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本編
メッセージと送り主
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通信系魔法。
ある程度以上離れた相手に対し、発信者が対象へ、近距離ならばリアルタイムで会話のできる音声を、遠距離ならば必ず三日の時間をかけて一方的に文として意思を飛ばす魔法。
仕組みもアーネに聞いてみたのだが、俺には理解出来なかったので省略。
個人の魔力波形を辿って、送りたいメッセージをドウタラコウタラしたらウンヌンカンヌン。
シャルは多少分かったらしいが、俺にはさっぱり。
さて、ここで問題。
その魔法は《勇者》の《魔法返し》に引っかからないのか?
答えはシャルが。
『その仕組みなら引っかかるな。外部から魔力の塊をぶつけてるようなもんだ。それを火焔の塊だとかに変換したらわかりやすいか?』
とのこと。
まぁ、何となく分かってた。
これも多分、超強力なメッセージ(?)なら《魔法返し》を貫通するのだろうが、たかだかメッセージの魔法にそんなバカ魔力をねじ込む奴はいないだろう。
さて。
じゃあ、目の前に浮かんでいる手紙は?
そして。
誰が俺に送ったのか。
「とりあえず、開いたのなら読んでみたらどうですの?」
「…そうだな」
封を切った時と同じ要領で中の手紙を取り出し、開いていく。
ガサガサという幻聴を聞きながらそれを広げ、魔法が編んだ白い紙の上に踊った黒のインクの足跡を目で追う。
「………。」
「………。」
『………。』
「………。」
「………。」
『………。』
「………アーネ、ひま」
「…あら、ごめんなさいですの」
じっ………と手紙を読み、最後まで読み切り、さらに確認のために二回、頭の中で繰り返す。
で、一言口から漏れた。
「は?」
「どうしたんですの?」
「………アーネ、こっち」
「あ、はい」
アーネ、素が出てんぞ。
『…そういやアイツ、付け足したとか言ってたな…』
俺が読んで、頭の中で二回ほど頭の中で繰り返したからだろう。シャルは内容が分かったようだ。
「…あー、アーネってベルの事、覚えてる?」
「………クランベルナさんの事ですの?あの槌人種の?」
あぁ、ベルじゃ分かりにくかったか。
「そうそう、俺用の唯一無二の武具を作ってくれたアイツ」
「アイツって…彼女、貴族のお嬢様ですわよ?」
それは…いやぁ…あんなのが貴族ってのは少し無理が…。
いや、でも某耳長種の大貴族とかはあんな感じか。
それはさておき。
「アイツ、最後に魔法を付与したんだが…得体の知れない魔法を余計にくっつけたんだよ」
「…魔法を付与!?それってもしかして種族魔法ですの!?」
「…まぁな。で、その魔法がなにか分からなかったんだが…今更になってそれをしっかり伝えてきやがった」
つまり、メッセージの主はベルだった訳なんだが…。
「付与した魔法は三つ。そのうちの一つが…メッセージ魔法そのものを付与したんだと」
たしかに、俺は《魔法返し》があるから効かないだろうが…なるほど、言われてみれば鎧の方には《魔法返し》はない。
どうやって気づいたかは知らないが、見事だ。
そう俺が納得していると、凍っていたアーネが再起動した。
「魔法を…三つも付与!?それ、とんでもない逸品になってますわよ!?」
そこに食いつくか。アーネ。
そして実は、それに重力魔法まで付けられているのだが…言わない方が良さそうだな。
そんな興奮したアーネを相手にしていると、どんどん夜が更けていった。
あぁそうそう、用意はギリギリ間に合った。
本当にギリギリだったけど。
ある程度以上離れた相手に対し、発信者が対象へ、近距離ならばリアルタイムで会話のできる音声を、遠距離ならば必ず三日の時間をかけて一方的に文として意思を飛ばす魔法。
仕組みもアーネに聞いてみたのだが、俺には理解出来なかったので省略。
個人の魔力波形を辿って、送りたいメッセージをドウタラコウタラしたらウンヌンカンヌン。
シャルは多少分かったらしいが、俺にはさっぱり。
さて、ここで問題。
その魔法は《勇者》の《魔法返し》に引っかからないのか?
答えはシャルが。
『その仕組みなら引っかかるな。外部から魔力の塊をぶつけてるようなもんだ。それを火焔の塊だとかに変換したらわかりやすいか?』
とのこと。
まぁ、何となく分かってた。
これも多分、超強力なメッセージ(?)なら《魔法返し》を貫通するのだろうが、たかだかメッセージの魔法にそんなバカ魔力をねじ込む奴はいないだろう。
さて。
じゃあ、目の前に浮かんでいる手紙は?
そして。
誰が俺に送ったのか。
「とりあえず、開いたのなら読んでみたらどうですの?」
「…そうだな」
封を切った時と同じ要領で中の手紙を取り出し、開いていく。
ガサガサという幻聴を聞きながらそれを広げ、魔法が編んだ白い紙の上に踊った黒のインクの足跡を目で追う。
「………。」
「………。」
『………。』
「………。」
「………。」
『………。』
「………アーネ、ひま」
「…あら、ごめんなさいですの」
じっ………と手紙を読み、最後まで読み切り、さらに確認のために二回、頭の中で繰り返す。
で、一言口から漏れた。
「は?」
「どうしたんですの?」
「………アーネ、こっち」
「あ、はい」
アーネ、素が出てんぞ。
『…そういやアイツ、付け足したとか言ってたな…』
俺が読んで、頭の中で二回ほど頭の中で繰り返したからだろう。シャルは内容が分かったようだ。
「…あー、アーネってベルの事、覚えてる?」
「………クランベルナさんの事ですの?あの槌人種の?」
あぁ、ベルじゃ分かりにくかったか。
「そうそう、俺用の唯一無二の武具を作ってくれたアイツ」
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それは…いやぁ…あんなのが貴族ってのは少し無理が…。
いや、でも某耳長種の大貴族とかはあんな感じか。
それはさておき。
「アイツ、最後に魔法を付与したんだが…得体の知れない魔法を余計にくっつけたんだよ」
「…魔法を付与!?それってもしかして種族魔法ですの!?」
「…まぁな。で、その魔法がなにか分からなかったんだが…今更になってそれをしっかり伝えてきやがった」
つまり、メッセージの主はベルだった訳なんだが…。
「付与した魔法は三つ。そのうちの一つが…メッセージ魔法そのものを付与したんだと」
たしかに、俺は《魔法返し》があるから効かないだろうが…なるほど、言われてみれば鎧の方には《魔法返し》はない。
どうやって気づいたかは知らないが、見事だ。
そう俺が納得していると、凍っていたアーネが再起動した。
「魔法を…三つも付与!?それ、とんでもない逸品になってますわよ!?」
そこに食いつくか。アーネ。
そして実は、それに重力魔法まで付けられているのだが…言わない方が良さそうだな。
そんな興奮したアーネを相手にしていると、どんどん夜が更けていった。
あぁそうそう、用意はギリギリ間に合った。
本当にギリギリだったけど。
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