大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

彼女と目的

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ゾッとした。
彼女がいた事に全く気づけていなかった。
「ッ!?」
即座に銀剣を取り出しつつ、いるであろうシャルに声をかける。
シャル、お前気づいてたか?
『…いや、全くだ。普通に考えて、元勇者の感覚を抜くのはまず無理だろうから、多分スキル』
シャルでも気づけなかったのか。
「あらぁ?そんなに構えなくていいわよぉ?」
俺とアーネには緊張が走り、制服男女には目に見えて安堵の表情が顔に浮かぶ。
間違いなく西校の関係者、それも…。
「二つ名持ち、か?」
「正解よぉ。ちなみに二つ名は《ジャガー》ね」
西校の生徒だと言うが、制服は着用しておらず、服装は露出過多な最早ほぼ水着みたいな…うん?
『…なぁ、今代の。コイツってもしかして張り込みしてた時の痴女じゃね?』
みたいだよな。
…あーそっか、向こう側が必ずしも制服着用とは限らなかったか。
そう考えるとあの張り込みもかなりズボラな計画だったが…まぁ、結果オーライ、と。
だが、今はそれどころではない。
「んで、何用よ?」
「別にぃ?単に同じ学校の生徒が消えたから回収しに来ただけよ?むしろ、なんであなた達が私達の学校の生徒を攫ったのか。それの説明をしてくれなぁい?」
彼女の手にはいつの間にか槍が握られ、その鋭すぎる切っ先は間違いなく、俺の顔…の少し下、首を狙っていた。
『刺突に特化していて、防御がしにくいタイプの槍だな。首とか心臓を一突きで仕留める事についちゃピカイチだろうよ。今代の班メンバーにいたリーザとかって女とは違うタイプの槍だ。対処、間違えんなよ』
了解。こういう時はホント助かる。
「別に?単に情報が欲しかっただけだよ。出来れば昨日、話し合いでもしたかったんだけどな」
「話し合い?冗談でしょう?出会い頭に戦技アーツや魔法を撃ち込んできたあなた達がぁ?」
「そこについちゃ謝ろう。こっちの馬鹿が激しく大暴走した結果だ。弁明の余地もない」
「その上人攫い?ふざけるのも大概にしたらどお?」
「別にふざけてるつもりは無いんだがな…こっちには時間が無かったんで、少しばかり強引な手に出させてもらった。《問題児》とかって言われてるヤツの情報がどうしても欲しかったんでね」
「彼女の情報?あなた達も?」
………?
「アーネ、聞き間違いか?それとも勘違いか?俺、この女が、たった今、俺達が探してる子を殺すって言ってた風に聞こえたんだが」
「聞き間違いでもなんでもないわぁ」
俺の質問に答えたのは、アーネではなく目の前の豹。
「私達の目標は、この都市で《問題児》と呼ばれている少女の保護。そして、もしそれが不可能なのならば、
月明かりを背負い、彼女は冷ややかにそう言った。
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