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本編
魔法陣と魔力
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という訳で決行の日、日曜日。
こちらの準備、人員は…まぁ最低限より少しマシ程度だが揃った。
リーザにそれとなく聞いてみた所、今日も訓練をする予定だったらしい。
ついでに「もしかしたらその体質、治せるかも~」的なことを言ってみたが、やはり何か諦めたような感じで、やんわり拒否された。
まぁ、させねぇけど。
今どこにいるか知らんが、とりあえず強制的に捕獲である。
てな訳で。
「…シエル、ゴー!」
「………ん!」
とてとてとてとて──!と走っていくシエルを見送り、俺達は用意の詰めをしていく。
俺達がかき集められた人員は、ラウクムくん、クアイちゃん、ユーリア、アーネの四人。これ以上は信用やら予定やらの関係でリーザの事を明かせなかった。
俺達の部屋に真っ黒な謎の液体で細かい紋様──魔法陣を描いていく。
なんでも、この真っ黒な液体の中は、魔力を溜め込んだ魔石?とかいう石を粉末状にして溶かしたもので、かなり強力な魔法の媒体になるらしい。
精密に書くのなら任せろ!とか思って参加しようかと思ったのだが、何やら魔力をさらに注ぎながら魔法陣を書かねばならないらしく、俺には無理だった。
次の作業は俺の身体に魔法陣と同質の紋様を書いていく作業。
これで、本来術者を夢の中に送る魔法の対象をずらし、俺に当てるらしい。
ちなみに書くのはアーネ。
ほら、背中の《勇者紋》を知ってるのはアーネだけだし、ほぼ全身に書かないといけないので、書けるのは彼女しかいないのだ。
「…そうだ、アーネ」
「はい?どうしましたの?」
俺の腕に紋様を描いていくアーネがこちらを少しも見ずに聞き返す。
「コレやるよ」
髪の中から取り出したのは、少し小さめの瓶。中にはコップ三杯分ぐらいの真っ赤な液体が入っている。
「……なんですの?コレ?」
「魔力がヤバくなったら飲め」
「魔力が無くなったら?…まさか魔力が回復するとかいいませんわよね?」
「正解。中身は俺の血とトマトジュースのブレンドだ」
月曜の夜あたりからずっと血を抜いて作ったものだ。もちろん、消毒やら何やらは完璧に済んでおり、病気になる心配などは一切ない…はず。
トマトジュースと混ぜたのは単に味の問題。不味いモンを好き好んで飲む奴はいないだろ。
「こんなもの、受け取れませんわ」
「いや、俺が出来るのはこれぐらいだしな…」
この体質──身体に魔力を溜め込むって体質は魔法返しのせいらしいが、こういう使い方も出来るってのは前にアーネに魔力を注いだから分かってる。
あぁ、今更だが、魔法返しは多分反応しないだろうとシャルが言ってた。
シャル曰く『《魔法返し》ってのは、炎をぶつけられたりとかってのにはよく反応するが、たとえば毒の沼を作る魔法とかには上手く反応しねぇんだよ。その辺りの反応は微妙なんだがな…。なんとなくイメージとしては、炎は消せても炎の燃え広がった森に突っ込んだら死ぬイメージ?』との事。
何が言いたいかってーと、つまりはこの魔法、上手くいく可能性はそれなりにあるという事。最悪、アーネがいるから圧縮してもらうことも可能……あれ、複雑な魔法だけど…出来るのか?
