大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

保健室と整理

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取り敢えず、二、三日中に俺の処罰を決めるから、それまでは謹慎してろと言われて部屋──ではなく、保健室に戻る。保健室のベッドが硬い訳では無いが、自室のベッドがそろそろ恋しくなってくる。
「報告ご苦労様。身体は大丈夫かい?」
「大丈夫だったら自室に戻ってるよ。相変わらずって感じだ」
そう言った瞬間、膝の関節が消えたようにつんのめって倒れかける。
それを保健の先生がひょいと受け止め、お姫様抱っこでベッドに運ぶ。
「うーん、やっぱり歩けるようにはなったとはいえ、すぐに報告しに行くのは無理があったか。じゃ、何かあったら呼んでね」
と言ってベッドに俺を寝かせた後、先生がベッドのカーテンを閉めて離れる。
さて、まずは俺以外の二人、アーネと《勇者》について話そうか。
いや、その前に聖学に着いた後どうなってたのかを軽く言っておくか。
と言っても大したことはなく、俺と《勇者》で交互に第二を使って馬車を引いて帰ったのだが、最後に馬車を引いていた《勇者》が倒れ、聖学の前までどうにか二人を担いで行った俺も途中で力尽き、固まって倒れていた俺達を偶然《剣姫》が見つけて保健室に運んだそうだ。
で、《勇者》は翌日、俺とアーネは揃って三日。意識が戻るまでそれだけかかったし、意識が戻っても指先ぐらいしか動かなかった。
ようやく俺も歩けるようになったとはいえ、それはスキルを使ってどうにか、というレベル。
一番大きな原因は血の使いすぎだろう。正直帰って来る時が一番しんどかったかもしれない。本当の本当に、精も根も尽き果てるレベルで全部振り絞った記憶が朧気にある。おかげでその影響が尾を引き、手足に力が入らない。随分と感覚は戻ってきたが、逆に言えばそれだけ。
アーネもどうにか上体を起こすことは出来るようになったが、歩くどころか立つ事もまだ難しいようだ。どうやら身体に力を入れると、その箇所が酷く痛むらしい。一番有り得そうなのは俺の血を入れた後遺症だが、先生にそんな事が分かる訳もなく、原因不明となっている。
そして一番復帰が早かったのは、目覚めも早かった《勇者》。
目覚めた翌日には普通に歩き回り、その翌日にはここを出ていったらしい。化物か。
次はマキナについてか。
起きても指先しか動かなくて、暇だったので残ったマキナの欠片を色々調べてみた結果、マキナ自体は残っているが、パーツがあまりに不足していてどうしようもないらしいという事がわかった。
ヒトに置き換えて言うと、頭だけ残されて保存されている様なもので、手足どころか胴すら無い状態。いやむしろ、頭も脳だけというレベルだろうか。コアとなる部分だけ辛うじて残ったらしい。
とりあえずベルに見せて直るかどうかだな。いつ行けるか分からんが。
次、俺の眼について。
と言っても、そう語ることは多くない。右目は普通に失明。もう見えないらしい。まぁ、普通に押し潰されたのだから見える訳が無いのだが。
もしかしたら聖女サマなら復元魔法で戻せるかもしれないと先生は言ってたが、シャルは結構微妙って言ってた。
『腕なら繋げばいいが、眼球一個を始めから作り直すってなると難易度跳ね上がると思うぞ。ましてや緋眼だし、相手は魔法返し持ってる《勇者》だし……まぁ、多めに見積って五分じゃないか?』
との事。
とりあえず今は先生から白い眼帯貰って当ててる。寝起きに無意識に右目をこすって、瞼がへこんで変な声を出す、なんてことを何度かやったので渡されたのだ。
あぁそうだ、丁度シャルが出てきたから、アレについて話しとこう。
シャルが知ってるアーネの体質……というか、特別性の種明かしについて。
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