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本編
部屋と質問
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捕まった。
誰に?
いやもういろんな人に。
学校から出たすぐの所で訓練所に向かっている途中と思われるラウクムくんと一年男子達と遭遇。
質問攻めに遭い、さらに稽古をつけてくれとせがまれた。
それを適当にいなし、寮の入口で鍵を返して貰っていると、《不動荒野》の二人組が《雷光》といがみ合いながら、偶然通りかかった。
そこでも質問攻めに遭い、半ば投げやりになりつつ答え、ついでにしてくる派閥の勧誘もことごとく蹴り、ようやく寮内に入る。
さらにさらに部屋へ向かう途中、仲良さそうに話しながらこちらへ歩いてくるリーザとクアイちゃんとも遭遇。
やはり質問攻めに遭い、ついでに「また今度お風呂に入れさせてよ!!」と約束させられて解放。
そしてようやく部屋に戻れば、つい最近(俺主観)まで一緒に生活していた爆乳と可愛らしいハーフの娘。
「…ッ!!」
「………おかあ…さんっ!!」
「よぉアーネとシエル。ただい…まぁぁぁぁっ!?」
俺に飛びつくシエルと、その後ろから明らかにヤバイ密度の火球の魔法を尋常じゃない数、雨のように撃ってくるアーネ。
雨と違うのはそのサイズと殺傷力ぐらいか。
じゃなくて。
待って!ここに来るまでにいろんな人に会って、驚いたり喜んだり、軽く涙ぐむのまでは見たけど、人を殺す勢いの魔法をぶっぱなして来るのは初めてぇぇぇぇ!?
『…血界、使うなよ?』
今この瞬間!命の危機に瀕しているんだがっ!?
飛びついたシエルを抱き抱えながら、全て紙一重で避ける俺。
あっつ!?ほっぺた焦げた!!
やっぱりあいつ《圧縮》使ってやがる!!
と、必死に避けていたところで唐突にそれが止まる。
「…あー、アーネ?どうした?」
「どうした?じゃありませんわっ!!」
「おぉう」
肩を怒らせて、喉が張り裂けそうな声を出すアーネ。
「し、心配しましたのよっ…!四発も弾丸を撃ち込まれてっ!普通なら死んでてもおかしくありませんでしたわっ…!!何度そういう事を繰り返せば気が済むんですの!?」
「………。」
怒られた。滅茶苦茶怒られた。
別に、お前の身体じゃないのに。
俺の身体なのに。
どうしてそんなにも。
そんな思考が一瞬だけ脳裏を過ぎる。
『いや、違うぞレィア』
その思考を読まれたらしく、シャルがそれを否定する。
『人ってのは、自分よりも他人の事を大切に思うことが出来る、強い存在なんだよ』
………。
それを非人間に言われてもなぁ…。
『あぁ、俺だって説得力が無いのは重々承知だ。だがな、レィア。今ここでそれを言えるのは、俺しかいないからな』
意識をシャル側からアーネ側へと戻すと、アーネが泣いていた。
遅れてやってきたその雫が、つぅ──と頬を伝い、顎先から落ちてゆく。
「あー、その、なんだ。すまなかった」
「許しませんわ!!」
…どうしようか。
ひとまずシエルをそっと下ろす
「……アーネ、悪い。俺は多分、いや確実にこれからも怪我をし続ける。今までよりも酷い傷も山ほど受けるよ。その度にお前が苦しむのかもしれない」
いつだったかに、アーネが俺に約束させた『アーネ以外の回復魔法を受けるな』と言った約束。
もはやそれは、ほとんど守られていない。
そんな事を言ってられないような怪我を、ここに来てから何度も経験したから。
「でも、それは俺が引き受けなかったら、他の誰かが受ける怪我で傷だ。俺はそんな誰かを見たくない」
「…それは、ズルい…ですわっ」
そうだろう。
他の誰かが傷つくというのが嫌だから、自分が傷つく。
それは、言い方を変えれば自分が一番苦しい位置には絶対いないという事。
けど。
俺はアーネの頬を伝う涙を、親指でそっと拭った。
「もう二度と、俺のせいで他の誰かを失いたくないから」
もしも、誰かが俺の代わりに傷つき、俺をかばって傷つくというのなら。
「もし、そんなことを繰り返すのなら」
俺が受けるはずの傷を、ナナキが代わりに受け。
俺が弱かったから、勇者の力が暴走し。
自分の力が足りなかったばっかりに、それを扱いきれず、その力が彼女を襲った。
「それぐらいなら、俺は自分で死を選ぶ」
それは、俺の決意。
しかしその言葉は、どのように彼女に響いたのかは分からなかった。
誰に?
