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本編
耳長種と双剣3
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耳長種の剣とは何か。
阿呆らしい答えだが、耳長種が使う剣術だ。
もう少し厳密に…というか正確に言おう。
耳長種らしい剣術、と言う言い方の方が正しいだろう。
対極という程ではないにしろ、かなりかけ離れた剣としては龍人種──いや、ルト先輩の剣術がある。
あれはほとんど肉体スペックで大剣をぶん回しているだけの、剣術とも呼べないような豪快な力技だ。もちろんある程度の技術や駆け引きは一流なのだが、それはあくまで個人の話。
あれをもって剣術、という体系を築くにはあまりにも稚拙だが、龍人種剣術と言えばそうなるだろう。まぁ、稚拙だからと言ってあの先輩が弱いかと言われると首を横に振るのだが。
さて、では耳長種らしい剣術とはなんぞや。
答えは至極単純。剣と魔法の複合剣術だ。
もちろんヒトでもそういった剣術を使う者は多々いる。剣に限らないのであればもっと増える。
だが、耳長種であるからこそ出来る芸当がある。
魔法の幅広さ故の選択肢の多さ。魔力の精密なコントロール。無詠唱や韻を踏むのは当たり前だし、仮に俺が魔法を使っていたなら、その魔法を発動前に潰されていたかもしれない。種族単位で魔法というものに馴染みが深いのが耳長種という種族だ。
ユーリアは聖学にいた時、よく剣で相手と対峙しながら、裏で魔法を発動させて不意をついたり、光による目潰しを行って場を優位に進めていた。
だが、今思えばそれは多分、耳長種の剣術、その序の口だったのだろう。
「すげぇ!なんだこれ」
爆風を笑いながら回避し、マルセラに近づいて蹴り。しかし流石に読まれたか、逆に足払いを貰って転倒しそうになる。
だが髪を足替わりに利用して転倒を回避し、それどころか払われた足でさらに蹴りを繰り出す。
マルセラはそれを見てバックステップで回避。この僅かな時間で魔法を構築し終えたらしく、下がり際に俺に向かって炎弾を放つ。
本来、ヒトが扱える魔法の属性は一人につき一つ二つ。多くとも三つ程度らしい。
だが、種族としての性質で、耳長種はほぼ全ての属性の魔法が使えるらしい。
だから、こんな芸当もやってみせる。
炎弾を横に回避した瞬間、炎弾に何かがぶつかる。
視認出来なかったそれは恐らく風の弾。それが炎弾にぶつかった瞬間、かくんと角度を急に変えて俺へめがけて落ちてくる。それも先程より威力が目に見えて上がっている。
一部マキナを剥がして盾を形成、爆風から身を守るが、その隙にマルセラは俺に向かって突撃してくる。
魔法の隙を埋めるのは剣で、剣の間合いを詰めるのには魔法か。
しかもそれぞれが必殺なのだからタチが悪い。
これが耳長種の剣か。
いい、実にいい。
俺は兜の下で誰にも悟られず、静かに笑んだ。
阿呆らしい答えだが、耳長種が使う剣術だ。
もう少し厳密に…というか正確に言おう。
耳長種らしい剣術、と言う言い方の方が正しいだろう。
対極という程ではないにしろ、かなりかけ離れた剣としては龍人種──いや、ルト先輩の剣術がある。
あれはほとんど肉体スペックで大剣をぶん回しているだけの、剣術とも呼べないような豪快な力技だ。もちろんある程度の技術や駆け引きは一流なのだが、それはあくまで個人の話。
あれをもって剣術、という体系を築くにはあまりにも稚拙だが、龍人種剣術と言えばそうなるだろう。まぁ、稚拙だからと言ってあの先輩が弱いかと言われると首を横に振るのだが。
さて、では耳長種らしい剣術とはなんぞや。
答えは至極単純。剣と魔法の複合剣術だ。
もちろんヒトでもそういった剣術を使う者は多々いる。剣に限らないのであればもっと増える。
だが、耳長種であるからこそ出来る芸当がある。
魔法の幅広さ故の選択肢の多さ。魔力の精密なコントロール。無詠唱や韻を踏むのは当たり前だし、仮に俺が魔法を使っていたなら、その魔法を発動前に潰されていたかもしれない。種族単位で魔法というものに馴染みが深いのが耳長種という種族だ。
ユーリアは聖学にいた時、よく剣で相手と対峙しながら、裏で魔法を発動させて不意をついたり、光による目潰しを行って場を優位に進めていた。
だが、今思えばそれは多分、耳長種の剣術、その序の口だったのだろう。
「すげぇ!なんだこれ」
爆風を笑いながら回避し、マルセラに近づいて蹴り。しかし流石に読まれたか、逆に足払いを貰って転倒しそうになる。
だが髪を足替わりに利用して転倒を回避し、それどころか払われた足でさらに蹴りを繰り出す。
マルセラはそれを見てバックステップで回避。この僅かな時間で魔法を構築し終えたらしく、下がり際に俺に向かって炎弾を放つ。
本来、ヒトが扱える魔法の属性は一人につき一つ二つ。多くとも三つ程度らしい。
だが、種族としての性質で、耳長種はほぼ全ての属性の魔法が使えるらしい。
だから、こんな芸当もやってみせる。
炎弾を横に回避した瞬間、炎弾に何かがぶつかる。
視認出来なかったそれは恐らく風の弾。それが炎弾にぶつかった瞬間、かくんと角度を急に変えて俺へめがけて落ちてくる。それも先程より威力が目に見えて上がっている。
一部マキナを剥がして盾を形成、爆風から身を守るが、その隙にマルセラは俺に向かって突撃してくる。
魔法の隙を埋めるのは剣で、剣の間合いを詰めるのには魔法か。
しかもそれぞれが必殺なのだからタチが悪い。
これが耳長種の剣か。
いい、実にいい。
俺は兜の下で誰にも悟られず、静かに笑んだ。
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