大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

二つ名持ちと協戦 終

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やはり、と言うかなんというか。
当然だが、剣があるとないとでは、全く違うと再確認した。
「シッ!!」
三人の先輩に囲まれたまま、三対一で剣を合わせる。
得物はそれぞれ、手頃な長さの長剣、片刃のでやや長めの槍、鋭く研がれた小刀、か…。
連携も完璧、長剣使いが俺と切り結び、俺の後ろから槍使いが攻撃、左右から狙い澄ませた小刀使いが急襲してくる。
「…やっぱり加勢するか?」
「いらんっ!!」
一瞬の隙を突き、まずは鬱陶しい小刀使いの喉に、鋭い一撃をカウンター気味に撃ち込む。
「か…はっ!!」
「ルーフィー!!」
「馬鹿!構ってる場合じゃ──」
「よっと」
《千変》を変形させ、両手に装着された剣を分離させて手放し、空中に浮遊させる。
隙だらけの小刀使いの足首を両手で引っ掴み、思いっきり、全力で。
「せいっ!!」
ぶん回した。
いわゆる、ジャイアントスイングと言われるあれ。
当然、先輩方はそれを回避しようと後ろに下がった。
仲間を巻き込む可能性があるため、そうそう近づけないのだろう。
しかしまぁ、それらは当然想像がついている。
「は、離せっ!!」
「え?離して欲しいの?」
じゃあ…離してやるよ。
「ほい」
「なああぁぁぁああぁぁあぁ!!」
「おいやめ、くるなぁぁあああぁぁああぁあ!!」
まぁ、そりゃそうなるわな。
多分、小刀の先輩と長剣の先輩は今ので校章か仮面が壊れたな。
「ベンズ!!」
「ほい隙だらけ」
宙に浮いたままの《千変》の剣…千変剣でいいか。
千変剣を宙に浮いたそのまま操り、残っていた槍の先輩に向かって飛ばす。
「くっ!」
しかしそれを槍の先輩は捌ききる。
俺が間接的に操っているため、幾分劣るとは言え、俺の実力に近いものがあるが…技術的にはやはり三年先輩達の方が基本上らしいな。
『おぉ、スゲェな』
感心してる場合か。
なら、
「《千変》変形」
もはやほとんど剣だけとなった鎧を、先ほどの小刀使いのような長さの剣二本に変形させ、さらに俺も突撃する。
「なっ!!」
これで槍使いを襲う剣は四つ。
流石に捌ききれまい。
ほら、胴体がガラ空きだ。
くしゃりと校章がひしゃげたのを確認し、俺は千変剣を再び腕に装着。
「かなりかかったな」
「…なんだ、ルト先輩か」
「私に先輩などとつけなくていい。…ルト、と呼んでくれ」
「……おーけールト先輩」
よし、意地でも呼んでやるもんか。
しかし、流石二つ名持ち達の本気ということか。
多分、俺が戦った《不動荒野》や《雷光》、目の前の《逆鱗》だって本気を出せば俺より強いのだろうな…。
もちろん、俺は本気ではなく死ぬ気で戦うが。
「お前がそこの三人組とじゃれあっているうちに、敵はあらかた片付いた。…今、《勇者》が最後の一人と一騎打ちしている所だ」
先輩がそう言った途端、割れるような歓声が広場を揺るがした。
「終わったみたいだな」
「…いや、ここからが本番だ」
「…あん?」
「ゲストのご登場だ」
…あぁ、何か言ってたけど…まさか。
俺は恐る恐る聞いてみる。
「…西学?」
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