大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

部屋と石

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俺のその一言で、シエルはナイフを取り出し、俺は銀剣を握る。アーネはいつでも魔法を撃てるように、体内に魔力の“溜め”を作ったらしいのは魔力を見たらわかった。
問題は聖女サマで、こっちは護られるだけなのだから、武装もクソもない。
とりあえず、未完成の鎧を全開放し、聖女サマの周りに付けておくことにしておいたが…あの化物の膂力で殴られれば、聖女サマは吹き飛び、ついでに内臓をぶちまけて死ぬなんてのは目に見えてる。
多少なりとも身体の扱いが上手い奴じゃないと、一撃でも貰えば力を流せずに死ぬだろう。
一番ヤバイのは聖女サマで、次にアーネか…。
「で、出ますか?」
「いや、出来るだけ調べたい。何があるか、そもそもここがなんの為に作られた空間なのか、それも知りたいしな。…手がかりは一切ないのが少し問題だが」
そう言って再び歩き出すと、残りの三人も一緒についてくる。
昨晩は暗くて分からなかったが、どうやら天井、壁、床、全てが真っ黒い謎の鉱石で出来ているらしい。ただ、完全に真っ黒い訳ではなく、所々に若干白い所が見えた。
「…綺麗ですね…」
「…そうかぁ?」
「はい、まるで星空のようです」
そう言う聖女サマ。
まぁ、確かに見ようによってはそう見えるのかもしれないが。
「これ、なにで出来てるか分かる奴いる?」
こんこん、と床を銀剣で軽く叩きつつ、聖女サマやアーネに聞いてみる。
「私は…わかりません」
「………」
「…アーネ?」
「これ…もしかして、魔石ですの…?」
「魔石ィ?」
『魔石ってーとアレだな。魔力を含んだ鉱石。貴重っちゃ貴重だが、まぁ少し頑張れば誰にでも買えるようなお手軽な石の』
流石に知ってるわ。
ついでに言うなら、その石を使って魔導具も作られる訳だから、非常に重要な物でもある。
ついこの前、リーザの夢の中に入る際、俺の身体に塗りたくったアレや魔法陣を書いたのも確か魔石。
それを粉末状にした物をいくつかの素材と一緒に水で溶いてインクにした物だったはず。
…しかし。
「この部屋の壁とか全部か?」
「…恐らくですけれど」
「…マジか」
流石にこの量は異常だ。意味も分からん。それに。
「魔石の色って確か白とか明るい色の奴じゃなかったっけか?黒くはないだろ」
俺の身体に塗った時などはほかの素材の関係で黒くなっていたが、元々は黒くない。
実際、少し前にエルストイが家を案内した際、大量に置いてあった魔石──もちろん、魔導具の素材である──は乳白色というか、白っぽい色だった。
「魔石の魔力を使い切ると、白から黒に変色するんですの。恐らく、これは全部それの残り滓…」
所々混じった白は、まだ辛うじて魔力の残っている魔石か…。
「けど、何のために」
「…増幅装置?」
聖女サマがぽそりと呟く。
「王都の教会の一室に、似たような部屋があります。魔石で作られた小さな部屋ですが、そこは奇跡の間と呼ばれています。そこで魔法を使うと、あらゆる魔法が普段の数倍の出力で出るんです。…教会の方は年に何回か魔力を注ぎ直しているんですが、ここはそんな事出来ないほどに広いですから、もう使えないかと…」
小さな部屋で数倍…か。
「なら…ここなら一体何倍になったんだろうな…」
恐ろしい事に、この部屋は既に使
何か、起きた後だってことだ。
糞神父め…なにをしやがった?
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