大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

片付けと要求

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ニケが戻ってきたのはおよそ二十分程してから。思った以上にかかったようだが、連れてきた治癒師の腕は充分だった。
「綺麗な断面ですね…これなら傷も残らないでしょう」
とはその治癒師の言葉。中には女性もいたので、傷が残らなさそうだと聞いて少し安心した。
さて。
この日はこの後、特に何も起こらずに夜が訪れ、耽け、そして明けた。
朝になって、昨日と同じようにニケからメッセージがあり、宿舎へ向かうと、ガロンとニケが出迎えて、昨日の状況を説明してくれた。
俺とニケが森で別れた後、ニケは俺が言ったように、原因は何者かが糸で操っている訳ではなく、中に虫が入っているからだと説明。
それを聞いたガロンは、即座に魔法部隊に連絡を取り、都市の外に居た魔獣を殲滅した。
しかし、混戦中の場所にはどうしても魔法を撃ち込むことが出来なかったため、対応が遅れた。俺が虫を引きずり出した三人はその時にやられたらしい。
また、本人達の証言によると、「意識があっても身体が言うことを聞かず、ヒトに向けて魔法を放つと、えも言われぬ快感が背筋を走った」との事だ。
ちなみに全員、記憶は朧気だがあるようで、虫を引きずり出される時はただただ絶望的なまでの恐ろしさを感じていたという。なんか漠然としてんな。
何はともあれ、魔獣の侵攻も一気に減って落ち着いた。昨晩は一体も現れなかったらしいし、寄生虫はほぼほぼ滅ぼしたと見ていいだろう。仮に残っていたとしても、今までのような大群で襲ってくるのでさえなければ、対処のしようはあるだろう。
事態はひとまず収束に向かっていった。
「ところでだ」
ガロンが声を上げた。
「あん?どうした」
「君はニケ君と取引したらしいな。なんでも、暴れた魔法部隊の鎮圧に手を貸してくれたとか」
「あ?あぁ。まぁな」
鎮圧っつーか…なんて言うんだあれ。捕まえて虫をぶっこ抜いただけなんだが。
「その報酬は、一体何を望むんだ?」
「あん?」
はて…あぁ、そういえば要求を言っていなかったかもしれないな。
「そんな大したモンじゃない。一年ぐらい前の妖精種フェアリーの都市長の行方を知りたい。と言うか、今の居場所を知りたい」
「………何故それを?」
「いや何、俺の友達がちょいとその都市長といざこざがあってね。都市に来てた理由も一年前の都市長に会って話したかったからだな」
「……分かった。では、近日中に──」
「あぁ、悪いが…俺ももう数日したらこの都市から出ていかにゃならん。明日だ、明日、会わせてくれ」
無茶を言っている自覚はあるが、これぐらい求めても…まぁ、いいよな。
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