大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

部屋と襲撃2

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「『なっ!?』」
視界が塞がれた?
いや、違う。
何も肌に触れていない。
まぶたも閉じていない。
そして──信じ難いことに。

一切視界が見えず、暗闇に呑まれているにも関わらず、と目が──俺の身体がそう訴えている。
そんな闇のみの世界で困惑していた、僅かな隙を突かれた。
形容しがたい、音。
俺が聞き馴染んでいる、剣が空気を裂く音。
どこだ──?
どこから来る──?
見えない剣は──。
──ギリギリで聞こえた。
「ッグ!」
全力で身体を反らし、下からすくい上げるようにして俺の顎を斬る軌道を描いていた一撃を避けるが、予測よりも相手の獲物は長かったらしい。
皮が軽くつっぱるような感覚が腹から胸の中央辺りまで一直線に走った後、そこからゆっくりと、じんわりと血が滲む感覚が遅れてやって来る。
『大丈夫か!?』
大丈夫だ。やられたのは多分、皮一枚ぐらいだ。
「そ、こ、かぁッ!!」
俺の身体を斬った感覚からして、敵がいるであろう位置へ向け、一歩踏み込んで銀剣を横に振るうが──。
──空振り。
「!?」
馬鹿な、有り得ない。
相手も斬撃を撃った直後だ。避けられるはずが無い!
しかし、手応えは無かった。
そして、晒した隙を、相手が見逃す訳が無い。
再び空気を裂く音。
今度は、
有り得ない!!
『今代の、《血鎧》を使え!そうすればこの暗闇は晴れるはずだ!』
血鎧が作用すれば、確かにこの暗闇を吸収し、目が使えるようになるだろう。
が。
使
『な』
極限まで集中した結果、やけにゆっくりと流れる時間の中で考える。
つまり、この暗闇は相手のスキルによるもの。
敵を倒すまで、この暗闇は解けることはない──!
先ほど、血呪を使って部屋の端まで来てしまったため、後ろは壁、横に逃げようにもどちらの方向からも斬撃が来ているし、上からも来ている。
一撃を受け止めても、残る三撃が俺を切り刻む。
一瞬、黒剣を抜けたら──と思ったが、詠唱している時間もなければ、意識を失った聖女サマがいる室内では煌覇を撃つことも出来ない。
不味い。不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い────!!
その時、小さく小さく声が聞こえた。
その声は、たった一言。
「死ね」
と言っただけだったが。
俺に居場所を掴ませるには充分だった。
そして。
腹の傷から滲んだ血が、ようやく届いた。
それはその場で光を放ち、今俺に迫ってくる斬撃の数倍の速度で爆発した。
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