればっかりは本気で他人に言えない。
無理矢理こじつけるなら、俺のスキルの延長で血を操る事は出来るから、そういった説明になるだろうが…まぁ、見せないに越したことは無い。
「ふむ、なんとも味気ない練習だな」
「ほっとけ馬鹿。森にいた頃からやってた習慣なんだよ」
疲れて寝るまでやって、警報が鳴ればすぐに起きて魔獣を倒しに行く。
そんな生活だった。
黒剣を銀剣に仕舞いつつ、ついでにその事も言ってやる。
「なるほど…そりゃアーネも心配がる訳だ。レィア、限度って物を知ってるか?」
あ?なんでアーネが?まぁいいけど。
「知ってるぜ。死ぬか死なないかのギリギリラインの事だろ?」
そう言ったらため息が二つ聞こえた。もちろんユーリアとシャルの物。
「重症だな」
『あぁ、こればっかりはユーリアに同意する』
何でだ。
と、ふとユーリアが何か思いついたかのように俺の方へ向く。
「なぁレィア」
「なんだユーリア」
「今の練習を今からもうワンセット以上やる程度には体力が残っているんだよな?」
「あ?まぁな」
血界とか文字通り身を削る練習だしな。
「けど、それがどうし」
詰められる間合い、振りかぶられた銀光。
唐突にユーリアが俺に刃を向けた。
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