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本編
謝罪と口論
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戦闘は無事終了。トゲトゲ頭とクアイのコンビは特に危なっかしい所もなく、トゲトゲ頭の知り合いの方も、少し遅れてなんとかデーモンを倒していた。
「水準上がってんなぁ」
去年の俺達一年ならもっと手こずっていただろう。
そもそも、タッグで中級のデーモンを倒せるような班はどれだけいたか。一割無傷、半分はそこそこの怪我、残りが重傷とかすり傷で半々ぐらいだろうか。
ところが今の一年は約半数が無傷で、他も大した怪我をした様子はない。飛び抜けて強い生徒は──まぁ、この中には居ないが、準二つ名級とでも言うような実力を持つ者は数人見える。
その内の一人があのクアイである、という事に少々驚くが、努力が身を結んだ結果というものだろう。
「センパイ援護ありっした。やっぱ強いっすねー」
「あ、えと、わ、私はそんな」
「じゃ、俺はこれで」
と言って去ろうとするトゲトゲ頭の彼を、クアイが後ろから肘を引いて振り向かせる。
「なんスか」
「あの、その……約束した通り、メリルさんに謝ってくださいね?」
クアイが目をそらさずにそう言う。
それに対し、トゲ頭の彼は「うーん」と言って首を捻る。
「センパイ、俺、アイツに謝るって別に言ってないっすよね?」
「……え?」
「あの女に謝れって言われて、分かったとは言ったッスけど、やるとも謝るとも言ってないし」
「でも分かったなら、やるって意味じゃ」
「センパイが、俺があの女に謝らせる事が大事だってのを分かった、って言ったんすよ。俺は別に謝ることを了承した訳じゃないし。勝手に決めつけないで貰えます?」
「けど……」
「ちょっとアンタ!」
先にクアイと組んでいた女生徒がクアイに駆け寄り、トゲトゲ頭に激しい舌戦を仕掛ける。
「なんつーか、詭弁だな……」
思わずそう呟く。
やり方が狡い。しかも、言った言ってないの口約束の話だから、証拠が出せない。まぁ、こういう奴は自分に言ってないという自信があるからそう言えるのだろうが。
『メリル、ねぇ……』
「知ってるのか?」
『いや、知らん。だが、ユーリアの話も総合して見ると、それが件のやらかした生徒だろう』
「そりゃ間違いないだろうな」
そのメリルという生徒とクアイの仲が良かったのだろうか。だからクアイがあのトゲ頭に謝罪を要求して、今こうなっている。それが一番しっくりくる。
いつの間にか口論は激しくなり、クアイを取り巻く女組と、トゲ頭の三人組、それを遠巻きに知らん顔をするその他組と別れていた。
「わかりやすい構図だな」
『そろそろ出たらどうだ。状況は分かったろ』
「だな。あとは少しメリルって奴のことを調べるか」
マキナを鞭状にし、窓を外してヒョイと脱出。出来るだけ人目にはつかないタイミングで出たつもりだが、もしかすると一人二人には気づかれたかもしれない。
ま、見間違いだと思ってくれるだろ。
「さて、と。マキナ、メッセージ」
「何方にしますか?」
「そりゃ勿論セラに」
先程の訓練所にいるはずだった、ほぼ二つ名持ちと遜色のない力を持つ少女に、俺はメッセージを飛ばした。
「水準上がってんなぁ」
去年の俺達一年ならもっと手こずっていただろう。
そもそも、タッグで中級のデーモンを倒せるような班はどれだけいたか。一割無傷、半分はそこそこの怪我、残りが重傷とかすり傷で半々ぐらいだろうか。
ところが今の一年は約半数が無傷で、他も大した怪我をした様子はない。飛び抜けて強い生徒は──まぁ、この中には居ないが、準二つ名級とでも言うような実力を持つ者は数人見える。
その内の一人があのクアイである、という事に少々驚くが、努力が身を結んだ結果というものだろう。
「センパイ援護ありっした。やっぱ強いっすねー」
「あ、えと、わ、私はそんな」
「じゃ、俺はこれで」
と言って去ろうとするトゲトゲ頭の彼を、クアイが後ろから肘を引いて振り向かせる。
「なんスか」
「あの、その……約束した通り、メリルさんに謝ってくださいね?」
クアイが目をそらさずにそう言う。
それに対し、トゲ頭の彼は「うーん」と言って首を捻る。
「センパイ、俺、アイツに謝るって別に言ってないっすよね?」
「……え?」
「あの女に謝れって言われて、分かったとは言ったッスけど、やるとも謝るとも言ってないし」
「でも分かったなら、やるって意味じゃ」
「センパイが、俺があの女に謝らせる事が大事だってのを分かった、って言ったんすよ。俺は別に謝ることを了承した訳じゃないし。勝手に決めつけないで貰えます?」
「けど……」
「ちょっとアンタ!」
先にクアイと組んでいた女生徒がクアイに駆け寄り、トゲトゲ頭に激しい舌戦を仕掛ける。
「なんつーか、詭弁だな……」
思わずそう呟く。
やり方が狡い。しかも、言った言ってないの口約束の話だから、証拠が出せない。まぁ、こういう奴は自分に言ってないという自信があるからそう言えるのだろうが。
『メリル、ねぇ……』
「知ってるのか?」
『いや、知らん。だが、ユーリアの話も総合して見ると、それが件のやらかした生徒だろう』
「そりゃ間違いないだろうな」
そのメリルという生徒とクアイの仲が良かったのだろうか。だからクアイがあのトゲ頭に謝罪を要求して、今こうなっている。それが一番しっくりくる。
いつの間にか口論は激しくなり、クアイを取り巻く女組と、トゲ頭の三人組、それを遠巻きに知らん顔をするその他組と別れていた。
「わかりやすい構図だな」
『そろそろ出たらどうだ。状況は分かったろ』
「だな。あとは少しメリルって奴のことを調べるか」
マキナを鞭状にし、窓を外してヒョイと脱出。出来るだけ人目にはつかないタイミングで出たつもりだが、もしかすると一人二人には気づかれたかもしれない。
ま、見間違いだと思ってくれるだろ。
「さて、と。マキナ、メッセージ」
「何方にしますか?」
「そりゃ勿論セラに」
先程の訓練所にいるはずだった、ほぼ二つ名持ちと遜色のない力を持つ少女に、俺はメッセージを飛ばした。
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