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本編
尾行と夜道
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それなりの距離を、それなりの時間追いかけた。
どのぐらい?って聞かれても困るんだが、まぁ結構な距離と時間だったと思う。
尾行ってのは割と大変で、時間なんて結構簡単に飛んだ。多分、十分は走ってたけど、それ以上はよく分からん。
物陰に隠れたり人混みに隠れたりしながら、なにか話しながらどこかへ進んで行く二人組をずっと尾行する。
少し不安だったのが、俺のやけに目立つ白とも銀とも言えないような髪のことだった。
いくら暗くとも、月明かりが少しでも差せばその明かりを反射し、ここにいますよ、と言わんばかりに自己主張してただろう。
だが、幸いにも空はいい加減に曇っていて、本来なら美しく見えたであろう月は雲に隠れてくれていた。
だが、念には念をと制服を外し、フードを被る。そして髪をコンパクトに畳み、そのフードの中へと入れた。
すると、黒と金で編まれた制服は溶けて消え、代わりに上下真っ黒の俺の防具とズボンが現れる。これで少しは見えにくくなるだろう。
そう思ってずっと追いかけていたが、そろそろ人混みも物陰もほとんど無くなり始めた。
つまり。
『畑…か』
二人はそのままあぜ道をどんどん歩いていく。
仕方なく俺も後ろを追いかける。
遮蔽物も人混みもないこの場所で、もしも後ろを振り向かれたり、あるいはそこまでいかなくとも不審がられたりするとその時点で終わる。一発でバレる。
足音がならない様に細心の注意を払いつつ、しかし遅れて見失わないように急ぎつつ。
男女は俺に気づいた風もなく、どんどん進んでいき、急に止まった。
『ここが目的地か?』
…そう、なるのかな?
一応、距離を取りながらそのまま観察。
場所は周りを畑に囲まれたあぜ道のど真ん中。
何か話しているらしいが…この距離じゃ聞こえんな。
シャル、お前はどうだ?
『………』
シャル?
『ん、あぁ何だ?』
ここからあいつらの声が聞こえるか、って話。
『ん、俺は聞こえんな。お前が緋眼を使えたらこの距離でも唇を読んで何言ってるかぐらいは分かっただろうが、お前の緋眼はまだ使えんしなぁ…』
未完成で悪かったな。
『ところで今代の』
なんだ?シャル。…お、あいつら、また移動するのか。
こっそりと再び後を追いかけ始める。
『お前の後ろを尾行するアイツら。アイツらは別にいいのか?』
「へっ?」
あ。しまった。
つい声が出ちゃっ。
────背後に伸ばしている髪が数本、高速で飛来するなにかにぶつかった。
『後ろナイフ!二本!』
糞、わかってるよ!!
どのぐらい?って聞かれても困るんだが、まぁ結構な距離と時間だったと思う。
尾行ってのは割と大変で、時間なんて結構簡単に飛んだ。多分、十分は走ってたけど、それ以上はよく分からん。
物陰に隠れたり人混みに隠れたりしながら、なにか話しながらどこかへ進んで行く二人組をずっと尾行する。
少し不安だったのが、俺のやけに目立つ白とも銀とも言えないような髪のことだった。
いくら暗くとも、月明かりが少しでも差せばその明かりを反射し、ここにいますよ、と言わんばかりに自己主張してただろう。
だが、幸いにも空はいい加減に曇っていて、本来なら美しく見えたであろう月は雲に隠れてくれていた。
だが、念には念をと制服を外し、フードを被る。そして髪をコンパクトに畳み、そのフードの中へと入れた。
すると、黒と金で編まれた制服は溶けて消え、代わりに上下真っ黒の俺の防具とズボンが現れる。これで少しは見えにくくなるだろう。
そう思ってずっと追いかけていたが、そろそろ人混みも物陰もほとんど無くなり始めた。
つまり。
『畑…か』
二人はそのままあぜ道をどんどん歩いていく。
仕方なく俺も後ろを追いかける。
遮蔽物も人混みもないこの場所で、もしも後ろを振り向かれたり、あるいはそこまでいかなくとも不審がられたりするとその時点で終わる。一発でバレる。
足音がならない様に細心の注意を払いつつ、しかし遅れて見失わないように急ぎつつ。
男女は俺に気づいた風もなく、どんどん進んでいき、急に止まった。
『ここが目的地か?』
…そう、なるのかな?
一応、距離を取りながらそのまま観察。
場所は周りを畑に囲まれたあぜ道のど真ん中。
何か話しているらしいが…この距離じゃ聞こえんな。
シャル、お前はどうだ?
『………』
シャル?
『ん、あぁ何だ?』
ここからあいつらの声が聞こえるか、って話。
『ん、俺は聞こえんな。お前が緋眼を使えたらこの距離でも唇を読んで何言ってるかぐらいは分かっただろうが、お前の緋眼はまだ使えんしなぁ…』
未完成で悪かったな。
『ところで今代の』
なんだ?シャル。…お、あいつら、また移動するのか。
こっそりと再び後を追いかけ始める。
『お前の後ろを尾行するアイツら。アイツらは別にいいのか?』
「へっ?」
あ。しまった。
つい声が出ちゃっ。
────背後に伸ばしている髪が数本、高速で飛来するなにかにぶつかった。
『後ろナイフ!二本!』
糞、わかってるよ!!
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