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本編
夜とメッセージ
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午後十時頃…真夜中の訓練所で、俺は一人剣を振りながら考え事をしていた。
内容はもちろん、昼の視察の件についてだ。
詳細は省くが、リザは凄かった。
ほぼ一人でリッチを圧倒していたからな。
なるほど、確かにありゃ二つ名持ちになってもおかしくはねぇや。
多分、本来は超人と言い換えられるような人物が二つ名持ちと言う存在になれるのだろう。
俺はあくまで特例そうして成った二つ名持ち…いや、あのふるい落とし方からして、成ってしまった…なのか。
それはさておき、そうなるとぶっちゃけユーリアが少しばかり…いや、かなり見劣りする。
なんというか…実力に見合っていない様な気がする。
いや、確かに一年の中では突出しているし、剣技の腕は充分、耳長種と言う魔法が得意な種族である事も相まって近距離遠距離共に申し分ないだろう。
だが、それでも何か足りないと思わざるを得ない。
新参で二つ名持ちの中では多分弱い方の部類に入る──もちろん、他の二つ名持ちと戦うとなったら絶対に勝ってみせるのだが──俺からしてもそう思えるぐらいには。
…そうだ。
「マキナ」
剣を一度地に刺し、腰にさげていた《千変》を取り外ていつものように軽く放り投げると、それが地面に落ちるより早くマキナが現れる。
『はい・何でございましょうか・マスター』
「メッセージだ。相手は…多分まだ起きてるだろ、《不動荒野》だ」
相談相手にいいかどうかは分からないが、《雷光》ばかりにメッセージ飛ばすのは何となく《シェパード》寄りになりそうで嫌、ウィルも同じ理由で却下、ルト先輩は…なんか俺のメッセージ先教えちゃいけない気がする。勘だが。
そういう訳で仕方なく、消去法で《不動荒野》にメッセージを送ることにした。
しかし、マキナは微笑みを湛えたまま、小首を傾げる。
『申し訳ありません・マスター・どちらのお方にメッセージを使いましょうか・御二方に繋げるとなりますと・魔力の消費が増えます』
「え?あー」
そういやアレ、二人組だったな。どっちでもいいんだが…えーっと、どっちがどんな名前だったか。
血は二、三日置きにマキナへ貯蔵しているが、消費は出来るだけ抑えたい。ここぞと言う時の切り札、血界用の血なんでな。
『確かフロンドとシクラナって名前だったろ、アイツら。どっちがどっちかは俺も分からんが』
それだ!ナイスシャル。と言うかよく覚えてられるな。
『お前が忘れやすいだけだ馬鹿』
ぐっ。まぁいい。
「んじゃフロンドの方で」
『了解しました』
微かなノイズ、そしてすぐに繋がる感覚が──感覚が──?
「あん?」
繋がる感覚が、無い?
『申し訳ありません・マスター・フロンド様は・既にご就寝なさっている様です』
「え、寝てんの?早くね?」
まぁいいか。
なら仕方ない、あんまり気は進まないけど《雷光》にメッセージを──。
ギイイィッ──。
「誰だ!?」
扉の開く音。
反射的にそう叫ぶと、扉が開く音は止まる。
緋眼で扉の方を睨むとそこには。
「や、やぁレィア。今夜は月が綺麗だな」
「あ?ユーリア?」
内容はもちろん、昼の視察の件についてだ。
詳細は省くが、リザは凄かった。
ほぼ一人でリッチを圧倒していたからな。
なるほど、確かにありゃ二つ名持ちになってもおかしくはねぇや。
多分、本来は超人と言い換えられるような人物が二つ名持ちと言う存在になれるのだろう。
俺はあくまで特例そうして成った二つ名持ち…いや、あのふるい落とし方からして、成ってしまった…なのか。
それはさておき、そうなるとぶっちゃけユーリアが少しばかり…いや、かなり見劣りする。
なんというか…実力に見合っていない様な気がする。
いや、確かに一年の中では突出しているし、剣技の腕は充分、耳長種と言う魔法が得意な種族である事も相まって近距離遠距離共に申し分ないだろう。
だが、それでも何か足りないと思わざるを得ない。
新参で二つ名持ちの中では多分弱い方の部類に入る──もちろん、他の二つ名持ちと戦うとなったら絶対に勝ってみせるのだが──俺からしてもそう思えるぐらいには。
…そうだ。
「マキナ」
剣を一度地に刺し、腰にさげていた《千変》を取り外ていつものように軽く放り投げると、それが地面に落ちるより早くマキナが現れる。
『はい・何でございましょうか・マスター』
「メッセージだ。相手は…多分まだ起きてるだろ、《不動荒野》だ」
相談相手にいいかどうかは分からないが、《雷光》ばかりにメッセージ飛ばすのは何となく《シェパード》寄りになりそうで嫌、ウィルも同じ理由で却下、ルト先輩は…なんか俺のメッセージ先教えちゃいけない気がする。勘だが。
そういう訳で仕方なく、消去法で《不動荒野》にメッセージを送ることにした。
しかし、マキナは微笑みを湛えたまま、小首を傾げる。
『申し訳ありません・マスター・どちらのお方にメッセージを使いましょうか・御二方に繋げるとなりますと・魔力の消費が増えます』
「え?あー」
そういやアレ、二人組だったな。どっちでもいいんだが…えーっと、どっちがどんな名前だったか。
血は二、三日置きにマキナへ貯蔵しているが、消費は出来るだけ抑えたい。ここぞと言う時の切り札、血界用の血なんでな。
『確かフロンドとシクラナって名前だったろ、アイツら。どっちがどっちかは俺も分からんが』
それだ!ナイスシャル。と言うかよく覚えてられるな。
『お前が忘れやすいだけだ馬鹿』
ぐっ。まぁいい。
「んじゃフロンドの方で」
『了解しました』
微かなノイズ、そしてすぐに繋がる感覚が──感覚が──?
「あん?」
繋がる感覚が、無い?
『申し訳ありません・マスター・フロンド様は・既にご就寝なさっている様です』
「え、寝てんの?早くね?」
まぁいいか。
なら仕方ない、あんまり気は進まないけど《雷光》にメッセージを──。
ギイイィッ──。
「誰だ!?」
扉の開く音。
反射的にそう叫ぶと、扉が開く音は止まる。
緋眼で扉の方を睨むとそこには。
「や、やぁレィア。今夜は月が綺麗だな」
「あ?ユーリア?」
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