大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

目覚めと置き手紙

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気がつくと俺はユーリアの家に借りている部屋のベッドに寝かされていた。
生き残ったか。ならまずは現状把握。
窓からの光は薄く、恐らくは夜。時計を確認すると、針が二時となっている。
さらにその下の日付を確認すると、あの日から三日過ぎている。結構寝ていたようだ。
マキナなテーブルの上に置いてあるが、魔力は無いだろう。
次は身体か。とりあえずは血が足りないと言った事は無さそうだが…と上をはだけてみると、ガチガチに包帯が巻かれている。まぁそうなるか。
「ん?」
ふと気づいた。巻き方に見覚えがある。とはいえ、特段変わった巻き方でもないし、気にすることでもないか。
左手は…動くには動くが、これは動かさない方が良い奴だな。どうも治りかけらしい。下手に動かすと、また鎖骨が逝ってしまいそうだ。
髪で軽く補強して立ち上がる。ふらつく感覚は無いし、足の方に問題もない。少し声を出したり、息を大きく吸ったりしても違和感はない。肺の血も取り除かれているか。
問題は左腕…というか鎖骨だな。これのせいで激しい運動は暫く厳禁となる。
どうするかな…と一人思案に耽りそうになるが、ふとここでテーブルのマキナの下、何か紙が一枚置いてあるのに気づく。
拾い上げて見てみると、起きて体調が良くなったら、何時でもいいから執務室に来いとの事。また、教会にも報告の必要があるので、昼間のうちに報告しに来て欲しいとの事。
「面倒な…」
とはいえ、あれだけの騒ぎを起こしたのだ。報告せにゃならんだろう。
マキナを手に取り血を塗ると、しばらくして起動する。特に意味は無いが、とりあえず待機状態にしておくのは重要だ。
左手が使えない事と空腹である事以外はまるで問題がないので、コップ一杯の水を飲んでから、とりあえず言われた通りに執務室へ向かう。
と言っても夜中の二時なんだが。流石にルプセルも寝ているだろうと思って、しかしそれでも一応来た言い訳程度は出来るかと、小さく小さくノックする。
「誰かね?」
マジか。起きてた。
「レィア・シィルです」
「入りなさい」
許可が出たので扉を静かに開き、中へ入る。
執務室の中は相変わらず光源が無く、しかし不思議なことに暗くはない。はっきりとルプセルの顔が見えるし、その眉間に刻まれた深い皺も良く見えた。
ルプセルは俺を一度見、深く息を吐いた。
「まずはこちらから一つ詫びよう。王都という私達が守る地で、君という客人が生死の狭間を彷徨うという事はあってはならない事だ。それについては申し訳ないと思っている」
最初にルプセルはそう言った。
「しかし、それ故に君が起こした騒動について、私は取り締まらねばならない。まずは君の報告を聞いてから処罰を決める。君には出来るだけ真実を話して欲しい」
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