まぁ、なるようになるだろ。
と、魔法陣が書き終わり、俺の身体の至るところに同じような紋様が描かれた所で丁度タイミングよくシエルがリーザを連れてきた。
…魔獣の血がそれなりに染み込んだ縄で縛られて。
シエルのスキルの応用で、その縄は自由に動くため、捕縛に最適。捕まえる時はコレ使えーって言ったのは俺だったけど、見事活用して来たな。
ただ、目隠しをされ、猿轡を噛まされて手首足首を縛られたその絵は…うん、色々とアウトです。
「よしシエル、リーザをベッドに縛り付けとけ」
「…………ん!」
準備万端、揃えるものも揃えた。
「頼んだぜ」
「任せなさいですわ」
俺が隣に寝、詠唱が始まると同時に、ゆっくりと魔法陣が輝き出した。
こちらの準備、人員は…まぁ最低限より少しマシ程度だが揃った。
リーザにそれとなく聞いてみた所、今日も訓練をする予定だったらしい。
ついでに「もしかしたらその体質、治せるかも~」的なことを言ってみたが、やはり何か諦めたような感じで、やんわり拒否された。
まぁ、させねぇけど。
今どこにいるか知らんが、とりあえず強制的に捕獲である。
てな訳で。
「…シエル、ゴー!」
「………ん!」
とてとてとてとて──!と走っていくシエルを見送り、俺達は用意の詰めをしていく。
俺達がかき集められた人員は、ラウクムくん、クアイちゃん、ユーリア、アーネの四人。これ以上は信用やら予定やらの関係でリーザの事を明かせなかった。
俺達の部屋に真っ黒な謎の液体で細かい紋様──魔法陣を描いていく。
なんでも、この真っ黒な液体の中は、魔力を溜め込んだ魔石?とかいう石を粉末状にして溶かしたもので、かなり強力な魔法の媒体になるらしい。
精密に書くのなら任せろ!とか思って参加しようかと思ったのだが、何やら魔力をさらに注ぎながら魔法陣を書かねばならないらしく、俺には無理だった。
次の作業は俺の身体に魔法陣と同質の紋様を書いていく作業。
これで、本来術者を夢の中に送る魔法の対象をずらし、俺に当てるらしい。
ちなみに書くのはアーネ。
ほら、背中の《勇者紋》を知ってるのはアーネだけだし、ほぼ全身に書かないといけないので、書けるのは彼女しかいないのだ。
「…そうだ、アーネ」
「はい?どうしましたの?」
俺の腕に紋様を描いていくアーネがこちらを少しも見ずに聞き返す。
「コレやるよ」
髪の中から取り出したのは、少し小さめの瓶。中にはコップ三杯分ぐらいの真っ赤な液体が入っている。
「……なんですの?コレ?」
「魔力がヤバくなったら飲め」
「魔力が無くなったら?…まさか魔力が回復するとかいいませんわよね?」
「正解。中身は俺の血とトマトジュースのブレンドだ」
月曜の夜あたりからずっと血を抜いて作ったものだ。もちろん、消毒やら何やらは完璧に済んでおり、病気になる心配などは一切ない…はず。
トマトジュースと混ぜたのは単に味の問題。不味いモンを好き好んで飲む奴はいないだろ。
「こんなもの、受け取れませんわ」
「いや、俺が出来るのはこれぐらいだしな…」
この体質──身体に魔力を溜め込むって体質は魔法返しのせいらしいが、こういう使い方も出来るってのは前にアーネに魔力を注いだから分かってる。
あぁ、今更だが、魔法返しは多分反応しないだろうとシャルが言ってた。
シャル曰く『《魔法返し》ってのは、炎をぶつけられたりとかってのにはよく反応するが、たとえば毒の沼を作る魔法とかには上手く反応しねぇんだよ。その辺りの反応は微妙なんだがな…。なんとなくイメージとしては、炎は消せても炎の燃え広がった森に突っ込んだら死ぬイメージ?』との事。
何が言いたいかってーと、つまりはこの魔法、上手くいく可能性はそれなりにあるという事。最悪、アーネがいるから圧縮してもらうことも可能……あれ、複雑な魔法だけど…出来るのか?
まぁ、なるようになるだろ。
と、魔法陣が書き終わり、俺の身体の至るところに同じような紋様が描かれた所で丁度タイミングよくシエルがリーザを連れてきた。
…魔獣の血がそれなりに染み込んだ縄で縛られて。
シエルのスキルの応用で、その縄は自由に動くため、捕縛に最適。捕まえる時はコレ使えーって言ったのは俺だったけど、見事活用して来たな。
ただ、目隠しをされ、猿轡を噛まされて手首足首を縛られたその絵は…うん、色々とアウトです。
「よしシエル、リーザをベッドに縛り付けとけ」
「…………ん!」
準備万端、揃えるものも揃えた。
「頼んだぜ」
「任せなさいですわ」
俺が隣に寝、詠唱が始まると同時に、ゆっくりと魔法陣が輝き出した。
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