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本編
交戦と混戦12
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壮絶な音を立てて障壁と《斬撃》が衝突する。
斬撃など、本来は目視が出来る訳が無い。それは空を飛ぼうが何をしようが変わらない。剣が斬ったその軌跡を、後から名付けて斬撃と呼んでいるのだから。
だが、俺の目にはしっかりと、巨大な斬撃が映っていた。
なるほど、あれがあの花を斬った斬撃か。
サイズと威力、共に申し分ない。どんな得物で斬ったのか、誰がやったのかが軽い疑問だったが、それに得心がいった。
確かに凄まじい威力。あの《腐死者》の障壁に食らいつき、音と衝撃を辺りに撒き散らしながら斬撃が進もうとする。
一方《腐死者》の障壁は所々にヒビが入り、今にも壊れそう。
行けるか?
「ダメ押しだッ!!」
女半魔が、大上段から剣を振り抜いた姿から、さらに軸足を変えて前に一歩踏みこむ。そのまま前傾姿勢を崩さず、二撃目。
身体を黒紫のオーラが覆う。戦技の輝きだ。
「《斬撃》!!」
二度目の戦技の発動。
本来《斬撃》は戦技の初歩の初歩。単純で単発の攻撃。それ故に威力は決して高くなく、利点として戦技特有の硬直が非常に短い。
だと言うのにあの威力。相当使い込まれているようだ。
そして二撃目の斬撃もまた、初撃の斬撃と負けず劣らずの超威力。
斬撃が絶対に届かない距離を飛び、《腐死者》の障壁に×形の斬痕を刻み込む。
一際大きく障壁が揺れ、山をも切り裂くような斬撃がこの塔を震わせ、障壁に大きく食い込み、そして障壁が砕け散った。
だが。
「っぐぅ!?」
「耐えた!?」
障壁が砕けると同時に、斬撃も虚空に消える。どういう仕組みかは分からないが、そうとしか見えなかったし、実際、花まで斬撃が届く事も、《腐死者》が斬られる事もなかった。
しかし、障壁が砕けたという事自体が次を作った。
いや、そもそもが攻撃を仕掛け続けていた《腐死者》が、防御に回ったという事実。
それはつまり、全力で防御をしたこの時間自体が大きな隙。
数秒間という、あまりにも大きな隙だった。
キン、と言う音と共に赤い魔法陣が無数に展開される。
だが、いつもの展開方法とは違う。
横に広げるのではなく、魔法陣の前に魔法陣を置く、それを繰り返した縦に長い魔法陣。
輪廻術式。そう理解した瞬間、第一の魔法が放たれ、間髪入れずに第二、第三の魔法陣を貫く。
放たれた火球が巨大化し、加速し、姿を変え、形を変え、より強力に、回避しにくく、外れないように形を変える。
「《ファイア・ボール》」
冗談のようにすら感じられる魔法の名前。
それは最初の射出から一秒と経たずに完成した。
それは圧縮されてなお、ヒトの頭ほどの大きさをした火球。
それが三つ、不規則な動きををしつつも高速で、狙いに真っ直ぐ飛んでいく。
射線は彼女から《腐死者》を通って花を貫く一直線の軌道。
《腐死者》がこれを避ければ、後ろの花は間違いなく燃える。
魔法は、最早下級の魔法とは思えない威力で《腐死者》へと放たれた。
斬撃など、本来は目視が出来る訳が無い。それは空を飛ぼうが何をしようが変わらない。剣が斬ったその軌跡を、後から名付けて斬撃と呼んでいるのだから。
だが、俺の目にはしっかりと、巨大な斬撃が映っていた。
なるほど、あれがあの花を斬った斬撃か。
サイズと威力、共に申し分ない。どんな得物で斬ったのか、誰がやったのかが軽い疑問だったが、それに得心がいった。
確かに凄まじい威力。あの《腐死者》の障壁に食らいつき、音と衝撃を辺りに撒き散らしながら斬撃が進もうとする。
一方《腐死者》の障壁は所々にヒビが入り、今にも壊れそう。
行けるか?
「ダメ押しだッ!!」
女半魔が、大上段から剣を振り抜いた姿から、さらに軸足を変えて前に一歩踏みこむ。そのまま前傾姿勢を崩さず、二撃目。
身体を黒紫のオーラが覆う。戦技の輝きだ。
「《斬撃》!!」
二度目の戦技の発動。
本来《斬撃》は戦技の初歩の初歩。単純で単発の攻撃。それ故に威力は決して高くなく、利点として戦技特有の硬直が非常に短い。
だと言うのにあの威力。相当使い込まれているようだ。
そして二撃目の斬撃もまた、初撃の斬撃と負けず劣らずの超威力。
斬撃が絶対に届かない距離を飛び、《腐死者》の障壁に×形の斬痕を刻み込む。
一際大きく障壁が揺れ、山をも切り裂くような斬撃がこの塔を震わせ、障壁に大きく食い込み、そして障壁が砕け散った。
だが。
「っぐぅ!?」
「耐えた!?」
障壁が砕けると同時に、斬撃も虚空に消える。どういう仕組みかは分からないが、そうとしか見えなかったし、実際、花まで斬撃が届く事も、《腐死者》が斬られる事もなかった。
しかし、障壁が砕けたという事自体が次を作った。
いや、そもそもが攻撃を仕掛け続けていた《腐死者》が、防御に回ったという事実。
それはつまり、全力で防御をしたこの時間自体が大きな隙。
数秒間という、あまりにも大きな隙だった。
キン、と言う音と共に赤い魔法陣が無数に展開される。
だが、いつもの展開方法とは違う。
横に広げるのではなく、魔法陣の前に魔法陣を置く、それを繰り返した縦に長い魔法陣。
輪廻術式。そう理解した瞬間、第一の魔法が放たれ、間髪入れずに第二、第三の魔法陣を貫く。
放たれた火球が巨大化し、加速し、姿を変え、形を変え、より強力に、回避しにくく、外れないように形を変える。
「《ファイア・ボール》」
冗談のようにすら感じられる魔法の名前。
それは最初の射出から一秒と経たずに完成した。
それは圧縮されてなお、ヒトの頭ほどの大きさをした火球。
それが三つ、不規則な動きををしつつも高速で、狙いに真っ直ぐ飛んでいく。
射線は彼女から《腐死者》を通って花を貫く一直線の軌道。
《腐死者》がこれを避ければ、後ろの花は間違いなく燃える。
魔法は、最早下級の魔法とは思えない威力で《腐死者》へと放たれた。
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