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本編
鍛治師と鎚
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「ど、どうぞ…粗茶ですが…」
非常に静かになった鍛治師が対面に正座で座り、無骨なコップに入った茶を受け取る。
「おう、悪ぃな」
そう言って差し出された茶を飲みながら、ほんの数分前の出来事を思い出す。
ブチギレモードだった彼女は、俺の槌人種か?と言う質問を聞くと。
「あ?だから何だってんじゃオラ?」
非常にドスの効いた返事が返ってきた。
「いや、何でこんな所で──」
「それよりあなた、欲しい物はありましたの?」
俺が「何でこんな所で鍛治師やってんの?」って聞こうとしたタイミングでアーネが被せるようにして話に割り込んできた。
で、鍛治師の彼女はアーネの存在に初めて気づいたらしい。
アーネの顔を見た途端、何故かパクパクと口を開けたり閉じたりした後、俺を見て、アーネを見、もう一度俺を見て…と繰り出した後「申し訳ありませんでした!!」と叫んで唐突な土下座を敢行した。
「…どうしたんだ?」
「…さぁ?分かりませんの」
とにかく、そんなやり取りがあった後、急に鍛治師の彼女が大人しくなったのだ。
彼女に招かれ、三人が小屋に入ると、やはり見た目より広い小屋らしく、その中には煌々と輝く炉や、何年も使いこまれた様子が伺える金床など、ほとんど素人な俺が少し見ただけで腕がいいのだろうと何となく分かった。
そんな彼女は小屋の隅に行き、床を持ち上げると階段があった。
その階段を下ると居住スペースがあり、そこに座って茶を飲む今に至ると言う訳だ。
「なぁなぁ、アンタが…あー、その前に名前か。名前はなんて言うんだ?」
「はい…クランベルナ・グローゾフと言います」
「…んん?グローゾフ?んじゃあやっぱり違うのか」
俺が知ってる槌人種の家名はナーバーヤだから…彼女は槌人種じゃないのか?
「いえ、私は正真正銘、槌人種の一族でございます。証拠にこの鎚に一族の家紋が………あれ?」
自分の腰元を慌ててまさぐるクランベルナ。しかしその手は虚しく虚空を泳ぐのみ。
「……あ、もしかしてさっき投げたのって…」
アーネが小さく呟くと、クランベルナは顔を真っ青にして走っていく。
そういやアレ、ぶっ飛ばしちゃったけど手応え的にそこそこの重量があった。サイズはあまり大きくなかった気がする。なるほど、金属を打つ鎚だと言われてもおかしくはない…が?
「…まさかアイツ、自分の身元を保証する家紋とかが入った重要なものをぶん投げちゃったの?」
『…あの慌てっぷりを見る感じそうじゃね?』
一分後、その彼女が戻ってきた。
「これ、が、そのしょ、証拠、です」
「お、おう、わかったよ。とりあえず落ち着きな?茶でも飲めよ」
そう言って彼女を落ち着かせたあと、本題を切り出す。
「唯一無二の武具を作ってほしいんだけど、無理?」
非常に静かになった鍛治師が対面に正座で座り、無骨なコップに入った茶を受け取る。
「おう、悪ぃな」
そう言って差し出された茶を飲みながら、ほんの数分前の出来事を思い出す。
ブチギレモードだった彼女は、俺の槌人種か?と言う質問を聞くと。
「あ?だから何だってんじゃオラ?」
非常にドスの効いた返事が返ってきた。
「いや、何でこんな所で──」
「それよりあなた、欲しい物はありましたの?」
俺が「何でこんな所で鍛治師やってんの?」って聞こうとしたタイミングでアーネが被せるようにして話に割り込んできた。
で、鍛治師の彼女はアーネの存在に初めて気づいたらしい。
アーネの顔を見た途端、何故かパクパクと口を開けたり閉じたりした後、俺を見て、アーネを見、もう一度俺を見て…と繰り出した後「申し訳ありませんでした!!」と叫んで唐突な土下座を敢行した。
「…どうしたんだ?」
「…さぁ?分かりませんの」
とにかく、そんなやり取りがあった後、急に鍛治師の彼女が大人しくなったのだ。
彼女に招かれ、三人が小屋に入ると、やはり見た目より広い小屋らしく、その中には煌々と輝く炉や、何年も使いこまれた様子が伺える金床など、ほとんど素人な俺が少し見ただけで腕がいいのだろうと何となく分かった。
そんな彼女は小屋の隅に行き、床を持ち上げると階段があった。
その階段を下ると居住スペースがあり、そこに座って茶を飲む今に至ると言う訳だ。
「なぁなぁ、アンタが…あー、その前に名前か。名前はなんて言うんだ?」
「はい…クランベルナ・グローゾフと言います」
「…んん?グローゾフ?んじゃあやっぱり違うのか」
俺が知ってる槌人種の家名はナーバーヤだから…彼女は槌人種じゃないのか?
「いえ、私は正真正銘、槌人種の一族でございます。証拠にこの鎚に一族の家紋が………あれ?」
自分の腰元を慌ててまさぐるクランベルナ。しかしその手は虚しく虚空を泳ぐのみ。
「……あ、もしかしてさっき投げたのって…」
アーネが小さく呟くと、クランベルナは顔を真っ青にして走っていく。
そういやアレ、ぶっ飛ばしちゃったけど手応え的にそこそこの重量があった。サイズはあまり大きくなかった気がする。なるほど、金属を打つ鎚だと言われてもおかしくはない…が?
「…まさかアイツ、自分の身元を保証する家紋とかが入った重要なものをぶん投げちゃったの?」
『…あの慌てっぷりを見る感じそうじゃね?』
一分後、その彼女が戻ってきた。
「これ、が、そのしょ、証拠、です」
「お、おう、わかったよ。とりあえず落ち着きな?茶でも飲めよ」
そう言って彼女を落ち着かせたあと、本題を切り出す。
「唯一無二の武具を作ってほしいんだけど、無理?」
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