大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

戦技と過労

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眠かろうとなんだろうと学校はあるもんで、休もうと思っても…いや、休めないことは無いか?まぁ、今休んだら確実にクードラル先生の突撃☆魔獣部隊!が来る事間違いなしなので行かざるを得ない。
という訳で一日を何とかこなし、訓練の後は昨日出来なかった試験対策の特訓をみんな(リーザ除く)でやった後に、誰か戦技アーツが発現してないかなー?とか思ってたら。
『…まさか本当に発現してるとはな…』
いやホントに。
誰がかと言うとクアイちゃんが。
確かに一番頑張っていたのは彼女だし、早く戦技アーツ習得してくれるといいなー、とか思ってたら、真っ先に習得するとは…。
習得した戦技アーツは、ナイフ四本に絞った戦技アーツで、上下左右から三連撃、計十二連撃の連撃戦技アーツ。しかもそれぞれが完全に別の軌道を描くため、防ぐことも困難。戦いにおいては、その手数とナイフの鋭さによって絶大な威力を発揮するだろう。
…あれ?どこぞの耳長種エルフの大貴族サマは戦技アーツ習得に数年単位の練習が必要って言ってたけど…なんだ、そこまで必要じゃなかったじゃねぇか。
「クアイおめでとう。まさか、こんなに早く戦技アーツを使えるようになるなんて思ってもなかったよ」
「あ、ありがとうごじゃいましゅ…」
『…?今代の、クアイの様子が…』
あん?
クアイちゃんをじっと見ると。
なんだか少しやつれてるような気がする。あと、目の下にクマが。
ついでに言うとなんか身体の芯がブレてる。…つまりフラフラしてるって話だが。
ふーん?…なんか限界っぽいな。言われて気づいたけど。
「……クアイ、この練習、どのぐらいやってた?」
「ふぇ?えっと…」
右手の指を一本一本、ゆっくり折っていき、左手に移り、まだ折ってゆく。
ついに両手が塞がり、若干視点が定まらない目で俺を見返す。
「……何時間か、忘れました…」
「…待て、?」
俺が聞いたのは、ブロックを幾つ使い潰したのか、という意味だったのだが…。
「クアイ、お前は今すぐ休め。流石に今日は無理だ」
「いえ、まだ行けますよ…?さぁ、次は──」
「すまん」
びっ、と。
正確に繰り出された手刀が一分の狂いもなく首筋を打ち、クアイちゃんの意識を速やかに刈り取る。
「悪いが、クアイを送ってくるからいつも通りやっててくれ。多分すぐ戻るから」
そう言って非常に軽いクアイちゃんを担いで訓練場から出ていく。
…さて、少し不味い事になったかも知れん。
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