いやもういろんな人に。
学校から出たすぐの所で訓練所に向かっている途中と思われるラウクムくんと一年男子達と遭遇。
質問攻めに遭い、さらに稽古をつけてくれとせがまれた。
それを適当にいなし、寮の入口で鍵を返して貰っていると、《不動荒野》の二人組が《雷光》といがみ合いながら、偶然通りかかった。
そこでも質問攻めに遭い、半ば投げやりになりつつ答え、ついでにしてくる派閥の勧誘もことごとく蹴り、ようやく寮内に入る。
さらにさらに部屋へ向かう途中、仲良さそうに話しながらこちらへ歩いてくるリーザとクアイちゃんとも遭遇。
やはり質問攻めに遭い、ついでに「また今度お風呂に入れさせてよ!!」と約束させられて解放。
そしてようやく部屋に戻れば、つい最近(俺主観)まで一緒に生活していた爆乳と可愛らしいハーフの娘。
「…ッ!!」
「………おかあ…さんっ!!」
「よぉアーネとシエル。ただい…まぁぁぁぁっ!?」
俺に飛びつくシエルと、その後ろから明らかにヤバイ密度の火球の魔法を尋常じゃない数、雨のように撃ってくるアーネ。
雨と違うのはそのサイズと殺傷力ぐらいか。
じゃなくて。
待って!ここに来るまでにいろんな人に会って、驚いたり喜んだり、軽く涙ぐむのまでは見たけど、人を殺す勢いの魔法をぶっぱなして来るのは初めてぇぇぇぇ!?
『…血界、使うなよ?』
今この瞬間!命の危機に瀕しているんだがっ!?
飛びついたシエルを抱き抱えながら、全て紙一重で避ける俺。
あっつ!?ほっぺた焦げた!!
やっぱりあいつ《圧縮》使ってやがる!!
と、必死に避けていたところで唐突にそれが止まる。
「…あー、アーネ?どうした?」
「どうした?じゃありませんわっ!!」
「おぉう」
肩を怒らせて、喉が張り裂けそうな声を出すアーネ。
「し、心配しましたのよっ…!四発も弾丸を撃ち込まれてっ!普通なら死んでてもおかしくありませんでしたわっ…!!何度そういう事を繰り返せば気が済むんですの!?」
「………。」
怒られた。滅茶苦茶怒られた。
別に、お前の身体じゃないのに。
俺の身体なのに。
どうしてそんなにも。
そんな思考が一瞬だけ脳裏を過ぎる。
『いや、違うぞレィア』
その思考を読まれたらしく、シャルがそれを否定する。
『人ってのは、自分よりも他人の事を大切に思うことが出来る、強い存在なんだよ』
………。
それを非人間に言われてもなぁ…。
『あぁ、俺だって説得力が無いのは重々承知だ。だがな、レィア。今ここでそれを言えるのは、俺しかいないからな』
意識をシャル側からアーネ側へと戻すと、アーネが泣いていた。
遅れてやってきたその雫が、つぅ──と頬を伝い、顎先から落ちてゆく。
「あー、その、なんだ。すまなかった」
「許しませんわ!!」
…どうしようか。
ひとまずシエルをそっと下ろす
「……アーネ、悪い。俺は多分、いや確実にこれからも怪我をし続ける。今までよりも酷い傷も山ほど受けるよ。その度にお前が苦しむのかもしれない」
いつだったかに、アーネが俺に約束させた『アーネ以外の回復魔法を受けるな』と言った約束。
もはやそれは、ほとんど守られていない。
そんな事を言ってられないような怪我を、ここに来てから何度も経験したから。
「でも、それは俺が引き受けなかったら、他の誰かが受ける怪我で傷だ。俺はそんな誰かを見たくない」
「…それは、ズルい…ですわっ」
そうだろう。
他の誰かが傷つくというのが嫌だから、自分が傷つく。
それは、言い方を変えれば自分が一番苦しい位置には絶対いないという事。
けど。
俺はアーネの頬を伝う涙を、親指でそっと拭った。
「もう二度と、俺のせいで他の誰かを失いたくないから」
もしも、誰かが俺の代わりに傷つき、俺をかばって傷つくというのなら。
「もし、そんなことを繰り返すのなら」
俺が受けるはずの傷を、ナナキが代わりに受け。
俺が弱かったから、勇者の力が暴走し。
自分の力が足りなかったばっかりに、それを扱いきれず、その力が彼女を襲った。
「それぐらいなら、俺は自分で死を選ぶ」
それは、俺の決意。
しかしその言葉は、どのように彼女に響いたのかは分からなかった。
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