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本編
双剣と駆け引き
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同時に地を蹴り、同時に間合いに入る。先に剣を振ったのはユーリア。
右袈裟の一撃を逆手に持った剣で受け流し、返しに俺も横凪の一撃。
ユーリアももう片方の剣でそれを難なく受け止め、流された剣を引き戻して突きを放つ。狙いは心臓。
即座に逆手に持った左の剣を順手に持ち直し、下からかち上げるようにその突きを対処。さらに鍔迫り合いになっている右の剣をこちら側へあえて傾かせる事で剣を滑らせ、より深くユーリアへと接近。
そのまま剣の柄頭でユーリアの腹を叩く。
大した勢いではないが、金属でそれなりに深く殴られたのだ。どふ、と言う音と共にユーリアの腹に一撃入る。
それに対し、やや苦悶の表情を浮かべつつもユーリアの動きは鈍らない。
かなり内側へと入ってきた俺を見るや、即座に剣を一旦放棄。空中へと投げ捨て、俺を掴みにかかる。
「おっとぉ!?」
これは流石に俺も予想していなかった。一瞬動きが遅れ、ユーリアにがしりと髪を捕まれて引きずり倒される。
どうにかして踏ん張ろうとするが、ユーリアの腕力にあっさり負け、床に叩きつけられる。受身は取れたのでダメージはないが、体勢がすこぶる悪い。当然即座に起きようとするが、ユーリアが俺を跨いで立つように陣取り、咄嗟には起き上がれない。
さらにこの訓練所に、擬似太陽とは違う別の光が発生する。
発生源はユーリアの手に握られている剣。色は薄紅。
「ッ!!」
戦技の名を呼ぶまでもなく放たれたそれは、ただの横凪。しかし戦技によって強化された横凪は防ぐのは困難で、避けるのも体勢的に難しい。
戦技とは本来、特定の所作を寸分違わぬレベルで何千何万回と繰り返した結果身につくものだ。
そして、その戦技は何千何万回と繰り返した動きの再現でもある。
ユーリアが今放っている戦技も、本来正面に撃つ戦技だろう。だがそれを強引に下へと向け、戦技を放っている。普通ならそもそも戦技は発動しないだろうが、それこそ何万回、あるいは何千万回と繰り返した結果だろうか。戦技に余裕とでも言うべき自由度が生まれている。
だがそれも、戦技共通の弱点には勝てない。
「悪いなっ!」
俺が取った行動は、戦技発動中で踏ん張っている足を、真横から渾身の力でぶっ叩く事だった。
当然ユーリアは足を滑らせ、俺の上に転ぶように倒れ込む。戦技は当然強制解除されている。
ユーリアは驚きながらも、戦技が無くなっても構わず俺の方へ剣を振り下ろす。
ヒト一人分の体重が乗った一撃だ。絶対に片手では受け止めきれないので左の剣を一度放棄、右の剣で受け止め、それを両手でしっかりと押さえる。
硬直状態。あと僅かにユーリアの顔が俺に落ちてくれば、唇が重なる程の近距離で、互いが打てる手が無くなる。
しかしそれもすぐに終わる。
仰向けになっていた俺の視界の端に映ったのは先程ユーリアが投げた剣。俺がそれを見た目の動きで、ユーリアも何が起きたか即座に理解したらしい。
ユーリアが目を閉じた。代わりに忙しなく動くのは耳長種特有の長い耳。
不味い。あの剣を拾われると俺の負けが確定する。
右袈裟の一撃を逆手に持った剣で受け流し、返しに俺も横凪の一撃。
ユーリアももう片方の剣でそれを難なく受け止め、流された剣を引き戻して突きを放つ。狙いは心臓。
即座に逆手に持った左の剣を順手に持ち直し、下からかち上げるようにその突きを対処。さらに鍔迫り合いになっている右の剣をこちら側へあえて傾かせる事で剣を滑らせ、より深くユーリアへと接近。
そのまま剣の柄頭でユーリアの腹を叩く。
大した勢いではないが、金属でそれなりに深く殴られたのだ。どふ、と言う音と共にユーリアの腹に一撃入る。
それに対し、やや苦悶の表情を浮かべつつもユーリアの動きは鈍らない。
かなり内側へと入ってきた俺を見るや、即座に剣を一旦放棄。空中へと投げ捨て、俺を掴みにかかる。
「おっとぉ!?」
これは流石に俺も予想していなかった。一瞬動きが遅れ、ユーリアにがしりと髪を捕まれて引きずり倒される。
どうにかして踏ん張ろうとするが、ユーリアの腕力にあっさり負け、床に叩きつけられる。受身は取れたのでダメージはないが、体勢がすこぶる悪い。当然即座に起きようとするが、ユーリアが俺を跨いで立つように陣取り、咄嗟には起き上がれない。
さらにこの訓練所に、擬似太陽とは違う別の光が発生する。
発生源はユーリアの手に握られている剣。色は薄紅。
「ッ!!」
戦技の名を呼ぶまでもなく放たれたそれは、ただの横凪。しかし戦技によって強化された横凪は防ぐのは困難で、避けるのも体勢的に難しい。
戦技とは本来、特定の所作を寸分違わぬレベルで何千何万回と繰り返した結果身につくものだ。
そして、その戦技は何千何万回と繰り返した動きの再現でもある。
ユーリアが今放っている戦技も、本来正面に撃つ戦技だろう。だがそれを強引に下へと向け、戦技を放っている。普通ならそもそも戦技は発動しないだろうが、それこそ何万回、あるいは何千万回と繰り返した結果だろうか。戦技に余裕とでも言うべき自由度が生まれている。
だがそれも、戦技共通の弱点には勝てない。
「悪いなっ!」
俺が取った行動は、戦技発動中で踏ん張っている足を、真横から渾身の力でぶっ叩く事だった。
当然ユーリアは足を滑らせ、俺の上に転ぶように倒れ込む。戦技は当然強制解除されている。
ユーリアは驚きながらも、戦技が無くなっても構わず俺の方へ剣を振り下ろす。
ヒト一人分の体重が乗った一撃だ。絶対に片手では受け止めきれないので左の剣を一度放棄、右の剣で受け止め、それを両手でしっかりと押さえる。
硬直状態。あと僅かにユーリアの顔が俺に落ちてくれば、唇が重なる程の近距離で、互いが打てる手が無くなる。
しかしそれもすぐに終わる。
仰向けになっていた俺の視界の端に映ったのは先程ユーリアが投げた剣。俺がそれを見た目の動きで、ユーリアも何が起きたか即座に理解したらしい。
ユーリアが目を閉じた。代わりに忙しなく動くのは耳長種特有の長い耳。
不味い。あの剣を拾われると俺の負けが確定する。
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