大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

内容と馬

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勇者の話だのなんだのはアーネに打ち明けたが、流石に二つ名の仕事は守秘義務的ななんかそんな感じのヤツがよくあるので、こればっかりはアーネには明かせない。
内容を軽くまとめると、夏季休暇中にある生徒が通常ではありえない成果を挙げたので、二つ名に認定せざるを得ない状況になったのだとか。
学校側としてもこの認定は想定外らしく、時期的に今入れるかどうか結構悩んだらしい。
と言うのも、学校側のイベントとして近いうちに聖学祭がある。そして、その後に二つ名認定があると言うのが通常の流れらしい。
しかし、今回の生徒は少し目立ち過ぎる成果を挙げたらしく、すぐにでも認定するべきという意見が先生達から出たらしい。
結果として言うなら、俺のところに矢文が来たように二つ名戦争を行うらしく、そのせいで早くに招集をかけているらしい。
一応俺達の馬車は学校が始まる一日前に着く予定だったが、学校に最初から泊まっていたり、早めに学校へ来ていた二つ名持ちは何人かいるようで、そちらの生徒も概ね同意しているらしい。
俺も別に二つ名戦争そのものは問題じゃない。いつやってもいいと思う。
だがその後は果たしてどうなるか…面倒事に巻き込まれなければいいが。
情報漏洩を気にしたのか、そこに個人の名前は書いてない。また、何をしたのかも書いてないので個人の特定は現状出来ない。
だが恐らく学校に行き、二つ名持ちの誰かに聞けば分かるはず。
学校側は実力があると判断したらしいが、二つ名持ちもまた承認しなくてはいけないので、少しでも多く情報を集めたい。
まずは何をして学校側にそう判断されたか、だな。前回はユーリアと《剣姫》が真っ向から戦うレアケースが発生したから楽だったが…学校側が出した期限は僅か三日。聖学祭の準備と二つ名戦争の期間を考えるとギリギリか。こちらが本分に近しいとは言え、聖学祭も捨てられんのが面倒さに拍車をかける。
文面を二、三度読み、しばらく雲ひとつ内容を空を見上げ、眉間をおさえつつ、はぁ────────あ、と長い長いため息をつく。
「な、何かありましたの?」
「あった。どうせこう言うのは面倒事だ。クソッタレ。なぁ御者さんよ」
「は、はい!なんでしょうか!?」
「悪いが飛ばしてくれ。限界めいっぱいだ。どのぐらいで着く?」
そう言うと、御者の男はしばらく考え、質問で返してきた。
「それは…火急の用事ですか?」
「そこまで急ぎじゃない。だが、今以上に早く着きたい」
「…分かりました。馬への負担を考慮しつつ、出来るだけ急がせていただきます」
「悪いな。それで充分だ」
御者の男はそれに答えず、代わりに馬の首をそっと撫でた。
「速度を上げます。落っこちないように気をつけてください。あと、魔獣の対処任せます」
「あぁ、任された」
そう言いながらマキナを広範囲に展開し、迎撃の体勢を整える。
この後、馬車はおよそ二倍の速度で荒野をノンストップで駆け抜け、昼過ぎには学校へ到着した。
「無茶言って悪かったな。助かった」
シエルを先に行かせ、目を回したアーネを担ぎながらそう言う。
「いえ、礼を言うならウチの馬に言ってあげてください。あと、しばらく馬を休ませたいのですが、厩舎などありますかね?出来れば水とかも…」
「そうだな、んじゃ…」
マキナを放り投げると、空中で球体に変形。そのまま浮きつつ、男の前に行く。
「そいつが厩舎まで案内してくれる。水とか…干し草とかか?必要なモンは。全部こっちで適当に許可貰っとくから、自由にしてていいぞ」
「ありがとうございます」
さて、こいつ部屋に寝かせて手続きして…その後だな、二つ名持ちを探すのは。
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