大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

送り主と路地裏

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『──以上で閉会式を終わります』
クソ長かった学校長の有難くない有難い話はようやく終わり。
『そして今から!大☆打ち上げ会を始めます!!』
の宣言がなされると同時に大歓声が上がる。
約百五十人の声が鼓膜を響かせ、地面を揺らし、大気を震わせる。
やっと終わったか、という感想を持ちつつ、ふらりと椅子から立ち上がる。
「あー、つーかこれ、いつだったかの二つ名争奪戦の時のアイツの声じゃねぇか」
どうでもいい事を呟き、人と人の間を水が指の間をすり抜けるようにして抜けていく。
『行くのか?』
「当然」
俺の頭にだけ響く声に小さく答えた返事は、周りの歓声に掻き消される。
時刻は既に七時を過ぎ、魔力によって灯された明かりが広場を中心に辺りを照らす。
その広場からコソコソと離れ、近くの建物の影に入る。
何故こんなことをするのか?
理由は単純、この建物の影に来いと指定があったからだ。
メッセージの魔法で。
「おい、これでいいだろ?」
若干イラつきながら暗闇にそう呼びかける。
すると、声ではない小さな音が返事の代わりに返ってくる。
……………、………ツ…、……ッツ…、…コッツ…。
石畳を叩く足音がゆっくりとこちらへと近づく。
影からゆっくりと現れた人影は、僅かに差す魔法の明かりに照らされながらゆっくりとこちらへと歩み寄ってくる。
服は俺と同じ黒一色。やや大きめのそれに着られるようにして黒衣を纏っていた。
そして距離が充分近くなり、俺の手が届く程接近したところで口を開く。
「申し訳ありません、遅れま」
「遅せぇ。もっと早くしろ」
口を開いたところで即座に遮るがな。
街灯に照らされた顔を見ると、それは見目麗しい少女のもの。
しかし、俺が知っている顔ではなかった。
「もう魔導具付けてんのか?」
「えぇ。どこに目があるか分かりませんから」
まぁ、用心はどれだけしててもし足りないだろうな。
「…次から人の目が山ほどある中でメッセージ飛ばすなよ?」
「それは…昨日レィアさんが出なかったのが悪いですよ」
頬を膨らませる少女。
「アホか。深夜にメッセージ飛ばすんじゃねぇ。そんでもってあのタイミングも当然ダメだ」
「だって…じゃないと取られそうでしたから。レィアさん、人気者でしょう?」
「人気ねぇ…知らねぇ。つーか、人気があろうと無かろうと、お前が呼べば俺が拒否できないの知ってんだろうが」
そう言って右手を差し出す。
「さ、行こうぜ」
「はい、喜んで。レィアさん」
俺は少し考えて、ずっと引っかかっていた事を一つ言う。
「呼び捨てでいい。俺がアンタの事をそう呼んでる風にな」
すると少女は何故か驚き、続いてもう一度先程と同じセリフを繰り返す。
「はい、喜んで。レィア」
「よし、行くか。フライナ」
そう言ってから俺達はようやく手を握った。
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