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本編
夜明け前と寝起き
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酷く変わった…不思議な夢を見た。
紅の森での、彼女との過去の話。
ただ、俺から見えるのは俺の顔で、ナナキの姿は見えなかった。
つまりは、ナナキからみた過去の話…だったのだろう。
ありふれすぎた日常で、その日何があったのか、どんな事を話したのかも覚えていない。しかし、そんな日が何故か夢に出た。
そんな事を思っていると、いつの間にか目が覚めていたらしい。
「………。」
やけに部屋が暗いと思い、身体を起こして窓の外を見てみるとまだ空に星が浮かんでいた。
やや早めに寝たためか、変な時間に起きたらしい。この部屋に時計が備え付けられていないため、時間は分からないが…おそらく夜明けにかなり近づいているのだろう、空が白み始めている。
『…起きたか』
「あぁ、寝て起きたら大分楽になったよ」
『…ん?シエルはいないのか?』
言われて気づいた。
部屋を見渡したり、ベッドの中を覗いてみるが、どこにもいない。
…まぁ多分、俺を気遣ってアーネか誰かの部屋に泊まったのだろう。
「…仮に迷子になっても大丈夫だろ。一日ぐらいなら、あの子も耐えられるだろうし」
で、話ってのは?
『あぁ──大したことじゃない。大したことじゃないんだが……その前に、一つ確認だ』
「俺が答えられる範囲内なら何でも」
そう言いながら頭を掻き、ひとまずベッドから降りる。着替えもせず、風呂も入らず、飯も取らずに丸一日。
よく考えれば、昨日はこのぐらいに叩き起され、何も食べずに場所取り、さらにそのまま昼食も取らずに勝負。あとは記憶が無いため確実なことは言えないが、この空腹具合からして、恐らく昨日一日、俺は何も食べなかったのではないかと思う。
『んじゃ遠慮なく。このナナキって女……元《勇者》で間違いないのか?』
「どんな《勇者》かは知らないが、そうらしいな。…実際、少なくとも一回は《亡霊》の方で会ってる」
もしかしたら《雷光》との戦いで、堕ちかけた時の声の主もそうだったかもしれないが…それはともかく。
着替えつつ、ゆっくりと冷え始めた朝の気温に少しだけ身を引き締めて、髪を制服で縛る。もっとも、聖学祭準備期間や聖学祭当日は制服の着用は義務ではないため、完全に髪留めとしてだが。
『そうか。なら話は簡単だ』
「そうか、複雑じゃなくてよかっ──ん?」
トイレが部屋に無いため、用を足してから部屋に戻ると、布に包まれた人の頭ほどの大きさの塊が置いてあった。
上には一言、『体調が良くなったら食べてください』とだけ。
とりあえずそれを拾い、部屋に入って包を開く。
中には肉と野菜が大量に挟まれたパンが入っていた。
とりあえずそれを口にしながら、シャルの話を聞くとしよう。
で、何の話?
『大したことじゃない。ちょいとした《勇者》のオハナシだ』
紅の森での、彼女との過去の話。
ただ、俺から見えるのは俺の顔で、ナナキの姿は見えなかった。
つまりは、ナナキからみた過去の話…だったのだろう。
ありふれすぎた日常で、その日何があったのか、どんな事を話したのかも覚えていない。しかし、そんな日が何故か夢に出た。
そんな事を思っていると、いつの間にか目が覚めていたらしい。
「………。」
やけに部屋が暗いと思い、身体を起こして窓の外を見てみるとまだ空に星が浮かんでいた。
やや早めに寝たためか、変な時間に起きたらしい。この部屋に時計が備え付けられていないため、時間は分からないが…おそらく夜明けにかなり近づいているのだろう、空が白み始めている。
『…起きたか』
「あぁ、寝て起きたら大分楽になったよ」
『…ん?シエルはいないのか?』
言われて気づいた。
部屋を見渡したり、ベッドの中を覗いてみるが、どこにもいない。
…まぁ多分、俺を気遣ってアーネか誰かの部屋に泊まったのだろう。
「…仮に迷子になっても大丈夫だろ。一日ぐらいなら、あの子も耐えられるだろうし」
で、話ってのは?
『あぁ──大したことじゃない。大したことじゃないんだが……その前に、一つ確認だ』
「俺が答えられる範囲内なら何でも」
そう言いながら頭を掻き、ひとまずベッドから降りる。着替えもせず、風呂も入らず、飯も取らずに丸一日。
よく考えれば、昨日はこのぐらいに叩き起され、何も食べずに場所取り、さらにそのまま昼食も取らずに勝負。あとは記憶が無いため確実なことは言えないが、この空腹具合からして、恐らく昨日一日、俺は何も食べなかったのではないかと思う。
『んじゃ遠慮なく。このナナキって女……元《勇者》で間違いないのか?』
「どんな《勇者》かは知らないが、そうらしいな。…実際、少なくとも一回は《亡霊》の方で会ってる」
もしかしたら《雷光》との戦いで、堕ちかけた時の声の主もそうだったかもしれないが…それはともかく。
着替えつつ、ゆっくりと冷え始めた朝の気温に少しだけ身を引き締めて、髪を制服で縛る。もっとも、聖学祭準備期間や聖学祭当日は制服の着用は義務ではないため、完全に髪留めとしてだが。
『そうか。なら話は簡単だ』
「そうか、複雑じゃなくてよかっ──ん?」
トイレが部屋に無いため、用を足してから部屋に戻ると、布に包まれた人の頭ほどの大きさの塊が置いてあった。
上には一言、『体調が良くなったら食べてください』とだけ。
とりあえずそれを拾い、部屋に入って包を開く。
中には肉と野菜が大量に挟まれたパンが入っていた。
とりあえずそれを口にしながら、シャルの話を聞くとしよう。
で、何の話?
『大したことじゃない。ちょいとした《勇者》のオハナシだ』
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