大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

待ち合わせと服装

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という訳で、アーネん家の前で立ち尽くす人影が一つ。
まぁ、誰かってーと俺なんだが。
シャルの命令で着替え直した俺は、いつもより上等な服を着させられていた。
まぁ、見た目は大差ないんだが。
色は当然黒で、上下共に長袖。手のグローブもそのまま。かなり上等な素材を使われている…らしいが、多少デザインが違うだけで、ほとんど変わっていない。
あとは…あぁ、髪留めを使ったか。
いつもはスキルで適当に何回か巻くようにして畳んでいたが、今回は太腿の辺りまで伸ばした髪を一度折り返し、首の辺りでさらにもう一度折り返し、それを肩甲骨の辺りまで伸ばす。首のうなじの辺りでその髪を全て銀製らしいリング状の髪留めで留めている。
ちなみにこの髪留め、魔導具らしく、最初はヘアピン風だったが、シャルに言われて形を想像したらこんな形になった。…こんな便利なの、知らなかったな…。
…にしても暑いな。特に服が熱を持ってる。こんなの、いつものと大して変わらないんだから少しでも涼しい楽なシャツでいいと思うんだが。
『ダメ。断じてダメ』
これなんだよなぁ…。
さて、いい加減来ないなら一旦中に入ってアーネの様子を見に行こうか?
『もう少しだろ。待ってやれよ』
…あのな、お前がそう言って結構な時間が経つんだが?約束通りに来てみれば三十分待たされるとか…。
と言っていたら、ようやく扉が開く。
「よぉ、遅かったな」
「……お、お待たせしましたわ」
何やらアーネも服を変えたらしい。
全体的にはいつも通りの赤い服装。
いつもは伸ばしている長い髪を首の辺りで縛ってあるらしく、髪の色と同じリボンが後ろに見える。
あ?アーネの服装がどんなのかって?半袖にスカート。
『…おい』
だって仕方ねぇじゃん。そうとしか言いようがねーもん。あぁ、右手に小さめの手提げバッグはあるか。俺にゃ服に関しての語彙は全くないから、そうとしか言えねぇんだよ。
なんていうか、全体的にヒラヒラしてんなぁ、ぐらい。
『もっとこう…あるだろ!色々と表現の仕方が!』
やかましいわ。
「ど、どうですの?」
「あ?何が?」
アーネがこちらに来てそう聞く。
『服装とかの評価だろ。お前の好みかどうかって話』
それ言っちゃあアーネそのものがあんまり俺の好みじゃあないんだが…。
『…それを本人に言ったらお前、アーネにボッコボコにされかねんぞ。んでもって俺も二度とお前に口きかねー』
分かってるよ。だから言わねぇけどな。
そうだな…まぁ、一般論から言うなら──
「可愛いんじゃねぇ?似合ってるよ」
「か、かわっ!」
…?シャル、なんかショートしたぞ。
『…ナイスクリティカル』
訳分からん。
アーネが再起動したのは、それから五分後。
さて、ようやくですか。
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