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本編
報告と飯
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ベルが一直線に俺達の方へと進んで来て、隣のテーブルから椅子を一つかっぱらい、ちょうど座ったばかりの俺達と同じ席に座る。
見るからに不機嫌。いや、と言うよりも、疲れが顔に出ているだけか。恐ろしく目つきが悪い。
「報告や。まず、親父はねじ伏せた。そんでグローゾフの炎には触れれるようになった」
「それは何より。で、彼の義眼と鎧の成果はどうじゃ?」
ヴァルクスがそう聞くと、ベルはじろりと彼を睨む。
が、すぐにため息をついて自身の髪をくしゃくしゃとし、舌打ちをする。
「全然や。素材はあった。炎も金床も、何もかもある。やることも決まってる。でもあの炎がまだ使いこなせんねや」
「あそこに入って、生きて帰ってくるだけでも君の実力は本物だと言える。そう気を落とすでない。すぐにモノに出来るじゃろう」
どこに行っていたんだ?確か、槌人種の親父にケリをつけてくるとか言ってたのは覚えている。で、グローゾフの炎とか言う、王都にあるらしい鍛冶屋に行って来るとか何とかってのは聞いた。
まさか、そこでこんなボロボロになったのか?
「あそこは剣でも鎧でも、火を使ってモノ作るんやったら最高の環境や。炎に呑まれんのやったら、の話やけどな」
そう言って、ベルが懐から小石ほどの白銀の塊を取り出す。
それを見た瞬間、俺にはそれが何か、すぐに気づいた。
「マキナ…?」
「せや。ちゅーても、一旦打ち直す為にちょっと補強しただけや。繋がるか?」
ベルにそう言われながらマキナを渡され、軽く握りながらマキナに繋がろうとする。
が、ダメ。マキナからは一切返答が無く、俺との繋がりがほぼ絶たれているのだとすぐに気づいた。これではただの銀色の石ころと変わらない。
首を振りながらマキナを返すと、ベルが溜息をつきながらそれを懐に戻す。
「本来なら、今のサイズでも本来ならアンタとマキナは繋がれるはずなんや。それでも通じんってことは、一回本気でヤバい事になって、そこからまだマキナが復帰出来てないって事なんや。下手したら核ン所もちょっとやってるかもしれん」
と、ベルがそう言った。
本来はマキナという人格は、完全にイレギュラーから出来た。
ベルと俺のスキル、槌人種の種族魔法が噛み合った結果、偶然出来上がったのがマキナだ。ベルとしても、仮に同じものを作ってくれと俺に頼まれても、同じものが出来るかどうかは正直分からない──否、十中八九は出来ないらしい。
そしてマキナの核は、物体の鎧には無い。厳密にはあるとも言えるが。
マキナの核は魔法を構成する魔法陣そのもの。それが練り込まれた鎧全てが核なのだ。
実際、どこにマキナの核であるかということはマキナ自身にも分からないらしい。ほぼ溶け込んでいるのではないかというのはアーネが行った分析だ。
だが、その鎧を全て粉々に粉砕してみせる男がいた。
完全に予想外。だが、その予想外の一撃を守ってくれたからこそ、俺は今ここに居られるのだ。
「どうにか……出来ないか?」
「はっ、アンタになんか言われんでもやったるわ。何がなんでも絶対な」
ベルがそう言った瞬間、店の奥の扉が開き、奥から店主が大皿に乗った料理を運んで来た。
「……食え」
「さぁ二人とも、話は一旦あとじゃ。まずは食うぞ」
見るからに不機嫌。いや、と言うよりも、疲れが顔に出ているだけか。恐ろしく目つきが悪い。
「報告や。まず、親父はねじ伏せた。そんでグローゾフの炎には触れれるようになった」
「それは何より。で、彼の義眼と鎧の成果はどうじゃ?」
ヴァルクスがそう聞くと、ベルはじろりと彼を睨む。
が、すぐにため息をついて自身の髪をくしゃくしゃとし、舌打ちをする。
「全然や。素材はあった。炎も金床も、何もかもある。やることも決まってる。でもあの炎がまだ使いこなせんねや」
「あそこに入って、生きて帰ってくるだけでも君の実力は本物だと言える。そう気を落とすでない。すぐにモノに出来るじゃろう」
どこに行っていたんだ?確か、槌人種の親父にケリをつけてくるとか言ってたのは覚えている。で、グローゾフの炎とか言う、王都にあるらしい鍛冶屋に行って来るとか何とかってのは聞いた。
まさか、そこでこんなボロボロになったのか?
「あそこは剣でも鎧でも、火を使ってモノ作るんやったら最高の環境や。炎に呑まれんのやったら、の話やけどな」
そう言って、ベルが懐から小石ほどの白銀の塊を取り出す。
それを見た瞬間、俺にはそれが何か、すぐに気づいた。
「マキナ…?」
「せや。ちゅーても、一旦打ち直す為にちょっと補強しただけや。繋がるか?」
ベルにそう言われながらマキナを渡され、軽く握りながらマキナに繋がろうとする。
が、ダメ。マキナからは一切返答が無く、俺との繋がりがほぼ絶たれているのだとすぐに気づいた。これではただの銀色の石ころと変わらない。
首を振りながらマキナを返すと、ベルが溜息をつきながらそれを懐に戻す。
「本来なら、今のサイズでも本来ならアンタとマキナは繋がれるはずなんや。それでも通じんってことは、一回本気でヤバい事になって、そこからまだマキナが復帰出来てないって事なんや。下手したら核ン所もちょっとやってるかもしれん」
と、ベルがそう言った。
本来はマキナという人格は、完全にイレギュラーから出来た。
ベルと俺のスキル、槌人種の種族魔法が噛み合った結果、偶然出来上がったのがマキナだ。ベルとしても、仮に同じものを作ってくれと俺に頼まれても、同じものが出来るかどうかは正直分からない──否、十中八九は出来ないらしい。
そしてマキナの核は、物体の鎧には無い。厳密にはあるとも言えるが。
マキナの核は魔法を構成する魔法陣そのもの。それが練り込まれた鎧全てが核なのだ。
実際、どこにマキナの核であるかということはマキナ自身にも分からないらしい。ほぼ溶け込んでいるのではないかというのはアーネが行った分析だ。
だが、その鎧を全て粉々に粉砕してみせる男がいた。
完全に予想外。だが、その予想外の一撃を守ってくれたからこそ、俺は今ここに居られるのだ。
「どうにか……出来ないか?」
「はっ、アンタになんか言われんでもやったるわ。何がなんでも絶対な」
ベルがそう言った瞬間、店の奥の扉が開き、奥から店主が大皿に乗った料理を運んで来た。
「……食え」
「さぁ二人とも、話は一旦あとじゃ。まずは食うぞ」
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