1,550 / 2,029
本編
雑談と散策
しおりを挟む
「非常にくだらなくてどうでもいいし、お前に話してもどうしようもないってことは分かるんだが、暇つぶしに聞いてくれ」
『俺も暇だし聞いてやる。なんだ?』
ベルの小屋から追い出され、そう言えばあそこはどうなったのだろうと、ふらふらと街の外れにまで出向くことにした。
特に急ぐ理由もないので、知らない道を適当に歩いたりしながら、シャルに向かって話しかける。
「デートってなんだ?」
『うん?そりゃお前…仲のいい男女がさらに親睦を深めるために色んなところに行く事じゃないか?』
「あーいや、そうじゃなくて。定義がよく分からん」
『定義って…』
「いやほら、俺がヒトとこんなに関わりを持つようになったのってまだ一年ちょっとだし…」
『あぁ、そういう?まぁ環境的に分からんのも理解できるが…』
ん、ここら辺だったっけ。もうちょい行ったところだっけ。
如何せん、一年前の朧気な記憶を頼りに歩いているものだから、大雑把にしか分からない。
とはいえそれなりに目立つ建物のはずなのだが…はて。
「俺とユーリアがこの前、王都で演劇見たりしたけど、あれはデートに含まれるのか?」
『含まれ…るんじゃないか?』
「ならベルはそういう意味で言ったのか?」
『いや、あれは間違いなくもっと深い意味のデートだろ。ガチの方だ』
「ガチの方って何だよ」
『要は恋する乙女って奴だな』
「…ベルが?」
『アイツだって女だろうよ』
生物学上は女だろうが、ほとんど男みたいなもんだと思うが…口には出さんが。
「じゃあ逆説的に、俺とユーリアのアレは別にデートじゃないんじゃないか?」
そう言うと、シャルは『うーん』と唸る。
『ぶっちゃけ、そういうのって当人達が言っちまったもん勝ちみたいな所あるしな。他人との関係はどっちかってーと逆だが。口に出して「お前今日から俺の友達な」って言ったりしないだろ?』
「そりゃそうだが」
『あぁでも、よく考えりゃ恋人とかはまた別か。ありゃ合意の上に成り立つもんだし。ま、要は言ったもん勝ちだ。で、それがどうかしたのか』
「いや、深い意味は無いんだが。強いて言うなら、他のヒトが好きって言う状況…状態か?が、よく分からんくってな」
『《勇者》の弊害…と言えば弊害だな。元々生殖する相手がいない関係上、恋愛とかそっち方面に関心が薄い。色々教えてくれる《亡霊》も当然ほぼ無いだろうな』
「ほぼってのは?」
『根っこが真似られて作ってあるんだ。そりゃ当然、間違いはゼロじゃない。というか、それなりにいたらしいな』
「ちなみにお前の場合は?」
『ほぼ無い理由は誰も喋りたがらねぇからだよ。俺も当然そっち側だ。あっても言わねぇ』
「そーかい…ん?」
はて、ここは確か…さっき来たな。
多分ここら辺だったはずなんだが見当たらん。
「うーん?」
首を傾げていると、マキナが俺を呼んだ。
「あ?なんかあったか?」
『アーネ様がお呼びです』
「…なんか俺したっけ?」
『知らね』
とりあえずメッセージに出ると、開幕怒鳴られた。まぁいつもの事か。
「あーうん、悪い。今?ちょっと街の外れの方に…で、なんかあったのか?……あぁ。なるほど。別に構わんが。いつ行く?…わかった」
そう言って切ると、どうしたとシャルが聞いてくる。
「デートのお誘いだ」
肩を竦めてそう言うと、シャルが茶化すように口笛を吹いた。
『俺も暇だし聞いてやる。なんだ?』
ベルの小屋から追い出され、そう言えばあそこはどうなったのだろうと、ふらふらと街の外れにまで出向くことにした。
特に急ぐ理由もないので、知らない道を適当に歩いたりしながら、シャルに向かって話しかける。
「デートってなんだ?」
『うん?そりゃお前…仲のいい男女がさらに親睦を深めるために色んなところに行く事じゃないか?』
「あーいや、そうじゃなくて。定義がよく分からん」
『定義って…』
「いやほら、俺がヒトとこんなに関わりを持つようになったのってまだ一年ちょっとだし…」
『あぁ、そういう?まぁ環境的に分からんのも理解できるが…』
ん、ここら辺だったっけ。もうちょい行ったところだっけ。
如何せん、一年前の朧気な記憶を頼りに歩いているものだから、大雑把にしか分からない。
とはいえそれなりに目立つ建物のはずなのだが…はて。
「俺とユーリアがこの前、王都で演劇見たりしたけど、あれはデートに含まれるのか?」
『含まれ…るんじゃないか?』
「ならベルはそういう意味で言ったのか?」
『いや、あれは間違いなくもっと深い意味のデートだろ。ガチの方だ』
「ガチの方って何だよ」
『要は恋する乙女って奴だな』
「…ベルが?」
『アイツだって女だろうよ』
生物学上は女だろうが、ほとんど男みたいなもんだと思うが…口には出さんが。
「じゃあ逆説的に、俺とユーリアのアレは別にデートじゃないんじゃないか?」
そう言うと、シャルは『うーん』と唸る。
『ぶっちゃけ、そういうのって当人達が言っちまったもん勝ちみたいな所あるしな。他人との関係はどっちかってーと逆だが。口に出して「お前今日から俺の友達な」って言ったりしないだろ?』
「そりゃそうだが」
『あぁでも、よく考えりゃ恋人とかはまた別か。ありゃ合意の上に成り立つもんだし。ま、要は言ったもん勝ちだ。で、それがどうかしたのか』
「いや、深い意味は無いんだが。強いて言うなら、他のヒトが好きって言う状況…状態か?が、よく分からんくってな」
『《勇者》の弊害…と言えば弊害だな。元々生殖する相手がいない関係上、恋愛とかそっち方面に関心が薄い。色々教えてくれる《亡霊》も当然ほぼ無いだろうな』
「ほぼってのは?」
『根っこが真似られて作ってあるんだ。そりゃ当然、間違いはゼロじゃない。というか、それなりにいたらしいな』
「ちなみにお前の場合は?」
『ほぼ無い理由は誰も喋りたがらねぇからだよ。俺も当然そっち側だ。あっても言わねぇ』
「そーかい…ん?」
はて、ここは確か…さっき来たな。
多分ここら辺だったはずなんだが見当たらん。
「うーん?」
首を傾げていると、マキナが俺を呼んだ。
「あ?なんかあったか?」
『アーネ様がお呼びです』
「…なんか俺したっけ?」
『知らね』
とりあえずメッセージに出ると、開幕怒鳴られた。まぁいつもの事か。
「あーうん、悪い。今?ちょっと街の外れの方に…で、なんかあったのか?……あぁ。なるほど。別に構わんが。いつ行く?…わかった」
そう言って切ると、どうしたとシャルが聞いてくる。
「デートのお誘いだ」
肩を竦めてそう言うと、シャルが茶化すように口笛を吹いた。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。
元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌
紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。
それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。
今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。
コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。
日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……?
◆◆◆
「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」
「紙でしょ? ペーパーって言うし」
「そうだね。正解!」
◆◆◆
神としての力は健在。
ちょっと天然でお人好し。
自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中!
◆気まぐれ投稿になります。
お暇潰しにどうぞ♪
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる