大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

自己紹介と雑談

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オーリアン・グライガ。
現在いる英雄のうちの一人、枠としては聖学枠で、今の聖女サマと同時に英雄になった。
戦法は広範囲かつ超火力の爆撃を起こす。ただそれだけ。その戦法が故に、自前の防御が出来る聖女以外が周りにいることは珍しい。
通り名は学生だった頃の影響もあるのか無数にあり、それらの大半に共通して《爆撃師》《爆芯地》のように「爆」という文字がつくらしい。たまにシンプルな《破壊魔》というものもあるらしいが。
もちろんスキルはその代名詞でもある爆発系のもの──という訳では全くなく、自分自身の身を守る防御系。
「ちゅーか、そうでもしとらんとあんなん耐えれんてマジで。たまに勘違いするやつおるけどな」
「全部アンタが言うのか…」
──と、言う話を全て本人からリアルタイムで聞いた。
アーネに運ばれるがまま、再びベッドにインすると、英雄もそのまま部屋に入ってきて自己紹介となった訳だ。
ちなみにそのアーネは飯を作ってくれている。いつ俺が起きても大丈夫なように、準備はしていたようだ。
「いやだってな?こんな有名になったから、ほとんど自分で自分の事を言うような事ってないのよ。正直な、自慢したいんや。自分で自分のことを自慢したいんやわ」
よっぽどだなこいつ。まぁ別にいいんだが。
「で、君は?」
「あ?俺の事なんか誰からでも聞けるだろうが。大分長いこと寝てたらしいし、それこそ勝手に話が──」
「いやいや、君の口から聞きたいんや。周りやなくて本人のや」
まぁ別にいいが。鼻から抜けるようなため息をついて軽く上半身を起こしてから自己紹介をする。
「改めて初めまして。レィア・シィルだ。紅の森出身で歳は多分十七ぐらい。魔法は一切使えない。スキルは《超器用》とでも覚えといてくれりゃいい。あと、こんなナリでも男だ…これでいいか?」
「はー、君男やったんか。可愛い子やなと思ってたけど…悪かったか?」
「悪いね。次俺に女の子みたいとか言ったら、その腹から真っ二つにぶった切ってやる」
つーか第一声がそれか。大体皆そういう反応するからもう慣れたといえば慣れたが。
「はは、俺の能力すら抜いて斬ってきた君が言うと冗談に聞こえんのがまた怖いな。所でホントに十七なん?あの戦技アーツとかウチの翁クラスの技やで?」
ウチの翁…?もしかして《神剣》のヴァルクス・レムナントか?
「多分つったろ。捨て子だ。育ての親もいたがもう死んだ。今はその妹が紅の森にいる」
「んー?あー…あぁなるほど、そういう事か。そりゃなんちゅーか、まぁそうなるわな」
「そういう事だ。これぐらいでいいか?あと翁ってのはヴァルクス・レムナントの事か?」
「そーそー。ウチのとんでもない爺さんの事や。ついでやし、あのとんでもない戦技アーツとかも色々教えて欲しいんやけどな。翁も似たような戦技アーツ持ってるけど、あの戦技アーツに関しては絶対に教えてくれんのやって」
流石は《神剣》。やはり極める事が出来るヒトはこの程度の領域は普通に踏み込んでくるのか。
「あれか?やってる事自体は滅茶苦茶簡単だぞ。普通に習得しようとしたら何十年かかるか分からんがな」
「はは…翁も似たようなこと言ってたわ。『儂はこの技に至るまで、五十年以上死地を見てきた』って」
俺の場合は連戦技アーツ・コネクトを経てこの発想に至ったが、それでも発想してから戦技アーツが発現するまで数年かかった。
明確なビジョンを持った上で《超器用》のスキルも後押ししているにもかかわらず数年だ。ただ強くなるという漠然とした目標の元、たった五十年で行き着いたというのなら、《神剣》の名はその名に恥じないと言えるだろう。
「で、ずっとずっと気になってたんだが、なんでアンタらがいるんだ?」
この部屋にいるのはここに住んでいる俺とアーネ。
それと英雄オーリアンに、学校長、本来は表に出てきてはいけないはずの研究所の所長であるラピュセとその付き添いであろう長身痩躯の白衣の女。確か名前はイーノ、だったか。
ラピュセ達は英雄と一緒に入ってきたのだが、あまりに自然に入ってきたので突っ込むのを忘れていた。
そして今、学校長が当たり前のように勝手に部屋に入って来てテーブルに座ったので口を出したのだ。
「貴方が起きたという話を聞いて、急いで来ました。どうせこの英雄もラピュセもまともに現状を説明していないでしょう」
「まぁその通りなんだが。どうかしたか」
「では説明していきます。あなたが気を失っていた、この一週間について」
それは構わんのだが、流石に広い部屋とはいえこの人数だと狭いと思わんのか?
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