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本編
質疑と応答
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「儂があのガ…子供を引き取ったのは十八年前…そうじゃな、もう十八年経つ。儂の娘、コルネリアが行方不明になったのがその二年前、ひょっこり帰って来た事を喜んだのはつかの間、連れた子を一目見て、儂らはヒトでも妖精種でもないと気づいた」
「待て、十八年前?じゃあなんだ、シエルは今十八歳って事か?」
「そこは重要かの?まぁいい。コルネリアがあの子供を連れてきた時、あの子供は既に歩いておった。聞けば一年でそこまで成長したと言う。儂の娘の話を信じるなら、おおよそ十九歳じゃろう」
「………。」
衝撃の事実。え、十歳とかその辺だと思ってた。マジで?俺より年上なのか。
『まぁ…魔族は一気に成長して、その後は緩やかに歳をとって、ある程度進んだらそれも止まる…妖精種の特性も相まって、あの容姿で止まっていると考えれば、不思議じゃあないか』
なるほど。確かに目の前の男を見るとその言葉は説得力を持つ。
「コルネリアはこの子供魔族との子であると知った上で育てたいと言い、儂と女房は反対した。何せ、儂も女房もあの大戦の真っ只中に生まれた。その恐怖は身に刻まれておるのでな」
そっと捲りあげた腕、そこには黒々とした無数の傷跡。切られたか焼かれたか、なんにせよ、受けた時は尋常な怪我では無かったろう。
「じゃが、その年の暮れ、コルネリアは病にかかった。医者も原因は分からんと言っておったが…儂には分かった。魔族の烙印、逃げた者への自動処理…儂の娘は、それで身体中の魔力を、生気を、吸い取られて死んだ。惨い死に様じゃった」
「おいシャル、烙印って何だ」
小声で聞くと、素早くシャルが答える。
『あー、簡単に言うと、去年までジェルジネンがリーザに生命力を吸う仕掛けをしていただろう?あんな感じだ。マークを付けた相手に対して、一定の効力を発する魔法を持続的に掛ける罠って所だな』
「サンキュ」
「それからすぐじゃよ、儂らはすぐに地下を作り、鉄の檻を作り、そこにあの子供を閉じ込めた。放っておけば死ぬと思ったが、一年経っても二年経っても死なない。焦って魔獣をけしかけても返り討ちにあうだけ。妖精種の魔法は効かない…諦めて放っておくしかない、そう思った時に──貴様らが来おったのじゃ」
「なるほど、経緯は分かった。シエルについて、他になにか知ってることは?」
「無いな。気味が悪くて知りたくも無い」
「普通なら、知ったから気味が悪くなるモンだと思うがな」
一言ポツリと呟き、指をパチンと鳴らして「次だ」と言う。
「お前、この石に見覚えはあるか?」
真白いテーブルの上に置かれたのは、心無しか僅かに透き通ってすら見える闇色の石。
元都市長はそれをじっと見つめ、眉をひそめ、一言「知らん」と言った。
「本当に?心当たりを言うだけでもいいぞ」
「知らん。これに関しては本当にじゃ。嘘をつく気もない。じゃがこの禍々しいまでの魔力…一体どこで手に入れた?」
下げてくれと言わんばかりに手を払う元都市長の反応からして、あまり良くない影響を与えるらしいのは間違いなさそうだ。
「ちょっとお前の家で拾った。じゃあ最後の質問だ。聞きたいことは山ほどあるが、そろそろ…十分経つしな」
右の方を向くと、壁から生えるようにしてタイマーがある。残り時間は三分ちょっとか。
「お前が魔族と一緒にしていたって言う研究についてだ。全部言ってもらおう」
「待て、十八年前?じゃあなんだ、シエルは今十八歳って事か?」
「そこは重要かの?まぁいい。コルネリアがあの子供を連れてきた時、あの子供は既に歩いておった。聞けば一年でそこまで成長したと言う。儂の娘の話を信じるなら、おおよそ十九歳じゃろう」
「………。」
衝撃の事実。え、十歳とかその辺だと思ってた。マジで?俺より年上なのか。
『まぁ…魔族は一気に成長して、その後は緩やかに歳をとって、ある程度進んだらそれも止まる…妖精種の特性も相まって、あの容姿で止まっていると考えれば、不思議じゃあないか』
なるほど。確かに目の前の男を見るとその言葉は説得力を持つ。
「コルネリアはこの子供魔族との子であると知った上で育てたいと言い、儂と女房は反対した。何せ、儂も女房もあの大戦の真っ只中に生まれた。その恐怖は身に刻まれておるのでな」
そっと捲りあげた腕、そこには黒々とした無数の傷跡。切られたか焼かれたか、なんにせよ、受けた時は尋常な怪我では無かったろう。
「じゃが、その年の暮れ、コルネリアは病にかかった。医者も原因は分からんと言っておったが…儂には分かった。魔族の烙印、逃げた者への自動処理…儂の娘は、それで身体中の魔力を、生気を、吸い取られて死んだ。惨い死に様じゃった」
「おいシャル、烙印って何だ」
小声で聞くと、素早くシャルが答える。
『あー、簡単に言うと、去年までジェルジネンがリーザに生命力を吸う仕掛けをしていただろう?あんな感じだ。マークを付けた相手に対して、一定の効力を発する魔法を持続的に掛ける罠って所だな』
「サンキュ」
「それからすぐじゃよ、儂らはすぐに地下を作り、鉄の檻を作り、そこにあの子供を閉じ込めた。放っておけば死ぬと思ったが、一年経っても二年経っても死なない。焦って魔獣をけしかけても返り討ちにあうだけ。妖精種の魔法は効かない…諦めて放っておくしかない、そう思った時に──貴様らが来おったのじゃ」
「なるほど、経緯は分かった。シエルについて、他になにか知ってることは?」
「無いな。気味が悪くて知りたくも無い」
「普通なら、知ったから気味が悪くなるモンだと思うがな」
一言ポツリと呟き、指をパチンと鳴らして「次だ」と言う。
「お前、この石に見覚えはあるか?」
真白いテーブルの上に置かれたのは、心無しか僅かに透き通ってすら見える闇色の石。
元都市長はそれをじっと見つめ、眉をひそめ、一言「知らん」と言った。
「本当に?心当たりを言うだけでもいいぞ」
「知らん。これに関しては本当にじゃ。嘘をつく気もない。じゃがこの禍々しいまでの魔力…一体どこで手に入れた?」
下げてくれと言わんばかりに手を払う元都市長の反応からして、あまり良くない影響を与えるらしいのは間違いなさそうだ。
「ちょっとお前の家で拾った。じゃあ最後の質問だ。聞きたいことは山ほどあるが、そろそろ…十分経つしな」
右の方を向くと、壁から生えるようにしてタイマーがある。残り時間は三分ちょっとか。
「お前が魔族と一緒にしていたって言う研究についてだ。全部言ってもらおう」
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