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本編
話と容態
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「ぃ、ひぃぃぃっ!!……!…がっ、えぐっ、ぁ……やめてくれ、ぼんとに、ほんどにじらねぇんだよぉぉぉぉ!!」
『…今代の、それぐらいにしとけ。コイツ、本当に知らねぇみたいだぞ』
「チッ、使えねぇ」
芋虫のように這いつくばり、なんとかして俺から距離を取ろうと動くチンピラ三号の腹──突き刺さったままのナイフの周り──を最後にもう一度強く蹴り、チンピラ三号を完全に黙らせる。
「糞、最悪だ」
場所はそのまま聖女サマの部屋で、部屋の中には俺とチンピラ三人組のみ。
聖女サマが連れ去られたのはほんの五分ほど前の事で、聖女サマがいない事に気づいた俺は、即座にチンピラ共を片っ端からかなり拷問に近い訊問をして情報を得た。
その結果、収穫は少なくはなかった。
こいつらはどうも、雇われて──というか唆されてここに来たらしい。
俺が縛って放置した後、明け方近くに男がやって来て、リベンジしたくないか、といった内容を言ってきたらしい。
チンピラ共が即座にそれに肯定の意を示すと、男は指輪型の魔導具をチンピラ共に渡したらしい。
効果はその男が使う魔法の影響を受けなくする魔導具で、人払いの魔法──文字通り、人が来なくなる、いなくなる魔法らしい──の効果を打ち消すとの説明を受けていたらしい。
だが、ここに関しては俺達は微妙に違うことに気付いた。
と言うのも、チンピラ共は口を揃えて「昨晩の少女を攫おうとした所でお前が乱入してきた」と言ったのだ。
そう、間違っても聖女を攫おうとした、とは一切言っていなかった。
彼らは、聖女サマ──フライナ・シグナリムを攫おうとしたという意識はなく、ただの少女である、アリス・ロストを攫おうとしたと言うのだ。
つまり、その指輪にかけられた魔法は、聖女サマの変装用魔導具と同じような効果を持つアイテムだろうと予想がついた。
と、同時に。
その男とやらが聖女サマをなんとかして隠しつつ、攫ったということが分かる。
殺した訳では無く、攫った。
……例の集団では…ない、のか?
分からない。
ついでに分かったことと言えば、その男が魔法を使っていて、チンピラ三号は単に突撃用員で、俺の予想は真逆だったって事ぐらいか?
あと、チンピラ三号の武器は自前の武器らしく、鉄線だったそうな。元はギルド所属の魔獣狩り専門の仕事をしていたらしいが…落ちぶれたものだな。
で、その武器が何故か男に奪われたと言うことらしい。
「──ハァ」
男が使った魔法の効力は既に消えているらしく、そのうち、自分の意思で屋敷から出て行ったシエルやモーリスさんは戻ってくるらしい。
『…ん?待てよ?アーネはどこだ?』
「──あ?」
チンピラ共は全員気絶した後。
こいつらの縄強く縛り直した後、急いでアーネの部屋へ向かって走る。
「──アーネ!」
「──ぅえ?」
ドアを叩き割らんばかりの勢いで開くと、アーネはいてくれた。
ベッドの上で何事かと言ったふうに、キョトンとしている。
「よかった…」
一応、チンピラ共の目的は俺、アーネ、聖女サマだったから、魔法の効果から外されていたからここにいたのだろう。
「な、何事ですの?」
「アーネ、怪我はないか?体調は?朝の二日酔いは?」
「なっえ?ちょ、待ってくださまし──!?」
いつだったか、森に帰った時にナナキが俺の身体をぺたぺたと触ったが、その気持ちがよく分かった。
──さて。
「アーネ、体調は大丈夫なんだな?」
「え、えぇまぁ、なんとか戻りましたわ」
顔を紅潮させつつ、アーネが答える。
「じゃあ、少し大変な事になったんだが、手伝ってくれるか?」
『…今代の、それぐらいにしとけ。コイツ、本当に知らねぇみたいだぞ』
「チッ、使えねぇ」
芋虫のように這いつくばり、なんとかして俺から距離を取ろうと動くチンピラ三号の腹──突き刺さったままのナイフの周り──を最後にもう一度強く蹴り、チンピラ三号を完全に黙らせる。
「糞、最悪だ」
場所はそのまま聖女サマの部屋で、部屋の中には俺とチンピラ三人組のみ。
聖女サマが連れ去られたのはほんの五分ほど前の事で、聖女サマがいない事に気づいた俺は、即座にチンピラ共を片っ端からかなり拷問に近い訊問をして情報を得た。
その結果、収穫は少なくはなかった。
こいつらはどうも、雇われて──というか唆されてここに来たらしい。
俺が縛って放置した後、明け方近くに男がやって来て、リベンジしたくないか、といった内容を言ってきたらしい。
チンピラ共が即座にそれに肯定の意を示すと、男は指輪型の魔導具をチンピラ共に渡したらしい。
効果はその男が使う魔法の影響を受けなくする魔導具で、人払いの魔法──文字通り、人が来なくなる、いなくなる魔法らしい──の効果を打ち消すとの説明を受けていたらしい。
だが、ここに関しては俺達は微妙に違うことに気付いた。
と言うのも、チンピラ共は口を揃えて「昨晩の少女を攫おうとした所でお前が乱入してきた」と言ったのだ。
そう、間違っても聖女を攫おうとした、とは一切言っていなかった。
彼らは、聖女サマ──フライナ・シグナリムを攫おうとしたという意識はなく、ただの少女である、アリス・ロストを攫おうとしたと言うのだ。
つまり、その指輪にかけられた魔法は、聖女サマの変装用魔導具と同じような効果を持つアイテムだろうと予想がついた。
と、同時に。
その男とやらが聖女サマをなんとかして隠しつつ、攫ったということが分かる。
殺した訳では無く、攫った。
……例の集団では…ない、のか?
分からない。
ついでに分かったことと言えば、その男が魔法を使っていて、チンピラ三号は単に突撃用員で、俺の予想は真逆だったって事ぐらいか?
あと、チンピラ三号の武器は自前の武器らしく、鉄線だったそうな。元はギルド所属の魔獣狩り専門の仕事をしていたらしいが…落ちぶれたものだな。
で、その武器が何故か男に奪われたと言うことらしい。
「──ハァ」
男が使った魔法の効力は既に消えているらしく、そのうち、自分の意思で屋敷から出て行ったシエルやモーリスさんは戻ってくるらしい。
『…ん?待てよ?アーネはどこだ?』
「──あ?」
チンピラ共は全員気絶した後。
こいつらの縄強く縛り直した後、急いでアーネの部屋へ向かって走る。
「──アーネ!」
「──ぅえ?」
ドアを叩き割らんばかりの勢いで開くと、アーネはいてくれた。
ベッドの上で何事かと言ったふうに、キョトンとしている。
「よかった…」
一応、チンピラ共の目的は俺、アーネ、聖女サマだったから、魔法の効果から外されていたからここにいたのだろう。
「な、何事ですの?」
「アーネ、怪我はないか?体調は?朝の二日酔いは?」
「なっえ?ちょ、待ってくださまし──!?」
いつだったか、森に帰った時にナナキが俺の身体をぺたぺたと触ったが、その気持ちがよく分かった。
──さて。
「アーネ、体調は大丈夫なんだな?」
「え、えぇまぁ、なんとか戻りましたわ」
顔を紅潮させつつ、アーネが答える。
「じゃあ、少し大変な事になったんだが、手伝ってくれるか?」
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