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本編
集合と決定
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「…西学?」
そう聞いた俺に、ルト先輩は一瞬だけ眉をひそめ、すぐに前を向く。
「いや」
「違うのか?」
まさか。他に予想がつかないんだけど。
「その質問の答えは、イエスでありノーでもある、かな」
「ウィルか。お疲れ様」
「よくやったな。褒めてやる」
「二人共ありがとう。なんとか勝てたよ」
そういうウィルに、ルト先輩は「余裕だっただろうが」と牙を剥き出しにして唸る。おい、少しドラゴンの部分出てきてるぞ。
そんなことより。
「んで、イエスでありノーであるって、どういう事?」
すっ──、とルト先輩が指さした方を見てみると、広場を囲んでいた観客達、その一部が──。
『ありゃあ…なんとも怪しい一団だな』
「ナニアレ」
目も鼻も口も書かれていない、真っ黒な仮面を被った不審人物が。
それも、一人や二人ではなく、何十人と。
いや、何十人ってーかありゃあ…。
「…来るの?アイツら」
「えっと…多分来るんじゃない?」
いや、俺に聞かれても。
「呑気なことを言ってる場合か。西学共が来るぞ」
やっぱりあってんじゃねぇか!!
「リーダー」「やる?やる?」「あっちはやる気「みたいだけど?」」
「双子か」
いつの間にか近くへ来ていた《不動荒野》。よく見れば、《不動》小さな背中の上に、さらに小さな《臨界点》が乗っていた。
「こっちとしては構わないが。そっちはどうだ?」
《逆鱗》がそう言うと、ウィルが人差し指で頬をかきながら返す。
「うーん、上からは『好きにして構いません』、って言われてるんだよね。シオン、大丈夫?」
「はっ、問題ありません」
「だってさ」
「ふむ、じゃあ問題ないな。それでは──」
「これ、そこな蜥蜴男」
誰が何を言ったのか。
誰もが理解をしていなかった。
ただ、声がした方を見ると、《不動》がいた。
そして、既に下に降ろされた《臨界点》もいた。
「なんだ、何か問題でもあるのか?何もしていないお前に聞く必要もないと思っていたんだが?」
「我輩ではない。我輩は基本、動く気はないのでな。そうではなく、《緋眼騎士》が困惑しておるじゃろ。しっかりと確認してやれ」
そう言われると、当然視線は俺に集中する。
「あー、うん、時間も結構無さそうだけど、現状把握って大事だよね」
とりあえずそう言えば、意味は伝わったらしい。
可及的速やかに現状を教えやがれ。という意味は。
ルト先輩が素早く答える。
「予想していた予想ではない予想外の連戦となるが、体力は持つか?もし良ければ、このまま西学との戦闘になりそうだ」
「加えて、お主はまだ本調子じゃなかろう?無理はするでないぞ」
《臨界点》もそう言う。
「あー、うん、まぁ全力じゃあないさ。うん、フルじゃあない。けど」
既に戻していた《千変》を取り出し、血を軽く付ける。
「本気でやる。それで答えはいい?」
「上等だ」
ルト先輩がそう言った途端、西学の誰かが声を張り上げる。
「聖女直属英雄育成学校の二つ名持ち達よ!!今ここに、正々堂々とあなた達との戦いを望む者達がいる!そちらのルールに則り、我々と決闘して頂きたい!!」
『はっ、戦力五倍を正々堂々とは言わねぇよ』
へぇ、じゃあ何ていうんだ?
『精々邪道だろ』
…呆れた。言いたいだけだろ。
『まぁな。…ほら、《勇者》様が応えたぞ』
あぁ知ってる。
二度目の戦闘開始の合図。
さて。
思い返せばプクナイムの時か。
一番最初に絡まれたのは。
…ふぅ。
「…憂さ晴らしの時間だ」
そう聞いた俺に、ルト先輩は一瞬だけ眉をひそめ、すぐに前を向く。
「いや」
「違うのか?」
まさか。他に予想がつかないんだけど。
「その質問の答えは、イエスでありノーでもある、かな」
「ウィルか。お疲れ様」
「よくやったな。褒めてやる」
「二人共ありがとう。なんとか勝てたよ」
そういうウィルに、ルト先輩は「余裕だっただろうが」と牙を剥き出しにして唸る。おい、少しドラゴンの部分出てきてるぞ。
そんなことより。
「んで、イエスでありノーであるって、どういう事?」
すっ──、とルト先輩が指さした方を見てみると、広場を囲んでいた観客達、その一部が──。
『ありゃあ…なんとも怪しい一団だな』
「ナニアレ」
目も鼻も口も書かれていない、真っ黒な仮面を被った不審人物が。
それも、一人や二人ではなく、何十人と。
いや、何十人ってーかありゃあ…。
「…来るの?アイツら」
「えっと…多分来るんじゃない?」
いや、俺に聞かれても。
「呑気なことを言ってる場合か。西学共が来るぞ」
やっぱりあってんじゃねぇか!!
「リーダー」「やる?やる?」「あっちはやる気「みたいだけど?」」
「双子か」
いつの間にか近くへ来ていた《不動荒野》。よく見れば、《不動》小さな背中の上に、さらに小さな《臨界点》が乗っていた。
「こっちとしては構わないが。そっちはどうだ?」
《逆鱗》がそう言うと、ウィルが人差し指で頬をかきながら返す。
「うーん、上からは『好きにして構いません』、って言われてるんだよね。シオン、大丈夫?」
「はっ、問題ありません」
「だってさ」
「ふむ、じゃあ問題ないな。それでは──」
「これ、そこな蜥蜴男」
誰が何を言ったのか。
誰もが理解をしていなかった。
ただ、声がした方を見ると、《不動》がいた。
そして、既に下に降ろされた《臨界点》もいた。
「なんだ、何か問題でもあるのか?何もしていないお前に聞く必要もないと思っていたんだが?」
「我輩ではない。我輩は基本、動く気はないのでな。そうではなく、《緋眼騎士》が困惑しておるじゃろ。しっかりと確認してやれ」
そう言われると、当然視線は俺に集中する。
「あー、うん、時間も結構無さそうだけど、現状把握って大事だよね」
とりあえずそう言えば、意味は伝わったらしい。
可及的速やかに現状を教えやがれ。という意味は。
ルト先輩が素早く答える。
「予想していた予想ではない予想外の連戦となるが、体力は持つか?もし良ければ、このまま西学との戦闘になりそうだ」
「加えて、お主はまだ本調子じゃなかろう?無理はするでないぞ」
《臨界点》もそう言う。
「あー、うん、まぁ全力じゃあないさ。うん、フルじゃあない。けど」
既に戻していた《千変》を取り出し、血を軽く付ける。
「本気でやる。それで答えはいい?」
「上等だ」
ルト先輩がそう言った途端、西学の誰かが声を張り上げる。
「聖女直属英雄育成学校の二つ名持ち達よ!!今ここに、正々堂々とあなた達との戦いを望む者達がいる!そちらのルールに則り、我々と決闘して頂きたい!!」
『はっ、戦力五倍を正々堂々とは言わねぇよ』
へぇ、じゃあ何ていうんだ?
『精々邪道だろ』
…呆れた。言いたいだけだろ。
『まぁな。…ほら、《勇者》様が応えたぞ』
あぁ知ってる。
二度目の戦闘開始の合図。
さて。
思い返せばプクナイムの時か。
一番最初に絡まれたのは。
…ふぅ。
「…憂さ晴らしの時間だ」
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